アポロ11号の月面着陸以前にも宇宙に持ち込まれていた「ハッセルブラッド」。
今から遡ること60年ほど前、宇宙飛行士のウォルター・シラーがヒューストンのカメラ店で「ハッセルブラッド500C」を購入。そして1962年10月のマーキュリー計画で宇宙に出た彼がそれを持ち出し、目の前に広がった驚嘆と畏敬の念を抱かせる神秘的な美を初めて写真に記録したことで、ハッセルブラッドとNASAとの長く緊密で、互恵的な協 力関係は始まった。
1966年には「ハッセルブラッドSWC」がジェミニ9号で初めて使用され、1968年12月には人類初の月周回飛行10周したアポロ8号に「ハッセルブラッド500EL」が搭載された。
そして、あのアポロ11号の月面着陸の時も傍にはあったのはハッセルブラッドのカメラだ。そこで記録された漆黒の宇宙空間に浮かぶ一人の男、人類が初めて月面に降り立ったときの足跡などの写真はあまりにも有名。宇宙という極限空間でも鮮明に映し出された写真を見ると、ハッセルブラッドカメラの機能性の高さが伺い知れる。
宇宙に初めて行ったハッセルブラッド「HASSELBLAD 500C」
宇宙ミッションのために特注で作られたわけではないが、船内に持ち込まれた唯一のカメラだった500C。NASAによってライニング、ミラー、フォーカシングスクリーン、およびフードを取り外すなど、カメラ軽量化のための改良がなされた。
美しい月面を撮影し、現在も月に残されている「HASSELBLAD EDC(ELECTRIC DATA CAMERA)」
モータードライブ搭載モデル500ELをベースに月面用に特別設計したEDC。このカメラに装着されたBiogonレンズも特別設計され、焦点距離は60㎜、レンズ上には偏光フィルターを装着した。’69年から’72年までNASAのミッションで合計13台のEDCが月面に運ばれ、撮影後はそのまま月面上にセッティングされた状態のまま今も残る。
宇宙探査にてEDCで撮影された貴重な写真の数々。気温・空気・重力・光など全てにおいて極限状態である宇宙空間で、なおかつ50年も前の出来事であるにも関わらず、はっきりと画像を捉えているところがカメラ性能の高さを物語っている。
EDCのベースとなった名モデル「HASSELBLAD 500EL」
500Cにフィルム自動巻き上げ機能(モータードライブ)機構を搭載し、充電池式モーターワインダーを備えたモデルとして、1965~1970年にかけて製造された500EL。その後はEL/M、さらにEL/Xへと発展し、553ELXへと繋がっていく。
中判デジタルの機能をミラーレスと融合させた世界初のカメラ 「HASSELBLAD X1D」
従来の中判デジタルカメラの圧倒的な画質はそのままに、半分以下の重量と手のひらサイズのコンパクトさを実現した現行モデルのX1D。現在はレンズがバッグがセットになったエクスペリエンス・パッケージを展開中。参考価格124万9560円。
「ハッセルブラッド」の世界観を東京・原宿の旗艦店で存分に味わう!
「ハッセルブラッドストア東京」では、現行モデルの展示・販売の他にも、常設の店内スタジオにてテストシューティング体験とポートレイトサービス(データもプレゼント)を行っている。中判デジタルカメラの圧倒的な画質に触れてみよう!
【DATA】
ハッセルブラッド ストア 東京
東京都渋谷区神宮前1-10-32 原宿DUET 1F
TEL03-6434-9567
営業/11:00~19:00
休み/日曜
(出典/「Lightning2018年7月Vol.291」)
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