1.Mountain Trail(マウンテントレイル)|owner:AKINORI TAKEMURA/Danner Designer
竹村昭範(たけむらあきのり)。Danner の本拠地である米国ポートランドにて、ブーツのリペア技術を学んだリクラフターの1人としても活躍し、Dannerのデザイナーも務める。
10年ほど前、ポートランドにリクラフティングの研修に行っていた際、クラシックな雰囲気が気に入り、現地で購入しました。マウンテントレイルが発売されたのは1961年。これはいわゆる復刻モデルですが、当時は未だ日本未発売で、スペック的にはソールや製法は現代版になっていました。研修中、毎日のように履き、オフには、仲間たちとトレッキングに出掛け、湖に水没したり、かなり酷使しましたね。帰国してからは柔らかな低反発の中底を敢えて硬い革製に変えたり、クッションソールもDannerの十八番であるクリッターリフトに交換。左右差があるのが特徴で、リペアが未熟だった頃を想い出す、世界に1足だけのオリジナルブーツです。
2.Mountain Light(マウンテンライト)×FDMTL|owner:GAKU TSUYOSHI/FDMTL Designer
津吉学(つよしがく)。デニムを軸にコレクションを展開し、国内外のブランドとのコラボレーションのみならず、アーティストなどの異色コラボにも注目。キャンプや外遊びが趣味。Instagram:FDMTLDENIM https://www.fdmtl.com
2016年にDannerとともに製作したFDMTL別注のマウンテンライトです。実際に本拠地であるポートランドの本社にお伺いし、歴史的にも貴重なアーカイブや生産工場なども見ることができたのは貴重な体験です。アッパーに使用するウォータープルーフレザーにFDMTLオリジナル柄を、耐久性を持たせつつプリントを施すことに苦労しました。インナーには、蒸れを防ぐDRILEXブーティ、ソールはビブラム社のクリッターリフトを装着し、スペックとしては本格的なトレッキングブーツに仕上がっているのですが、現状、山などの過酷な状況での着用はしていません(笑)。外でヘビーに履く用として、もう1足購入しておけば良かったなと後悔しています。
3.Mountain Harness(マウンテンハーネス)|owner:NAOHIRO FUJISAKI/meanswhile Designer
藤崎尚大(ふじさきなおひろ)。服飾大学卒業後、アパレルメーカーに勤務。2014年に「日常着である以上、服は衣装ではなく道具である」をコンセプトにmeanswhileを始動。Instagram:naohirofujisaki https://store.meanswhile.net
大学生の頃に初めて購入したマウンテンブーツが、Dannerでした。まさか別注ができるなんて、想像していませんでしたが、2021年にこの「Mountain Harness」が仕上がったのは嬉しかったですね。できる限りベースとのデザインを残したくて、マウンテンライトをベースにシューレースからウェービングベルト仕様へと別注させていただきました。シューレースに比べて、着脱を容易にするとともに見た目のインパクトを意識しました。当時着用していたブーツは、かなり履き込んだこともあり、表革も剥がれてボロボロ。もっとしっかりメンテナンスしておけば良かったと後悔しています。その教訓から今回はメンテナンスしながら長く履こうと思っています。
4.Desert Acadia(デザートアケーディア)|owner:TAKAHIRO NAKAJIMA/Stylist
中島貴大(なかじまたかひろ)。ファッションを中心にアウトドアやミリタリー、インテリアなど新旧問わず幅広く手掛けるスタイリスト。好きなスポットは中野ブロードウェイ。Instagram:medearangers
初めてのダナーは’90年代に勤めていたビームスで買ったマウンテンライト。それ以来、ダナーライトやマウントフッド、マウンテンライトⅡなど数足履いてきましたが最近のお気に入りはこちらです。数年前、兄弟誌『Lightning』のダナー特集で米・ポートランドに行かせていただいた際に購入しました。当初は趣味のサバゲで履こうと思っていたのですが、フィールドを走り回るには自分は相性が悪く、今では普段履きに特化しています。基本的にヴィブラムソールは黒ですが、本作はアッパーに合わせたニュアンスカラーがポイント。また、ベースモデルのアケーディアは本国では法執行機関や軍などで採用されており、そんなバックボーンにも惹かれますよね。
5.Mountain Bob(マウンテンボブ)|owner:MASAHIKO WATANABE/Photographer
渡辺昌彦(わたなべまさひこ)。本誌連載企画「Meet in a Classic Car」の写真を担当。自宅に専用ガレージを併設するほど、無類のクルマ、バイク好きで知られる。
25年ほど前、どこの店だったかは憶えていないのですが、上野で買ったことだけは憶えています。定番のダナーライトと悩みましたが、当時、履き比べてみて、このボブライトのほうが軽く感じたんですよね。購入して10年ほど、足に馴染まず、さほど気に入っていなかったのですが、あるときブーツを磨いているときに急に愛着が湧いてきて好きになりました。いまやボクの中ではブーツと言ったらコレ! というほど重要な存在になってくれています。こんなに傷だらけですが、これでも気が向いた時にはオイルを入れてあげたりしているんですよ。このモデルは、ボツボツとしたソールが特徴的ですが、数年前にビブラムのクレッターリフトに替えています。
6.Work Force(ワークフォース)|owner:YU MURAKAMI/Andfamilys CO. Director
村上游(むらかみゆう)。アウトドア、ミリタリーなどのフィールドウエアからインスパイアされたモダンな大人のアメカジスタイルを提案するAndfamilys CO.の代表を務める。Instagram:andfamilys_co andfamilys_official
アメリカのワークブーツが好きで、よくアウトドアシーンや釣りに行く際にダナーライトやマウンテンライトを履いていました。ただ昔から、他人と被るのが嫌いで、いろんなブーツを探して出会ったのが、このワークフォースです。友人界隈でも「それどこのブーツ?」と聞かれるほどのマイナーさが好き。サイドジップ仕様であるため、脱ぎ履きしやすく、頑丈な作りから、ボクにとってはスニーカー感覚で履けるブーツです。お気に入りすぎて、他にも2色購入するほど。基本的にはノーメンテナンスで、汚れてしまったときに泥や埃を取る程度。かれこれ20年ほど愛用していますが、型崩れもなくしっかり作られているブーツなんだなと改めて思います。
7.Danner Light(ダナーライト)|owner:NAOTO KOBAYASHI/Hummingbirds’hill shop Manager
小林直人(こばやしなおと)。ショップの看板役としてメディアでもたびたび見かける名物プレス。ヴィンテージミックスのアメカジスタイルが自分の定番。趣味はサバゲ。hummingbirdshillshop_official
約8年前に購入したダナーライト。アッパーのレザーはホーウィン社のクロムエクセルを使用しており、ネイビーのワントーンコーデの際に着用することが多いですね。これまで、このダナーライトをはじめ、マウンテンライト、フェザーライト、ネハレム、ポストマンシューズを履き、いまも所有していますが、雨の日は必ずと言って良いほど、ゴアテックス仕様のDannerを履いています。もちろんキャンプやバイクに乗るときもDannerを履くことが多く、見た目のゴツさとは裏腹に快適な履き心地と安定感、安心感からどのモデルも気に入っています。基本的にマメなメンテナンスはしませんが、革のカサツキはじめや気が向いた時にオイルを入れています。
8.Mountain Trail×Lee(マウンテントレイル)|owner:MASAYUKI ONO/IVY&NAVY Owner
小野雅之(おのまさゆき)。2007年に独立し、アメリカントラッドを主軸に世界各国から集められた良質なウエアを扱うセレクトショップ「IVY&NAVY」を大阪にオープン。https://www.ivyandnavy2007.com
以前、IVY&NAVY でも取り扱っていたのですが、完売のため買い逃してしまったんです。確か1、2年だけ限定的にリリースされたモデルで、かなり貴重なコラボアイテムでした。その後のLeeの展示会で、どうしても譲って欲しいとお願いし、特別に手に入れた経緯があるので大切に履いています。ただ履く頻度がそれほど多く無いので、手入れをするまでもありませんが、それでも定期的に履き、マウンテンブーツだからこその履き込まれた革の雰囲気を今後も楽しもうと思います。アウトドアシーンでガチで履くのなら、サイズはシビアに選んだほうが良いと思うのですが、ボクはあくまでもファッションとして。通常サイズよりも1.5サイズアップで履いてます。
9.Feather Light×Eddie Bauer(フェザーライト)|owner:YUDAI MATSUMOTO/free rage Designer
松本侑大(まつもとゆうだい)。MADE IN JAPANにこだわるファクトリーブランド 「free rage」のディレクター兼デザイナー。またアーティスト「Lefty Art」として活動。Instagram:freerage_official https://freerage.jp
この業界に入って初めて購入したブーツがDannerのフェザーライト。当時、ブーツマニアで知られる先輩が、珍しいモデルを買ったと購入した次の日に見せてもらい、シルエットと雰囲気のカッコ良さに、ひと目惚れ。お願いしまくって、その日に先輩から譲ってもらいました(笑)。かれこれ14年愛用しており、手に入れた時は毎日のように履いていましたが、ライフスタイルの変化とともに出番も少なくなりました。気取らず、そして気兼ねなくガシガシ履けるので、秋冬キャンプ時にはラフなコーディネイトに合わせて、よく履いています。定期的なメンテナンスは特に行っていないのですが、気が向いた時にブラッシングやオイルで手入れしています。
10.Kevlar Light(ケブラーライト)|owner:YOSHITAKA AKASAKA/EXPLORER Owner
赤坂佳高(あかさかよしたか)。1990年、卸商社としてアウトランディッシュトレーディングを創業。名古屋を拠点とするセレクトショップ「EXPLOER」を運営する。explorer_jp www.e-explorer.jp
20年ほど前にショップ「EXPLOER」でも仕入れていたDannerの往年の銘作、ケブラーライトです。仕入れる数年前に購入したもので、ケブラー素材を使用した、いわゆるDanner×Kevlerの別注アイテム。当時、ファッションのトレンドは、PatagoniaやGRAMICCIなどを筆頭としたアウトドアブランドが爆発的に売れていた時代で、ショートパンツにラグソックスを合わせて、ケブラーライトを履くのがお気に入りのスタイルでした。ここ数年はなんとなくですが出番も減り、格納していましたが、ライニングにゴアテックスが使用されているので、真冬の雪の日に重宝するかもと思い、この冬は数年ぶりにヘビーユースしようかなと思っています。
11.Acadia(アケーディア)|owner:MASANORI FUKUSHIMA/JAM Owner,AND BUYER Director
福嶋政憲(ふくしままさのり)。古着店として全国展開、そして国内最大の海外古着取扱店数を誇る古着屋JAMの代表。現在、12店舗目となる札幌店オープンに向けて準備中。Instagram:maanori4881 https://jamtrading.jp
オールレザーではなく、ナイロンとのコンビネーションであるため、長めのレングスでも見た目以上に軽量で履きやすいブーツです。このアケーディア自体、ミリタリーモデルとして作られているレースアップブーツなので、作りは軍お墨付きでとても丈夫。主な使用用途としては、新店舗の内装工事など、自分で現場作業を行うときに愛用しています。このブーツで、いくつもの店舗の内装工事をともにし、ヘビーに付き合ってきた相棒のような存在です。デザインもポテンシャルも気に入っているため、同じモデルを2足購入しているのですが、予想外のタフさに2足めの出番はまだまだ先になりそうです。ただそろそろソール交換をしておこうかなと思っています。
12.Mountain Light(マウンテンライト)|owner:SATOSHI KOMATSU/KAMEI PROACT Sub Manager
小松理史(こまつさとし)。英国スニーカーブランド「WALSH」やカリフォルニア製のミルスペックのバッグブランド「MIS」の日本代理店にて、サブマネージャーを務める。Instagram:komatsu_satoshi
アメリカ製というだけで興奮していた高校生時代にアルバイト代を貯めても、なかなか手を出せずにいたDannerのブーツ。大人になり、よく考えれば購入するチャンスはあったのだろうと思うのですが、初めて購入したのは、新婚旅行でハワイに行った12年前。当時、いまでは考えられないほどの円高だったので、かなりお得に買えた記憶があります。オールレザーでD管までブラックの感じがカッコ良くて、購入して数年はオシャレをするときに履いていたのですが、いつからか趣味のバス釣りでもカッコつけたくなり、ガシガシと履くようになりました。以来、アウトドアでの使用が増えてしまいキズも目立つように。同じモデルをもう1足買い足すか検討中。
13.Mountain Light Ⅱ(マウンテンライトツー)|owner:SHOICHI YAMADA/people showroom Director
山田昭一(やまだしょういち)。アウトドアとファッションを結びつけるPR、ブランディング、制作、広告代理などを行う people showroomの代表。趣味は外遊び全般。Instagram:yamadaze http://peopleshowroom.com
ダナーライトが好きで履き潰しては買い替えてを繰り返し、長年愛用してきましたがマウンテンライトも欲しくなり6年ほど前に新調。仕事も趣味もアウトドアに精通しているため、オールレザーでタフであることとデザインの普遍性が購入の決め手となりました。その昔、「薪の束から1本を引っこ抜きたい時は手を使うより、ダナーでガンガン蹴ったほうが早い」という先輩の教えを今でも実行しています(笑)。基本的にはタフに甘んじてノーメンテ。トレッキングやキャンプ、フェスなど、1番出番の多いシューズかもしれません。焚き火の際、爆ぜた炭で穴が開くトラブルがありましたが、それでも火傷せずに済んだのは、単純にすごいなと肌で感じています。
14.Mountain Trail(マウンテントレイル)|owner:MASAKI FUJIKI/WAREHOUSE PR
藤木将己(ふじきまさき)。ヴィンテージウエア全般に幅広い知識と教養を持つWAREHOUSEの広報。前号のRed Wing企画に続きDannerにも小さな物語があった。Instagram:masakifujiki
いまは無き名店スペックスで12年前に購入した珍しいブーツです。そのときは抜群のコンディションで、ほとんどソールの減りが見られなかったビムラムソールに、土が残っていたのを発見し、感動したのを覚えています。履き口の内側にDannerの刻印が入る個体はモデル名が名付けられる以前のモデルなのか? とダナーを偏愛する先輩に聞くと「マウンテントレイルという名前がつく以前にもD管を装着したマウンテンブーツ顔のブーツは存在し、作られていた」とのこと。個人的には、ヨセミテの守り神とされるジョン・ミューアの存在の再認識と自然保護やトレイルという言葉が1960年代のビート世代の文化と何かしら関連性があると睨んでいます。
(出典/「CLUTCH2022年10月号 Vol.87」)
Photo by Akira Kuwayama 桑山章 Text by Tamaki Itakura 板倉環
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