ヘルスケアデータの公益プラットフォームを構築
ご存知のように、台湾は国を挙げてテクノロジー立国を目指している。日本のデジタル庁のモデルにもなった、オードリー・タン率いるデジタル発展部がその活動を主導している。
人口2300万人。中国のすぐ近くに位置しながら、世界の半導体の約2/3を生産しており、非常に難しい舵取りを要求されてる同国は、それでもテクノロジーの力をもって、世界における存在感を増そうとしている。過去の経緯もあって、非常に親日な国でもあるから、日本にとっても協力しあってビジネスを行いやすい国だ。
その台湾が、ヘルスケアデータの公益プラットフォームを公開すると発表した。
現在、世界の人々のヘルスケアデータは、アップルやGoogleなどアメリカのビッグテックが独占するものになりつつあるが、台湾では、データセットの標準化を進め、そのデータを多くの人が利用できるようにしようとしている。
今後、ヘルスケア、スポーツ関連のサービス、商品を開発する際に、多くの人のデータが必要になることが増えてくるはずだが、その際にビッグテックのデータの独占がかならず障壁になってくる。台湾デジタル発展部の施策はそれに対する回答のひとつになるはずだ。
台湾の人たちは人種的にも日本人に近いので、体格や運動能力などのデータが日本で取得するデータに近いはずだというのも、日本にとって重要なポイントになるだろう。
これらのデータは、もちろんプライバシーなどに配慮した状態で取得されており、正確性も担保されたものとなる。
110の測定項目が定義されており、現在のところ60万件以上のデータが集積されているという。
これらのデータをプライバシーに問題のないカタチで集積するのは、なかなか難しいものがある。これらのデータは日本企業や、スタートアップにとっても、非常にメリットの大きなものになるだろう。
多くのスポーツテック企業が、SPORTEC 2023に出展
続いて、SPORTEC 2023に出展していた台湾企業を何件かご紹介しよう。
H2U
H2U
https://www.h2u.com.tw/en/home
H2Uは台湾の労働人口の30%の人が会員になっているという総合グループ企業。
健康メディアや、スポーツコミュニティ、職場健康ブランド、検診プラットフォームなどを擁している。
Uniigym
Uniigym
https://www.uniigym.com/
Uniigymはスマホやタブレットのインカメラから、写ってる人のモーションデータを取得するサービスを行っている企業。
フィットネスアプリや、ダンスアプリ、ゲームなど、さまざまアプリで利用可能なデータを取得できる。
すでに、多くのアプリで利用実績を持っている。
Space Capsule
テープ状のセンサーを使ったモーションキャプチャー技術。
センサーを衣服に縫い込むことで、非常に正確な動きをキャプチャーできるとのこと。ピッタリフィットの服でなくても、少しゆるめでも身体のブレやねじれなどの動きを捉えられるため、ゴルフウェアに縫い込んで、フォームのチェックなどが可能とのこと。
その動きを、リアルタイムで、スマホやスマートウォッチ、スマートグラスなどに表示できる。ゴルフ以外にも活用可能とのことだが、これはいろいろなスポーツで活用できそうな技術だ。
dBio
dBio
https://www.dbio-tech.com/
dBioは、AIoTインソールセンサーと、AIoTウエアラブル聴診器を使って運動と健康のデータを統合し、運動と健康に関するセンシングを可能とする企業。
靴のインソールに多数の精密な圧力センサーを入れて、身体の傾きや、姿勢などのデータを詳細に取る技術を持つ。
上の写真は、あくまでイメージディスプレイで、実物ではないが、リアルタイムで、下のようなデータが取れる。
担当の方が実演して下さったが、前に姿勢を傾けると前の方の圧力が上がり、横に傾けると片足側の圧力が高まる。姿勢変化は足裏に緻密に反映されるのだとよくわかる。
たとえば、ランニングでどの部分に圧がかかっているから、どういうフォームになっているとか、詳細なデータが取れそうなので、さまざまなスポーツで、フォームの解析などに使えそう。
WhiizU
WhiizU
https://www.whiizu.com/world/
WhiizUは、Zwiftのようなローラー台に乗せた自転車のバーチャルトレーニングが可能なアプリ。ローラー台上の自転車を漕げば、画面上の風景が流れる。
Zwiftと違うのは、WhiizUが、実際のコースをモデルとしているところ。実際のコースを走りながら、リアルのコースレコードと競うことができる。台湾を中心に国内外の有名コースをバーチャル空間内で走ることができる。自転車好きにとってはトレーニングに良さそうだ。
日本も台湾のデジタル発展部と協力する姿勢を!
台湾は面積にして、九州と同じぐらい。人口も日本の1/5ていどの小さな国だ。
しかし、デジタル発展部を中心に、IT業界に国を挙げて注力し、国際社会でも大きな影響力を持ってることはご存知の通り。
国民のヘルスケア、スポーツデータを、ビッグテックに独占させないために、国がデータセットとして一般に提供するというような考え方も非常に面白い。日本も台湾から学ぶことが多くありそうだし、今後も協力し合って取り組んでいくべきだろう。
(村上タクタ)
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