【’77-’82 1stタグ】その起源を知れば完成形の素晴らしさが際立つ。
創業当初、グレゴリーはカリフォルニア州のサンディエゴに拠点を構えていた。そして、この時期、バックパックマーケットでは、主要なパーツが金属からプラスチックへと変更されていく変化が始まっていた。グレゴリーでも、1stタグ最終年のʼ82年までの間に細部のパーツを含めて細かくディテールの変更が見られる。デイパックにおいては2種類、デイアンドハーフパックにおいては3種類の仕様の異なる製品の存在が確認されている。
当時から見た目のシンプルさにこだわりつつ、細部の縫製にも非常に気を配っていたのであろう。それゆえ例えば内側の縫い代の先端をテープであらかじめ縫い合わせる事により、生地の解れを防止する手法をいち早く取り入れていたりした。
【’83-’84 プリントタグ】移行期の短くも激動の2年間。
プリントタグへの変更が行われた最大の要因には、本拠地をサンディエゴから同カリフォルニア州のテメキュラという町へ移した事が挙げられる。写真のタグの様に、初期のプリントタグは薄手キャンバスの様な生地にブラウンでロゴがプリントされている。これ以降のタグにはGREGORYのロゴの表記のみで、1stタグのようなMOUNTAIN PRODUCTS及び本拠地名もタグには記されない。
諸説あるが、タグコストの高騰等様々な理由で次代の茶タグへ移行するまでのスポット的なデザインであったという説が有力だ。また2年という短い期間という事もあり、いまでは謎も多く、プリントタグのスーパーライトシリーズ製品は幻の逸品となっていて、これからも、当時の逸品が発見されるかもしれない。
【’84-’89 茶タグ】進化の過程の様々な要素が凝縮。
銀文字タグ期に次ぐ長期政権であったのが茶タグ期。用途や使用する環境によって最適なバックパックをユーザーが選択できるよう、それぞれのカテゴリーの製品のボリュームを大幅に増やした時期でもある。ʼ83 /ʼ84年の[ランパールーム]を皮切りに、ʼ85年には[ツーデイ]、ʼ87年に[テールメイト]、[ラフハウス]等、グレゴリーの屋台骨として後のロングセラーとなる製品が次々とリリースされた。
この頃の大型、中型のラインナップを見ても、グレゴリーの歴史において、次なるステップへの重要な移行期であったことがうかがい知れる。
【’90-’92 紫タグ】’90年代。新しい時代の風が製品に吹き込まれた過渡期。
新しいサスペンションシステムを独自に開発し、大型製品が「カーボンシリーズ」、「アドベンチャーシリーズ」、「テクニカルシリーズ」と大きく3つにカテゴライズされることで、より用途にフォーカスしたモデルの開発に力が注がれたのがこの時期。
ライフスタイルモデルを代表するDAYシリーズ(デイパック、デイアンドハーフなど)のカラーバリエーションも豊富になり、定番カラーを展開しつつも、グレー/パープル、ターコイズ/パープル、エレクトリックブルー/パープル、ブラック/パープルなどトリムに鮮やかなカラーの入るモデルが多数登場した。このド派手な色同士を組み合わせた独自のカラーリングに、多くのグレゴリーファンが魅了されていった。
【’93-’97 青文字タグ】色褪せる事のないアメリカンスピリットと“蒼い”文字。
黒いベースに手書き風の柔らかい山の稜線と青い文字。グレゴリーのロゴデザインが大きく変更されたのが’93年。この変更を機に紫タグとの差別化を図る「旧タグ」というワードが巷で囁かれるようになる。世はアメカジ全盛の時代、いかにもアメリカらしいタフな作りとシンプルなデザインが受け、若者の間で爆発的にヒットする。
青文字タグ期特有のカラーバリエーションの豊富さで人気は更に広まり、街はデイパック、デイアンドアハーフを背負う若者で溢れ、タウンユースにおける絶対的地位を確立した。この一大ムーブメントが後に年齢・性別を問わず幅広い層へと広がってゆく。改めてこのデザインが秀逸なものであることを思い知らされる。
【’98-’15 銀文字タグ】円熟を迎えた30周年、更なる境地を目指して歩み続ける。
最近まで展開していたロゴであり最も長く使用されていることで馴染み深い人も多いだろう。この時期にも新しい柄や独自に製作した柄、また新しい素材を積極的に製品に用いるなど、そのバリエーションの多さは他のタグの時期の商品量とは比べ物にならないくらい多く登場し、リリースされた名作は数えきれない。
一方で、デイパックやデイアンドハーフに代表されるように、グレゴリーには創業当初にリリースされた製品の中に、現在も形を変えずに販売されている超ロングセラーの定番モデルがいくつもある。この変化と普遍性。相反する力を持ち合わせていることはグレゴリーの大きな魅力であろう。ブランドを知らない人はいないほどの知名度を持ちながらも、常に時代の先を見据えているのだ。
【’16以降~ 新生タグ】そして7代目の現在。
2016年から登場の7代目となる新生タグ。3、4世代の茶タグ、紫タグを彷彿とさせる山型デザインに、旧タグ好きたちがざわついている注目株だ。
『タグ』を見れば、その年代、そしてそこに注がれた叡智の片鱗に触れることができる。知れば知るほど面白い、グレゴリーのその歴史。愛され続けるブランドの長き歴史を感じてしまったあなたは、もうグレゴリーのトリコになっているはずだ。
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