欧州と米国のそれぞれの良さを知ることで出る深み。
2018年にスタートした新レーベルAUBERGEのデザイナーとしても活躍する小林氏。10代より追いかけ続けたアメリカのワークウエアやミリタリーに加えて、多感な20代を過ごしたフレンチのヴィンテージが融合し、唯一無二の世界観を体現している。そんな小林氏がラストワードローブとして挙げた私物は、アメリカとヨーロッパが絶妙にブレンドされている。パリジャンが小粋に501XXを穿きこなす。小林氏のセンスは、まさにそんな感じだ。
「10代からアメリカのワークウエアは大好きですし、パリから帰国した後も給料が入れば、誰も見向きしなかった戦前のオーバーオールなんかにつぎ込んでいました(笑)。デニム工場で縫製をしていた経験もあり、今でもヴィンテージを解体して、魔改造することがあるんですが、アメリカとヨーロッパのヴィンテージの作りを比較すると、もの作りの考え方や美学がまったく違い、どちらにも魅力があると思います。だから自分が一生持っておきたいというアイテムは、アメリカ、ヨーロッパどっちも捨てがたい(笑)。今日のコーディネートのように、イギリスのクラシックなトレンチコートに、戦前のオーバーオールを合わせるくらいが自分らしいと思いますね」
「AUBERGE」小林学さんの愛用品。
1.JACKET/AUBERGE
2.COAT/Aquascutum
‘70年代のヴィンテージで、アクア5とネーミングされた防水生地を採用したモデル。「もちろんお決まりのBURBERRYも愛用していたのですが、このAquascutumのトレンチコートの方がコンパクトなシルエットで、個人的に好みでした。またギャバではなくて、ツイルというのも珍しいです」
3.EYEWEAR/VINTAGE
近年、盛り上がっているフレンチのヴィンテージフレーム。神戸の名店であるスピークイージーが買い付けたものを、滋賀にある人気セレクトショップであるドゥーバップで購入。「フラットレンズを入れて、クラシックすぎない印象に仕上げています。度が入っているので、ファッションの前に道具として愛用。あえて細いフレームに」
4.DENIM/VINTAGE
30年近く前に購入したというオーバーオール。現在は内装業として活躍するハイライトが高円寺にあった際に、同店で手に入れた。「当時は戦前のワークウエアに興味がある人が圧倒的に少なく、扱っているショップも少なかったです。変則的なポケットやライトオンスのデニム生地、フロントが低い作りなど、ストアブランドですが、一番のお気に入り」
5.CAP/Ralph Lauren
小林氏のアイコンとなっているのが、Ralph Laurenのポロマークが刺繍されたシンプルなキャップ。何色も所有している。「けっして特別なものではありませんが、自分の顔と頭に一番フィットするので、何個も買い足しているマイフェイバリット。いわゆるダッドキャップで、ツバの形状と浅い被り心地が最高なんですよ」
最近買ったもの、ハマっているもの
小林さんがハマっているのがブルートゥースを搭載したイヤフォン。右はB&OとBerlutiのコラボレーションで、左は重低音に定評のあるBEATSのフィットプロである。
(出典/「CLUTCH2022年8月号 Vol.86」)
Photo by Masahiro Nagata 永田雅裕 Text by Shuhei Sato 佐藤周平
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