クルマでもバイクでもない、世界中で愛される「ベスパ」の狙い目モデルと魅力に迫る!

映画「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーンとグレゴリー・ペックが2人乗りをする姿に世界中が憧れ、一躍人気を集めた「ベスパ」。月日が経ち、新作映画が名作と呼ばれるようになった今日もまた、「ベスパ」はどこか憧れの存在であり続けている。アメリカのハーレー、イギリスのトライアンフも本誌Lightning読者ならば外せない存在だが、心惹かれずにはいられないイタリアの「ベスパ」を、ヴィンテージを中心にその魅力を探っていこう。

クルマでもモーターサイクルでもない、スクーター「ベスパ」誕生。

19世紀後半のイタリアにおいて船舶用品の製造で成功をおさめていたリナルド・ピアジオの会社は、1920年代に入ると世界最大級の航空機メーカーへと成長を遂げていた。そして第2次世界大戦中、枢軸国側だったイタリアは1943年に無条件降伏。そんな中、ピアジオ社の工場は連合国による爆撃で破壊されてしまっていた。当時同社の代表であったエンリコ・ピアジオは、残った資材と機械で作れる、庶民の足となる価格が安い乗り物を作ろうと思い立つ。開発には航空機エンジニアの、コラディーノ・ダスカニオが選ばれた。

新しい乗り物のコンセプトはスカート姿の女性でも乗れること。撥ねた水や泥、エンジンオイルで汚れないこと。軽く簡単に乗れることなど、それまでのモーターサイクルにはない斬新なものばかりだった。ダスカニオは2台の試作車を経て、エンリコが挙げたコンセプトを実現した最初のモデルを完成。これがクルマでもモーターサイクルでもない「スクーター」誕生の瞬間だった。

そのエンジン音からベスパ(イタリア語でスズメバチ)と名付けられた。

ヴィンテージ「ベスパ」の魅力とは?

往年のベスパらしさを継承しつつ機能的な現行のベスパも素晴らしいのだが、やはり映画に憧れをもってベスパに乗りたいと考える者にとってはヴィンテージベスパという選択肢もある。ヴィンテージとなると、現代に適した仕様なのかなどスペックが気になるところ。

排気量が少ないからといって侮ってはいけない。そこには至極のスクーター足りうるデザイン・機能が存在している。名作「1963 VESPA 160GS Mk2」を参考に見ていこう。

1963 VESPA 160GS Mk2

問い合わせ / アランチャータ TEL03-5701-6213

1962年に登場した160GS。ヴィンテージベスパの人気スポーツモデル150GSの後継機だ。ダイレクトトランスミッション、スチールモノコックボディー、片持ちサスペンションなど、ベスパの伝統的テクノロジーはそのままに、排気量を158.5ccにアップ。キャブレーターに改良が加えられ、マフラーも変更された。

これにより低速トルクが増強され、加速性能が大幅に向上している。また、外観のデザインも一新され、フェンダーやサイドカバーにモールが施されるなど、ドレスアップされている。ファーストモデルはMk1、翌年の63年からMk2が登場し、64年まで生産された。また、65年から排気量181.14ccのベスパ180SSの生産が新たに開始された。

埋め込み式のVEGLIA製スピードメーター。

白地に黒のパイピングが施されたAQUILAシート。

フロントホイールの中央がブレーキドラム。

フロントフェンダー上に設けられたシェル型ホーン。

左手のグリップはクラッチ一体型のグリップコントロールを装備している。現代においてももちろん充分に街乗りとして活躍できるスペックを有している。

まだ買えるかも!? 狙いたいヴィンテージ「ベスパ」を紹介!

さて、ヴィンテージベスパが選択肢になったところで、実際にヴィンテージ市場にはどんなベスパがあるのか気になるところ。ここでは、注目したいヴィンテージベスパを厳選して紹介しよう。

1.1959 VESPA 150GS

問い合わせ / ジャングルスクーターズ TEL03-3327-8052

イタリアのピアジオ社が制作するスクーターで、1955年に誕生した初の150ccスポーツタイプがベスパ150GSだ。モデル名のGSはグランドスポーツの意味で、時速100km/hを達成していた。ボディとフレームを兼ねた剛性の高いモノコックフレーム、グリップギアチェンジ、片持ち式サスペンションなど、ベスパ独特の方式を採用。加えて、ハンドル中央の埋め込み式ヘッドライト、10インチタイヤ、ダブルシート、4速ミッションが初採用された。ベスパらしいスタイルが完成されたモデルで、ヴィンテージベスパの愛好家からはキングオブベスパとも呼ばれている。ツーリングタイプのベスパ150も存在する。

2.1974 VESPA SPRINT 150 VELOCE

問い合わせ / MOTO FACTORY AIR TEL0466-23-4735

ヴィンテージベスパにはファンが多く、コレクターアイテムとして高価なモデルも多いが、ベスパを得意とする「モトファクトリーエア」がヴィンテージ入門に、と進めるのがスプリント・ヴェローチェ。74年に登場し、大きなヒットとなったモデル。ボディが同じ200ラリーがプレミアムモデルになっているのに対し、排気量が150ccなので価格も抑えられ、ストライプなどが入らないシンプルなボディも好ましい。実用車として作られたモデルだから構造は単純で、パーツも入手しやすい。

「ベスパ」ラバーの愛車をチェック!

ベスパの魅力のひとつには、やはりカスタムして自分好みにアレンジすることもあるだろう。ステッカーを貼るところから、パーツを変更したり、シートやカラーをチェンジしたりと、その可能性は無限大。もちろん、発売当時の姿をとどめるため、純正パーツを探し続ける人もいる。そんな、ベスパに魅せられたベスパラバーの愛車を見てみよう。

1.VESPA PX150 / American Wanabee 大久佐龍平さん

フェンダーレスやチョップしたエンジンカバーなど、レーサー仕様にカスタム。ワンオフであしらったというフロントのキャンバス生地は、褪色した雰囲気が抜群でチェッカー塗装は友人によるDIYで荒々しい仕上がりが◎。BSAも所有しているが、このベスパは通勤や街乗り用として使い分けているのだとか。

2.1980 Vespa 100 / 田原浩一さん

主に普段の足として活躍中のベスパは、ホワイトリボンタイヤを履くなどオーセンティックなスタイルが神戸の街並みに溶け込んでいる。カジュアルな着こなしだが、ハットやサドルシューズを取り入れることで着こなしを引き締めている。

 

さて、ベスパを狙っている人も、スクーターには縁がないと思っている人にも「ベスパ」の魅力が伝わったのではないでしょうか? 洗練されたスタイルだからこそ、どんな人にも、どんなファッションにも似合うイタリア生まれのスクーター「ベスパ」。純正も良し、カスタムも良しの相棒を、見つける楽しさも「ベスパ」の魅力だ。

(出典/「別冊Lightning BIKERS SNAP」「別冊Lightning VINTAGE MOTORCYCLES」「別冊Lightning VINTAGE BIKE FILE」)

この記事を書いた人
サカサモト
この記事を書いた人

サカサモト

アメカジ系動画ディレクター

Lightning、2nd、CLUTCH Magazineの公式YouTubeチャンネル「CLUTCHMAN TV」のディレクター。元Lightning副編集長ということもあり、クルマ、バイク、ミリタリーなど幅広い分野に精通。現在はもっぱら動画作成機材に夢中。ニックネームは、スキンヘッドにヒゲ面をいう「逆さ絵」のような顔に由来する。
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