これまでの最下位MacBook Proとはレベルが違う
歴代MacBook Proの最下位モデルというのは、『Pro』というのは名ばかりのモデルだった。たいていは上位の『Pro』モデルのボディにMacBook Airのエンジンを積むことで作られる。だったら、MacBook Airを買った方が軽いし、上位の本物の『Pro』の方が高性能だ。それは、インテルのチップを積んでいた時代からそうだったし、一昨年のM2の時もそうだった。
もっと乱暴に言うと、Air買っとけばいいのに、『Pro』の肩書きが欲しい人が買う製品……というのが私の中での位置づけだった。
しかし、昨年、上位モデルの14インチディスプレイのボディが採用されるようになってから少し様子は変わった。
チップセットはAirと同様でも、ディスプレイやオーディオは上位モデルと同じ高級なものが使える。HDMIも繋げるし(プレゼンする時にアダプターを使うのは微妙にトラブルの元)、SDカードも挿せる(ミラーレス一眼を使ってる私には必要な機能なのだ)。
しかしながら、Thunderboltポートが2つしかなく、外部ディスプレイがひとつしか繋げないのが困る。筆者は2枚の外部ディスプレイを使わないと原稿が書けないのだ。この制限は、Apple Siliconが登場した時から、無印Mシリーズチップの制限としてつきまとってきたのだが(筆者はけっこう困る)、ついにその制限が解除されたのだ。
今回のMacBook Pro M4は、Thunderbolt 4が3ポートとなった。
外部ディスプレイも6Kまでを2枚接続できる。ようやくProモデル同等になったのだ。
※M4 Proと M4 Maxは、Thunderbolt 5対応となったが、こちらはすぐに周辺機器は登場しないだろうし、急ぐことはない。M4 Maxはさらに多くのディスプレイを接続できるが、まぁそれはそれ。
M1 Proからの買い替えに
これにより、ほぼすべて上位モデルと同等で、高性能なApple Siliconのおかげで無印Mなのにハイパフォーマンスという製品になっている。
ベンチマークテストをしてみたが、M3 MacBook Airはもちろん、無印MチップなのにM1 Proの性能を上回る。
現状、筆者はM1 Proで処理能力的には不満はないので、M4に乗り換えてもOKということになる。
円安のせいで、M4 Proに必要なストレージを積むと50万円近くになってしまうのだが、M4で済むなら35万円ぐらいでなんとかなる。これなら買えなくはない。
価格据え置きで追加された機能もいろいろ
しかも、今回は価格据え置きで、メモリーは16GBがデフォルトで搭載されている(Apple Intelligence用の増強だと思われる)し、32GBまで増強可能。Nano-textureガラスも2万2000円のオプションで選べる(72万8800円のPro Display XDRでは10万円+のオプションだ)。これは、ガラス表面のコーティングではなく、ガラス表面に信じられないほど複雑な凹凸を作って反射を防ぐ仕組みなので、剥がれたりする心配もない。
(余談だが、『信者の布』と呼ばれる2780円のポリッシングクロスは、本来このNano-textureガラスを拭くために作られたもの。表面の凹凸が激しすぎて、通常の布やティッシュで拭くと、表面に繊維が残ってしまうことがあるらしい……と聞かされていたが、実際にティッシュで拭いてみると問題はなかったけど)
さらにFaceTimeカメラは、従来の1080pのものから1200万画素の超広角になった。これはiPhoneで0.5倍として使われているものに近いカメラ。それの一部をトリミングして、画像補正して使うことで、まるでカメラが追尾しているように動作するセンターフレームカメラや、机の上のものを俯瞰で撮影できるデスクビューを実現している。
しかも、上位モデルと同じバッテリーを搭載しているのに、M4の省電力性能が高いから、なんとビデオストリーミングで24時間のバッテリーライフを実現している。ノート型Mac史上最長のバッテリーライフだ。もはや、使っている人間の方が先に参ってしまうことは間違いないし、1〜2泊の出張なら、電源アダプターを持たずに出掛けてもいいのかもしれない(なんとなく不安で持って行ってしまうけれど)。
ちなみに、付属する電源アダプターは70W。最近の多くのアップル製品と同様に、メッシュクロスでカバーされたUSB-Cケーブルが付属する。
圧倒的なベンチマーク
ベンチマークを計測して驚いた。
M3のMacBook Airはもちろん、M1 Proにさえ、すべてのベンチマークで上回るのだ。GPUが14コアのM1 ProのGPUメタルを、10コアのM4が上回るのだから驚きだ。
さらに、これから利用頻度が増すApple Intelligenceの性能を左右するであろうGeekbench AIの数値は圧倒的だ。Quantized(量子化)では、M1 Proの3倍のスペックを持つので、Apple Intelligence利用ではかなり性能差が出るだろう。
円安の減速もあって、お買い得!
MacBook Air M3と比べると、処理能力はもちろん、ディスプレイやオーディオ性能、多彩なコネクターなどさまざまな面でMacBook Proの方がメリットが大きい。
従来のM2、M3 MacBook Proはもちろん、M1 Pro搭載のMacBook Proの性能をさえも軽々と上回る。Apple Intelligenceの性能を左右するNeural Engineの数値は圧倒的だ。さらに、バッテリーライフは24時間! 従来、なにかと制限を加えられていた最下位モデルのMacBook Proだが、今回ばかりは手放しでお勧めできる。
また、円安の減速で、近年上がり続けていた日本での価格が据え置かれているのも嬉しいポイントだ。
筆者もMacBook Pro M1 Proを売却して購入しようか、真剣に悩んでいる。
(村上タクタ)
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