ウールからはじまったラグビーシャツの歴史と型。

  • 2021.10.26  2020.09.18

昨年9月に大盛り上がりをみせたラグビーのワールドカップ。そもそもラグビーシャツは、アイビーやプレッピースタイルとの親和性が高く大人のスポーツミックスには不可欠。いまこそ、ラグビーシャツの歴史やデザインについて学んでおくべき時だ。

ラグビー誕生からのラガーシャツの素材の変遷とは?

1823年、フットボールの試合中にウィリアム・ウェッブ・エリス少年がボールを抱えてゴールを目指したのがラグビーの始まりだそう。その舞台となったのが、イングランドで老舗のパブリックスクール(名門私立学校)のラグビー校。上流階級の子息に愛好されたラグビーは、まずは南半球を含めた英連邦へと広まっていく。

スウェットシャツに代表されるアスレチックウエアの起源をたどると、素材にはウールが使われていたことに気づかされる。ラグビーシャツも然り。ラグビー王国ニュージーランドの代表にカンタベリーが供給していた1920年代製の1着もウール100%だった。綿100%が主流になったのは1950年代のこと。

1970年代には、軽量性や吸汗速乾性を追い求めて綿にポリエステルを混紡した素材が登場。2000年代に入ると、引き裂き強度の高さとさらなる軽量化を実現したポリエステル100%の素材に切り替わっていく。現在の最進化系は、同じポリエステルでもシャツの部位ごとに耐久性や伸縮性などの機能が異なる素材を融合させている。

ニュージーランド型とイングランド型の違いとは?

ラガーシャツを語るうえで外せない、ニュージーランド型とイングランド型のラガーシャツの違いを、2大ブランドとも言える、「カンタベリー」「アンブロ」で見ていこう。

【ニュージーランド代表】CANTERBURY(カンタベリー)

独自の混紡率で編み上げた綿ポリ生地“ラガーループ©” をこだわりのニュージーランド生産で再現。ヴィンテージのような1950年代当時の風格 を蘇らせた。(参考商品)

「カンタベリーがラグビーに対して本格的なアプローチを開始したのは、第一次世界大戦が終わってから。前身となったレーン・ウォーカー・ラドキン社の代表のひとりだったジョン・レーンが“ラグビーシャツを編んでほしい” と友人から頼まれたのがきっかけです」(岸さん)。

「カンタベリーオブニュージーランドジャパン」PR・岸昭全さん|20年以上に渡ってカンタベリーに携わるPR 担当。昨年9月のラグビーW 杯において、日本を盛り上げることに貢献した

同社によるウール100%のシャツはたちまち評判となり、1924年からはニュージーランド代表チームのユニフォームも手がけ始める。以降、70年以上に渡って公式サプライヤーを務めるなかで素材や細部において独自に進化。

「ニュージーランド型と称されているラグビーシャツを象徴する襟のディテールは、カンタベリーが1950年代に完成させたものです」。

頑丈で安全という作りこそラガーマンへの最高の贈り物だ。

1970年代製のアーカイブ。当時に登場したオリジナル素材のラガーループ©(綿52%、ポリエステル48%)を使用。“4インチストライプ” と呼ばれる太めのボーダーもカンタベリーでは定番的なもの。(参考商品)

【ディテール①】ダブルテープ&トリプルステッチ

襟の結合部は表裏の両面からテープをあしらい、3本のステッチで縫製。エンド部分は裏側から折り返してバータックで補強。

【ディテール②】ループネック

ニュージーランド型はひと続きの生地でネックをループ状にしている。破れにくく、背後から襟を引っ張られても危なくない。

【ディテール③】ラバーボタン

ループネックもそうだが、ラバーボタンを考案したのもカンタベリーだ。柔らかい素材なので自分も敵も傷つけることがない。

【歴史】現存では最古の100年ブランド。

1904年、靴下などを編む工場と羊毛工場が合併。この時に誕生したレーン・ウォーカー・ラドキン社が前身だ。

【こだわり】コンセプトは“世界一タフな活動着”。

「The Worldʼs Toughest ActiveWear(世界一タフな活動着)」をコンセプトに掲げるカンタベリーは、1920年代から特別な編み機を使ってラグビーシャツの素材を編み立ててきた。

【イングランド代表】UMBRO(アンブロ)

昨年秋冬シーズンよりアーカイブから着想したコレクションが始動した。素材や柄、ディテールは1960年代のモデルから継承し街着としてのアレンジが施されている。参考商品

アンブロは英国の音楽やサッカーが好きな人にとってはお馴染みのマンチェスターで創業している。「マンチェスターは“コットンポリス” とも呼ばれてきた街。霧が多くて多湿な土地柄が綿花の保管に適していたので、世界中から綿が集まってきました。それもあって、コットン素材を使ったスポーツアパレルがアンブロの強みになったのです」(冨田さん)。

「デサントジャパン」MD・冨田裕也さん|かつてはセレクトショップで企画を担当。新しいコレクションは、アンブロのラグビーシャツを街で着てもらうべく企画した

そもそもミルスペックに基づいて軍服を生産していたブランドだから、機能性が問われるスポーツウエアはお手のもの。

「ラグビーはイングランドで生まれ、英国の上流階級が愛した紳士のスポーツ。だから、ユニフォームは襟付きなのです」。

イングランド型の襟周りは、きっちりと頑強に仕上げられているだけでなく紳士の風格を備えている。

アンブロは1940年代からラグビーシャツの生産を開始。1958年製の貴重なヴィンテージがこちらだ。素材はコットン100%だが細番手の糸で柔らかい肌触りに仕上げられている。相手から掴まれにくいタイトフィットが主流。(参考商品)

【ディテール①】台襟&トップボタン付き

襟があるのはもちろん、試合後の交流会にネクタイを着用して出られるようにトップボタン付きなのもイングランド型の特徴。

【ディテール②】6センチ幅のボーダー。

アンブロのフラッグシップとされるボーダー柄は、幅が6センチ。カンタベリーの4インチと比べてみるとだいぶ細い。

【ディテール③】動き易い脇下のガゼット仕様。

脇の下のフロント側とバック側にそれぞれ別生地で切り替えをあしらっている。手間のかかる工程を経て、動きやすさを確保。

【歴史】ミルスペックをもった世界初のスポーツブランド。

1924年に創業した当時は、軍服やボーイスカウト用ウエアを手がけていた。多くのスポーツブランドは靴
から歴史をスタートさせているが、ミルスペックに準拠したウエアからというのは珍しい。

【カタログ】1960年代のカタログをレシピに完全再現。

貴重な資料として保管されている1960年代のセールスカタログではボディの素材や柄、襟のディテールなどについての詳しい解説を見ることができる。今秋から立ち上がる「アンブロハウス」コレクションでは当時のレシピが活かされている。

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部