世相を反映する、トミカの歴史がクルマの歴史。
海外の玩具メーカーがリリースする“小スケールミニカー”に目を付けたタカラトミー社が、1970年に国産車の本格的小スケールミニカーのトイシリーズとして誕生させたのが「トミカ」。このブランドの代名詞といえば、時代ごとに移り変わる最先端の国産車に加え、ランボルギーニやフェラーリといった一般層には手の届きにくいスーパーカー類の具現化だが、その他にもバイクや航空機、戦車など、様々なバリエーションが存在し、これまでの累計出荷数はなんと6億個を超える。
ロスマンズ ポルシェ(1980年代製)
また、アニメに登場する架空のモデルや、遊園地のアトラクションを忠実に再現したものなど、なんとも遊び心をくすぐるラインナップが実に面白い。さらに、販売促進の一環として自動車メーカー全面協力のもと制作されるモデルも多数存在し、東京オートサロン2019などで展開されるそれら商品には多くのファンが列を作る。
そんな風に「トミカ」の魅力は枚挙にいとまがないが、特筆すべきは、「トミカ」の日(毎月第3土曜日)に既存モデルと入れ替わる形で新型が登場するため、新商品がすぐに廃盤品となり、入手が困難となる点ではないだろうか。
今回は、現在の「トミカ」の市場価値を探るべく、中野ブロードウェイでミニカーの専門店を20年間営むアルフさんにお邪魔した。
「トミカ」の市場価値を知る!
長く愛用した思い入れの強い一台や憧憬を抱いたあの名車を、いま現実的に所有することは不可能だけどミニカーなら叶う。そんな魅力溢れるトミカの現在の市場価値をチェック!
No.19 日野 バルクトレーラー(2000年代製)
トラックや緊急車両などを再現する“働くクルマシリーズ”から登場した日野のバルクトレーラー。実在するのかし
ないのか分からない“東京精糖” のプリントがなんともファン心を刺激する。相場は1万3000円ほど。
No.26 ライオンバス(2000年代製)
富士サファリパークで販売されていたと思われるライオンバス。現在は1300円と、値段こそそれほど釣り上がらないものの、幅広い層のファンを楽しませてくれる、トミカの振り幅の広さを感じさせてくれる逸品。
スーパーカーシリーズ 2(1970年代製)
スーパーカーブームの頃に登場したギフトセット。通常シリーズでは販売されていないカラーリングのフェラーリやランボルギーニなど4種類の高級車が入っている。販売当時は960円だったが、現在は6万円ほど。
No.75 ウルトラマン マット カー(1971年製)
特撮テレビ番組『帰ってきたウルトラマン』に登場したマットビハイクルを、“ウルトラマン マットカー”の名でコラボ展開した1971年の人気商品。当時は220円で販売されていたが、現在は6万円代の値が付く。ステッカー未使用。
No.30 コルト ギャラン GTO(1970年代製)
三菱自動車が’70年代に製造を開始した名車を、美しいオレンジメタリック系の配色で再現。一カ所キズがあるため22万円前後だが、それがなければ、30万円ほどの値段がつくものも。
No.27 クラウン ファイア チーフ カー(1970年代製)
ホイールを白プリントで表現した“1Sホイール” を装備していることから、トミカの最初期のものと推測できる。発売当初は180円だったが、現在は5万円前後。
三菱キャンター レッカー車(2000年代製)
“働くクルマ系シリーズ” の中でも特に人気の高いJAFトラック。付属のパーツでトミカを牽引できるのもこのプロダクツの醍醐味。販売当時は400円ほどだったが、現在は4000円程に。
スバル 360(てんとう虫)(1980年代製)
数種類のカラバリが販売されたスバル 360。中でも非常に珍しいのが水玉模様の装飾を纏った通称:てんとう虫。通常は赤×黒コンビが一般的だが、こちらは、世に出回らなかった幻の試作品で20万円以上。
F8 BLMC ミニ クーパー S マーク III(1990年代製)
様々なメーカーとコラボしてきたトミカだが、中でもとりわけ数が多いのがミニクーパー。写真のリプトンの他、コカコーラーや伊勢丹と、様々なタイプが存在する。現在は1万6500円。
No.100 フォルクス ワーゲン 1200 LSE(1990年代製)
日本ではビートルの愛称でも親しまれるフォルクスワーゲンの1200。こちらは、日本のミニカーショップ、シェリフさん特注によるオリジナルカラーで、現在は7000円代で取引されている。
No.20 ニッサン スカイライン(1986年製)
俳優の岩城滉一氏を起用したCMでも話題となったGTSシリーズ。内装シートが通常製品にはないカラーであること、さらにボディ裏のカシメに取り外しの形跡がないことから、試作品であることが証明でき、価格は16万円ほど付く。
ランボルギーニ カウンタック LP500S(2000年代製)
トミカといえば百貨店の玩具売り場を連想する人も。写真は、伊勢丹がカラー別注したランボルギーニで、20年ほど前に400円前後で売られていたものが現在では3万円ほどの価値がつく。
No.8 サニー 1200 COLIPE QX(1970年代製)
トミカ誕生の初期頃に制作された1Sホイール装着のサニー 1200。実用車のサニーと同様に数多く生産されたモデルだが、稀少性の高いゴールド色のため、現在は4万円以上の価値がある。
No.97 シトロエン H トラック(1990年代製)
フランスのシトロエンが’40年代から’80年代に製造した貨物自動車。球数の多い商品だが、保存状態も良く目立った傷もないため2500円くらい。他にも、ミシュランやSOGOなど、実在する企業のロゴを纏った様々な種類が存在。
今回お話を伺ったのは……
【DATA】
中野ブロードウェイ ミニカーショップ alf(アルフ)
東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ2F
TEL03-3389-7156
営業/12:30〜20:00、日祝日12:30〜19:00
休み/水曜
http://alf-ec.com
(出典/「Lightning 2020年1月号 Vol.309」)
Text/H.Kato 加藤寿紀 Photo/Y.Sato 佐藤侑治
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