映画『イージーライダー』がバイクを変えた!ロングフォークのチョッパースタイルの魅力。

チョッパーのカスタムが多様化された1970年代。それにはベトナム戦争の帰還兵がチョッパーに乗って自由を求める姿を描いた、映画『EASYRIDER』が影響しているはず。そこで、東京の旧車専科HAWGHOLICに’70sスタイルのチョッパーを見せてもらった。

当時の雑誌から’70年代チョッパーに迫る!

オールドスクールなカスタムには時代感が現れる。1969年の映画『EASYRIDER』公開後、チョッパーはどのように変化したのか。ロックンロールの夜明けと共にどこからともなく現れたチョッパーは、レースを源流に持つボバーに比べ、外装のフォルムやペイントなどより装飾を意識したカスタムだが、その装飾性は徐々に過激さを増し、1970年代はその頂点と言える時代。バイクのディテールや当時の雑誌から’70年代チョッパーの特徴を読み取ってみよう。

走り重視のシンプルな1960年代

’60年代の写真で構成される写真集に映るチョッパーは過剰な装飾性はほとんどなくシンプルな姿。アップスウィープマフラーや短いフォークなど、ボバーの面影を残す走りを意識したスタイルだ。

機能性と直結しない装飾性の1970年代

ナロースプリンガーや二眼スクエアヘッドライト、フレームと一体のタンクなど、機能性と直結しない装飾性が’70年代の特徴なのが見て取れる誌面。

エド・ロスが製作したチョッパー・マガジンに掲載されるアリエル。H-Dだけでなく英国車や国産ベースのチョッパーも珍しくない。

パフォーマンスパーツが増えた1980年代

’80年代は’70年代のようなアーティスティックな装飾はやや影を潜め、ダブルディスクブレーキなどパフォーマンスパーツが増加。過激なドレスアップが落ち着き、またスピード思考なスタイルがトレンドに。

横溝さんチョイス! 2大チョッパースタイル

カスタムカルチャーの背景を蘇らせるオールドスクールなカスタムを得意とするHAWGHOLIC代表・横溝学さん。チョッパースタイルのなかでも、垂涎の2台をチョイスしてもらった。

1.1948 Harley-Davidson FL

外装とセットで発見したオールドフレームをベースとしたチョッパー。ナローなフォルムに奇抜なデザインのパーツを散りばめている。

(左上)パンヘッドエンジンはCCEのロッカーカバーに換装し、エアクリーナーも角ばったAEEのパーツを使用。(右上)棺桶の形をイメージしたコフィンタンクも’70年代に生まれたデザイン。(左下)マフラーのサイレンサーもスクエアで統一。(右下)フレームのパイプをパテでスクエアに造形し、カスタムペイントを施している。

モールディングしたフレームのパイプからフォーク、ヘッドライトなど、各部のデザインをスクエアで統一した’70年代スタイル。”69″を掲げるシッシーバーに重ねたハイバックのコブラシートも’70年代の象徴的なディテールだ。

2.1957 Harley-Davidson FL

純正をモディファイしたモールディングフレームにロングスプリンガー、カスタムペイントと当時の時代感をストレートに表す1台。

コフィンタンクの下やフレームのリアエンド周りに鉄板を用いてモールディングしたプレートがカスタムペイントを強調する。外装・フレーム全体を覆うエアブラシを使用した風景のグラフィックも当時の特徴的なデザイン。

映画『イージーライダー』の影響で、1970年代一世風靡したチョッパースタイル。決して機能的ではないけれど、映画同様に普遍的なものとして、時代を超えて世の男どもの心をとらえて離さない。

▼こちらの記事もおすすめ。!

いまストリートで乗りたいバイクは、「ダート」なこの4スタイル。

いまストリートで乗りたいバイクは、「ダート」なこの4スタイル。

2021年10月24日

(出典/「Lightning 2019年9月号」

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

上野・アメ横の老舗、中田商店のオリジナル革ジャン「モーガン・メンフィスベル」の凄み。

  • 2025.12.04

ミリタリーの老舗、中田商店が手掛けるオリジナルブランド、「MORGAN MEMPHIS BELLE(モーガン・メンフィスベル)」。その新作の情報が届いたぞ。定番のアメリカ軍のフライトジャケットから、ユーロミリタリーまで、レザーラバー垂涎のモデルをラインナップしているのだ。今回は、そんな新作を見ていこ...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

Pick Up おすすめ記事

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

上野・アメ横の老舗、中田商店のオリジナル革ジャン「モーガン・メンフィスベル」の凄み。

  • 2025.12.04

ミリタリーの老舗、中田商店が手掛けるオリジナルブランド、「MORGAN MEMPHIS BELLE(モーガン・メンフィスベル)」。その新作の情報が届いたぞ。定番のアメリカ軍のフライトジャケットから、ユーロミリタリーまで、レザーラバー垂涎のモデルをラインナップしているのだ。今回は、そんな新作を見ていこ...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...