ワゴニアといえば、30年ぶりに復活することもあり再び注目を浴びている。高級SUVの先駆けともいえる不朽の名作をディテールまで細かく見ていこう。
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JEEP WAGONEER(ジープワゴニア)とは?
アメリカ軍に軍用車を納入していたカイザー・ジープ・コーポレーションが1961年にリリースしたワゴニア。発表は1962年10月。このときはWillys Motorであったが63年の発売時には社名をkaiser Jeep Corporation
に変更。
それまではスパルタンな乗り味であったジープに高級セダン顔負けの快適性をコンバーションするという発想は、現代の高級SUVの原点と言っても過言ではないはず。以後、AMC、クライスラーと3社に渡って製造が続けられ、生産終了となった1991年まで基本コンセプトを変えなかった稀有なクルマとして知られている。
とは言え大きな節目は何度かあり、1966年の上級グレードスーパーワゴニアの登場、1970年のAMCへの移行、1979年の角目になったフロントマスク、1983年のグランドワゴニアの登場、1989年のクライスラーへの製造権譲渡。
この車両は、AMCに移行して間もない1972年のもの。随所にカイザー社の名残がある移行期らしいディテールが見受けられるマニア垂涎の1台だ。
1972 AMC JEEP WAGONEER(エーエムシー/ジープワゴニア)のディテールをチェック!
ノスタルジックなデザインのラジオは、インパネ中央にレイアウト。両サイドに灰皿が配置され、ツマミまでキッチリとクロームパーツ。下にはグローブボックスが付き、シンプルながらも十分なもちろんワーキングコンディション。
移行期らしいディテールのひとつが、ハンドルに付いたジープのロゴ。AMC のコーポレートカラーはトリコロールカラーであるが、カイザー時代から使われているオレンジとゴールドのカラーリングを継承しているのがおもしろい。
インパネのデザインも時代によって異なっている。まだカイザー時代のデザインを継続していて、’60年代のテイストを強く匂わせる。その後はデザインが更新され最終のグランドワゴニアでは3分割されたレイアウトに。
ライトまわりなどの作りやデザインも旧きよきアメリカを感じさせる手の込んだ意匠。トランクスペースは思っている以上に大きく、リアゲートはウインドーを下げてから、手前に開ける。開いた部分に大人が座っても大丈夫。
1972年の大きな特徴が迫力のあるフロントマスク。一つ目の丸いライトからコーナーに続いていくクロームメッキのデザインパーツが施されているため、ワイドに見える。フロントのグリルは3年から5年で変更される。
オプションであった純正のキャリアは、クロームメッキを使用。台座の部分などが凝った作りとなっており、現在では考えられないような手間暇が掛かっている。富裕層に向けた実用車であったので、キャンプなどで必要不可欠だったはず。
シルバーとブラックで塗り分けられたリアのパネルもこの年代しか使われていないレアな仕様。AMCになってもジープブランドのエンブレムは数多く見られ、いかにブランド力のあるクルマだったことがわかる。
移行期ならではのエンブレムがおもしろい!
リアに付いたオリジナルのエンブレム。360はAMCを代表するV8エンジンの標記で排気量(5.9ℓ)を表す。この世界初の4WDとなり、当時としては画期的な仕様だった。
アメリカン・モーターズのエンブレムも並行してつけられている点も、この車両の面白いところ。移行期なので、この年代にしかないディテールが豊富。
随所にジープのロゴが入ることからも、ジープ社が威信をかけて世に送り出したモデルだったのだろう。年代によって書体のデザインが異なるのもヴィンテージフリークの心をくすぐるポイントである。
純正ホワイトリボンタイヤを合わせて、オフロードカーとの差別化を図っている。センターにあるジープのロゴは、カイザー時代のカラーリングを採用。この後に、AMC のコーポレートカラーであるトリコロールのデザインに変更される。
1972 AMC JEEP WAGONEER
- サイズ:全長4735㎜×全幅1900㎜×全高1687㎜
- エンジン:V型8気筒/ OHV
- 総排気量:5890㏄
- ミッション:3AT
- 車両重量:2048㎏
- 所有:BUDDY AUTO 横浜市港北区新羽町1218-1 TEL045-534-0030 http://www.lucent-jp.com/buddy/
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/N.Suzuki 鈴木規仁
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