文豪ヘミングウェイが愛した酒のような、中毒性を持つシャツとは?

屈強でありながらも知性を持つ、アメリカンアイコンである作家アーネスト・ヘミングウェイ。彼をオマージュしたアパレルを毎シーズン発表している『モヒート』の定番アブサンシャツは、ヘミングウェイが愛飲した酒の名前が由来で、中毒性の高いアブサンのように一度着ると病みつきになるシャツだ。

1.いまさら聞けないヘミングウェイとは?

Photographs by ROBERTO HERRERA SOTOLONGO
Text by NORBERTO FUENTES
Publisher by PLEXUS PUBLISHING

アーネスト・ヘミングウェイはアメリカを代表とする作家である。簡素でシンプルな文体が特徴で、ハードボイルド小説の礎を築いた人物。屈強な身体に、釣りや狩猟を嗜む、これぞアメリカンライフを体現する存在として、多くのアメリカ人に影響を与えた。代表作は『老人と海』『武器よさらば』など。1954年にはノーベル文学賞を受賞している。

第2次世界大戦後に4度目の結婚をし、1940年代にキューバへ拠点を移した。そして日常的にオープンカラーシャツを着て、それは晩年期のヘミングウェイのアイコンとなっていた。

2.ヘミングウェイが愛した酒「アブサン」とは?

『モヒート』が展開する「アブサンシャツ」の名前の由来であるアブサンとは、ヘミングウェイが好んだ酒の名前で、高い中毒性があることから製造禁止になったこともある代物。ハーブや薬草を使ったアルコール飲料で、60~70度のものが中心。ヨーロッパの各国で作られ、日本でも製造されていた時代もある。鮮やかな緑色で、角砂糖を専用のスプーンにのせ火で溶かし、混ぜ合わせて飲むのが基本。

3.「アブサン」と名付けられたシャツの正体。

モヒート代表 山下裕文さん 1968年生まれ。熊本県出身。伝説のセレクトショップであるプロペラのスタッフを経て、独立。2010年より文豪ヘミングウェイへのオマージュをテーマに掲げモヒートの展開をスタート。

ヘミングウェイの愛した酒の名前を冠した「アブサンシャツ」を手がける『モヒート』。同ブランドには、稀代の文豪へのオマージュが根底に込められていると代表の山下さんは語る。定番アイテムである「アブサンシャツ」は、ヘミングウェイが晩年期にフロリダのキーウエストやキューバに拠点を移した際、日常的に着ていた開襟シャツをイメージしたものだ。

左はヘミングウェイが着ていたキューバの人民服のようなシャツを日本の高い技術を用いてリネンで再構築。右はベースのシャツの生成りを活かして黒の1色刷りの柄物。左3万5640円、右2万7000円(アーチ)

「アブサンというのは、ヘミングウェイも好んだ酒の名前で、高い中毒性のあることから製造が禁止されたこともある酒です。そんなアブサンのように中毒性のある着心地のシャツを作りたいという思いからネーミングしています。私が見る限り、ヘミングウェイが開襟シャツを着ていたのが、キーウエストやキューバに拠点を移した1940年代です。広め開きでゆとりのある身幅と少し長め着丈。そんなイメージを現代的なシルエットで再構築しています。当初はアメリカのインディビジュアライズドシャツで生産していましたが、現在は日本の工場にお願いしています。ただ春夏は、南イタリアのシャツのように軽くて身体を優しく包み込むような着心地、秋冬はイギリスのシャツのようにカッチリとしていて鎧のように守ってくれる着心地をイメージしているので、シーズンで2つの工場を使い分けているんですよ」

4.過去にアメリカで生産した特別な1枚。

ベースは変わらないものの、数多くのバリエーションがあるのも「アブサンシャツ」が定番として売れ続けている理由のひとつ。ブランドを立ち上げた当初は、BDシャツが全盛期で、少ロットの生産を受けてくれる工場がなかった。それで試行錯誤した結果、アメリカの名門であるインディビジュアライズドシャツに生産を依頼したそう。

※掲載情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning 2019年7月号」)

この記事を書いた人
サカサモト
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サカサモト

アメカジ系動画ディレクター

Lightning、2nd、CLUTCH Magazineの公式YouTubeチャンネル「CLUTCHMAN TV」のディレクター。元Lightning副編集長ということもあり、クルマ、バイク、ミリタリーなど幅広い分野に精通。現在はもっぱら動画作成機材に夢中。ニックネームは、スキンヘッドにヒゲ面をいう「逆さ絵」のような顔に由来する。
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