誕生から四半世紀!「トミカ」の市場価値と魅力とは?

玩具の王様とも形容すべきタカラトミー社が展開する“小スケールミニカー” の「トミカ」。約四半世紀の期間、子供から大人までを虜にしてきたトイシリーズの現在の市場価値とは?

世相を反映する、トミカの歴史がクルマの歴史。

海外の玩具メーカーがリリースする“小スケールミニカー”に目を付けたタカラトミー社が、1970年に国産車の本格的小スケールミニカーのトイシリーズとして誕生させたのが「トミカ」。このブランドの代名詞といえば、時代ごとに移り変わる最先端の国産車に加え、ランボルギーニやフェラーリといった一般層には手の届きにくいスーパーカー類の具現化だが、その他にもバイクや航空機、戦車など、様々なバリエーションが存在し、これまでの累計出荷数はなんと6億個を超える。

ロスマンズ ポルシェ(1980年代製)

巣鴨にある老舗ミニカーショップ、ガリバーさんが’80年代に特注した逸品。1982年ル・マン24時間レース優勝車として知られるポルシェ956 ロスマンズを1/66のスケールで再現した日本製で、現在の価値は6万円ほど

また、アニメに登場する架空のモデルや、遊園地のアトラクションを忠実に再現したものなど、なんとも遊び心をくすぐるラインナップが実に面白い。さらに、販売促進の一環として自動車メーカー全面協力のもと制作されるモデルも多数存在し、東京オートサロン2019などで展開されるそれら商品には多くのファンが列を作る。

人気アトラクションの宇宙貨物船を具現化したこちらは、30年ほど前に東京ディズニーラ ンドにて630円で販売された同テーマパークの特注品。販売開始直後にジョージ・ルーカス側からのNGが入り、すぐさま生産中止となった非常にレアな逸品で、状態で異なるが50万円ほどの高値がつく。おそらく一番レアなトミカだろう

そんな風に「トミカ」の魅力は枚挙にいとまがないが、特筆すべきは、「トミカ」の日(毎月第3土曜日)に既存モデルと入れ替わる形で新型が登場するため、新商品がすぐに廃盤品となり、入手が困難となる点ではないだろうか。

今回は、現在の「トミカ」の市場価値を探るべく、中野ブロードウェイでミニカーの専門店を20年間営むアルフさんにお邪魔した。

「トミカ」の市場価値を知る!

長く愛用した思い入れの強い一台や憧憬を抱いたあの名車を、いま現実的に所有することは不可能だけどミニカーなら叶う。そんな魅力溢れるトミカの現在の市場価値をチェック!

No.19 日野 バルクトレーラー(2000年代製)

トラックや緊急車両などを再現する“働くクルマシリーズ”から登場した日野のバルクトレーラー。実在するのかし
ないのか分からない“東京精糖” のプリントがなんともファン心を刺激する。相場は1万3000円ほど。

No.26 ライオンバス(2000年代製)

富士サファリパークで販売されていたと思われるライオンバス。現在は1300円と、値段こそそれほど釣り上がらないものの、幅広い層のファンを楽しませてくれる、トミカの振り幅の広さを感じさせてくれる逸品。

スーパーカーシリーズ 2(1970年代製)

スーパーカーブームの頃に登場したギフトセット。通常シリーズでは販売されていないカラーリングのフェラーリやランボルギーニなど4種類の高級車が入っている。販売当時は960円だったが、現在は6万円ほど。

No.75 ウルトラマン マット カー(1971年製)

特撮テレビ番組『帰ってきたウルトラマン』に登場したマットビハイクルを、“ウルトラマン マットカー”の名でコラボ展開した1971年の人気商品。当時は220円で販売されていたが、現在は6万円代の値が付く。ステッカー未使用。

No.30 コルト ギャラン GTO(1970年代製)

三菱自動車が’70年代に製造を開始した名車を、美しいオレンジメタリック系の配色で再現。一カ所キズがあるため22万円前後だが、それがなければ、30万円ほどの値段がつくものも。

No.27 クラウン ファイア チーフ カー(1970年代製)

ホイールを白プリントで表現した“1Sホイール” を装備していることから、トミカの最初期のものと推測できる。発売当初は180円だったが、現在は5万円前後。

三菱キャンター レッカー車(2000年代製)

“働くクルマ系シリーズ” の中でも特に人気の高いJAFトラック。付属のパーツでトミカを牽引できるのもこのプロダクツの醍醐味。販売当時は400円ほどだったが、現在は4000円程に。

スバル 360(てんとう虫)(1980年代製)

数種類のカラバリが販売されたスバル 360。中でも非常に珍しいのが水玉模様の装飾を纏った通称:てんとう虫。通常は赤×黒コンビが一般的だが、こちらは、世に出回らなかった幻の試作品で20万円以上。

F8 BLMC ミニ クーパー S マーク III(1990年代製)

様々なメーカーとコラボしてきたトミカだが、中でもとりわけ数が多いのがミニクーパー。写真のリプトンの他、コカコーラーや伊勢丹と、様々なタイプが存在する。現在は1万6500円。

No.100 フォルクス ワーゲン 1200 LSE(1990年代製)

日本ではビートルの愛称でも親しまれるフォルクスワーゲンの1200。こちらは、日本のミニカーショップ、シェリフさん特注によるオリジナルカラーで、現在は7000円代で取引されている。

No.20 ニッサン スカイライン(1986年製)

俳優の岩城滉一氏を起用したCMでも話題となったGTSシリーズ。内装シートが通常製品にはないカラーであること、さらにボディ裏のカシメに取り外しの形跡がないことから、試作品であることが証明でき、価格は16万円ほど付く。

ランボルギーニ カウンタック LP500S(2000年代製)

トミカといえば百貨店の玩具売り場を連想する人も。写真は、伊勢丹がカラー別注したランボルギーニで、20年ほど前に400円前後で売られていたものが現在では3万円ほどの価値がつく。

No.8 サニー 1200 COLIPE QX(1970年代製)

トミカ誕生の初期頃に制作された1Sホイール装着のサニー 1200。実用車のサニーと同様に数多く生産されたモデルだが、稀少性の高いゴールド色のため、現在は4万円以上の価値がある。

No.97 シトロエン H トラック(1990年代製)

フランスのシトロエンが’40年代から’80年代に製造した貨物自動車。球数の多い商品だが、保存状態も良く目立った傷もないため2500円くらい。他にも、ミシュランやSOGOなど、実在する企業のロゴを纏った様々な種類が存在。

今回お話を伺ったのは……

【DATA】
中野ブロードウェイ ミニカーショップ alf(アルフ)
東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ2F
TEL03-3389-7156
営業/12:30〜20:00、日祝日12:30〜19:00
休み/水曜
http://alf-ec.com

(出典/「Lightning 2020年1月号 Vol.309」)

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