ヴィンテージ・バイシクルの市場価値と魅力を徹底調査!

ロードバイクを中心に近年人気を集めているヴィンテージ・バイシクル。国内屈指の品揃えを誇る専門店コルサ・コルサの江口誠一さんに、プロダクツの魅力および購入のコツについて話をうかがった。

職人たちの手仕事がプロダクツに価値を生む。

最新=最高だとは限らない。旧きよき時代の名品は、時にそんなことを語りかけてくれるものだ。つまるところ、ヴィンテージと呼ばれるプロダクツの妙味はそこにあり、機能を補って余る独特の雰囲気を宿している。

ROSSIN ロッシン(1983年製)

今なき名門ブランドが放つ、ヴィンテージを象徴する一台。イタリア人のフレーム職人、マリオ・ロッシンが立ち上げた自身の名を冠した伝説的なブランドの一台。本人が在籍していた時代は別格のクオリティだと評価されている。ヴィンテージ市場でも極めて人気が高い

見るからに美しいヴィンテージ・バイシクルは、それを雄弁に物語るプロダクトのひとつだろう。その魅力について、コルサ・コルサの店長・江口誠一さんは次のように語る。

「うちのお店もそうですが、薀蓄よりも単純な見た目で旧い自転車に興味を持ってくださる方が非常に多いです。その理由として挙がるのは、知識がなくても一見で分かるクオリティの違いです。そこでの差とはずばり、丁寧な職人の手仕事が関係しています。一部の例外を除くと、昔ながらの技術を守り続けている自転車工房は残念ながらほぼ現存していません。だからこそ、伝統が受け継がれているハンドメイドのプロダクツに価値が生まれるのです」

MASI マジィ(1975年製)

オリジナルならではの圧倒的な存在感! 1926年創業のイタリアの伝説的工房、マージの超レアピース。自転車製造の黄金期ならではのプロダクツは、並外れたオーラを放ち、目が肥えた愛好家たちをも魅了する

外さないモノ選びがゴールへの近道となる。

江口さんいわく、インターネットの普及から、この数年の間でヴィンテージ・バイシクルの市場は成熟期を迎えつつあるという。

「これは自転車に限らず、あらゆるヴィンテージについて同じことが言えるかもしれませんが、もはや掘り出し物を見つけ出すことは難しくなっています。間違いのないプロダクツを手に入れるためには、それなりの対価が必要です。逆をいえば、少し安いと感じられる場合は、何か理由があるという判断が賢明かもしれません。安く手に入れたつもりが、手直しのコストがかさんで結果的に高くついてしまうこともありますから」

MASI マジィ(2019年製)

懐かしくも新しいマージ謹製「ストラリバリー」のピストバイク。製造工数の違いからロードバイクとは価格が異なる。こちらの完成車両は130万円前後の仕様。用途に合わせて理想の一台を手に入れたい

言うまでもなく自転車は実用品であることから、ヴィンテージであっても実際に乗ることを前提に購入するユーザーが多い。そこにはユニークな需要が存在する。

「完成車両、パーツ、それぞれニーズがあり、パーツからヴィンテージに興味を持ちはじめる方もいます。デッドストックとユーズドに関しても同じようなことが言え、実用を考えるなら、あえてユーズドを選ぶのもアリですね」

MASI マジィ(2019年製)

ヴィンテージに見劣りしないフルオーダーのマージの「ストラリバリー」シリーズのロードバイクの完成車両。価格は160万円前後。「自転車のテーラーメイド」という異名は伊達ではなく、事細かなオーダーに対応できる

そもそもヴィンテージになると玉数の問題から、理想のアイテムが手に入らないことが多々ある。

「マージのように、ヴィンテージに引けを取らないプロダクツもあるので、オーダーで理想の一台を作るのも選択のひとつです」

ヴィンテージ・バイシクルの市場価値を知る!

コルサ・コルサの江口さんの監修の下、完成車両から貴重なパーツ類まで、ヴィンテージ・バイシクルの流行が分かるアイテムの紹介とともに相場観に迫る。

CINELLI チネリ(1960年代後半)

変わり種を狙うならミキストフレームに注目。いざ探すと出てこないチネリのミキストフレームの完成車両。プロミナードのハンドルバーなどの特徴的なディテールが満載。相場は60万円前後が目安。

MASI マジィ(2019年製)

現代まで受け継がれるイタリアの伝統技術は必見。90年以上にも及ぶマージの歴史、その間に培われた伝統の技術を継承したフレームは、ヴィンテージに勝るとも劣らない輝きを放つ。これらは70万円前後から個人オーダーが可能となっている。

Campagnolo カンパニョーロ(1983年製)

完品で揃うのが嬉しいファン垂涎の限定品。イタリアのロードバイク専用パーツメーカー、カンパニョーロ50周年のアニバーサリーセット。完品での相場観は70万円前後。大変人気があり、パーツ単体で取引されることも多い。

Campagnolo カンパニョーロ(1985年製)

イタリアンバイクの絶頂期のデザインとハンドクラフトの特有の味わいを同時に楽しめる「Cレコード」のクランクセット。状態の良いもので8万円前後から見つかる。

Campagnolo カンパニョーロ(1970年代中頃)

25年以上作られていたカンパニョーロのロングセラー「スーパーレジェーラ」。こちらの個体は貴重な箱付き。コルサ・コルサでは4万8000円で販売中。

3ttt スリーティー(1980年代)

スリーティ社のレコードステム。価格は3万円前後が目安。ブランド別にロゴを入れたり、仕様を変えながらプロダクツを製造していたことが見受けられる。

IDEAL イデアル(1970年代)

「サドルのロールス・ロイス」と謳われる、フランス・イデアル社の製品。レザーのテンションを調整できたりと性能面も◎。5万円前後から購入可能。

ICS (1983年製)

非常に希少なスイス・ICS社のリアディレーラー。カンパニョーロの「Sレコード」をチューニングして独自の境地に仕上げている。相場は10万円前後。

Campagnolo カンパニョーロ(1985年製)

名門カンパニョーロが手掛けた「Cレコード」のペダルには、デザイン大国イタリアらしい造形美が宿る。市場評価は8万円前後と人気に比例して高い。

今回お話を伺ったのは……

コルサ・コルサ店長 江口誠一さん

日本国内屈指のヴィンテージ・バイシクルの専門店であり、ミラノの伝説的工房マージの正規代理店コルサ・コルサを運営する。陸上自衛隊少年工科学校出身。趣味は自転車旅行

【問い合わせ】
コルサ・コルサ
TEL03-6914-7070

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(出典/「Lightning 2019年12月号 Vol.308」)

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