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Apple Vision Proを体験した! それを疑似体験できるように、こと細かに書こう

掛け値なしに『人生で一番の取材体験』だった。

今でも、夢を見ているようだ。日本から来たメディアでVision Proを体験した人は、一様に語彙を失って、『スゲエ』『ヤバイ』しか言えなくなっていた。言葉を職業にしている、プロ中のプロたちのはずなのに。

誰もが語彙を失って、興奮状態になって、「かならず来年年明けの、USでの発売時に買いに来よう」そう語り合う集団になってしまっていた。

深呼吸して文章を読んで、イメージしていただきたい

しかし、我々には、日本のメディアでもほんの数人にしか与えられなかった、この貴重な機会を言葉にする義務がある。

他のデバイスと違って、体験には時間がかかるし、広い場所(つまり部屋のような)も必要。さらに個別にセッティングも必要。だから体験できた人はとても限られている。そして、その場所は写真や動画の撮影が禁じられていたから、実際に装着している写真はない。

極力、筆者の体験をそのまま文字にしてみるので、ぜひご想像いただきたい。

部屋の中で、ソファに腰掛け、ゴーグルをかぶる。ケーブルで繋がるバッテリーは、歩き回るのであれば、ポケットにでも入れておく必要がある。

ゴーグルをかぶってるにも関わらず、視界には部屋がきれいに見えている。

視界は裸眼より少し狭いかもしれないが、気になるほどではない。眼鏡をかけていてもフチが視界に邪魔になるかというと、そうでもないのと同様。気にはならない。少し左右の端が暗いかも……というぐらいだ。

解像度の不足は感じないが、MacのRetinaディスプレイの「ピクセルが見えない」という状態には一歩足りないかもしれない。不足はないが、まだ未来には進化の余地はあるかもしれない。しかし、現時点では、過去に似たものを体験したことがないほどの『ほぼ完全に外が見えている』という状態だ。

厳密にいえば、裸眼の状態よりわずかに彩度が足りないかもしれないというぐらい。

ただ、それは現実の色を知ってるからで、後ほど体験する現実に存在しない表示物を見た時は彩度が低いとは思わなかったからだ。

ソファーとテーブルを避けて、スッスッスッと歩いてみるが問題なく歩ける。表示レスポンスとしてもまったく問題はない。机の上の本を手に取ってみるが、問題なく手に取ることができる。視界と、実際の手の位置のズレなども感じない。頭を振って見ても視界のブレも感じないし、酔いそうな感覚もない(筆者はVR酔いに弱い)。

『見る』ことで操作できる魔法

「右上にあるデジタルクラウンを押してみて下さい」

と言われてデジタルクラウンを押すと、目の前の空間に、丸いアイコンが「ホワッと浮かび上がって来る」。さっき言ったように、現実の風景はほぼ現実のままだが、彩度が95%ぐらいになっているので、逆にアイコンの方が色鮮やかに、くっきり見えるほど。

「写真アプリのアイコンをタップして下さい」

と言われる。

手にはマウスもコントローラーも何も握っていない。

ではどうするかというと、見るだけなのだ。

アイコンに順番に目線をやると、目を合わせたアイコンが、それぞれ順番にフワッと手前に浮き上がる。

『タップ』とは、手の指の親指と人さし指を何かをつまむように合わせること。手は上に持ち上げる必要はない。テーブルの上か大腿部の上あたりでも、指をスッと合わせると『タップ』したことになり、アプリが開く。

空間に浮かぶ美しい磨りガラスの板

写真アプリが開く。

平らな板が目の前の空間に浮かんでいる。あたかも空中に磨りガラスが浮いているような感じだ。

写真部分は不透明だが、ウインドウの『地』にあたる部分は磨りガラスのような感じ。背景になっている実際の部屋の風景がぼんやりと映っている。

2~3mmぐらいの厚さのある造形で、指を持っていくと端っこをつまめそうなほど。立って、歩いて裏側に回ってみると、ちょっと梨子地っぽいグレーになっている。

ソファーに再び戻って、もうちょっと画面を自分に近づけようとする。画面の下の方を見るとグレーの端の丸いバーが浮かび上がるので、それを指で持って手前に近づけると、ウインドウ自体を近づけることができる。逆に遠ざけることもできる。

右下を見ると角のところに弧(ステージマネージャーの時に右端に現れる弧と同じ)が現れるので、それを持って右下にひっぱると、ウインドウを大きくできる。自分が見たい位置、見たい距離、サイズに仮想空間上の画面が浮かび上がっている。

信じられないかもしれないが、デモで見たそのままの光景が目の前に広がってるのだ。

あの画像より、解像感が下がるとか、美しさが減るということはまったくない。それより、あの動画では、この立体感は伝わってなかったなぁと思う。

AR/VR上のインターフェイスとはいえ、モノの質感、デザインにこだわるアップルのセンスが、この体験を非常に美しいものにしている。ただ、ARのオブジェクトを置けばよいというものではなかったのだ。

写真表現、動画表現が完全に立体になる

空間写真、空間ビデオという新しい映像表現が用意されている。

ちょうどぼんやりした窓の向こうに写真や動画が見える感じの表現だ。

ただし、これが立体に見える。当りそうなぐらい近づいてくる感じではないけど、窓の外に立体物としてある感じ。

子供が誕生日でバースデーケーキのロウソクを吹き消すシーンを見たのだが、こちらに流れてくるロウソクを吹き消したあとの煙に、その匂いを感じた(もちろん錯覚だが)ほどだ。

写真もすごいし、動画もすごい。これは、Vision Proで撮影できるのだそうで、Vision Proを通して外を見た時に感じる立体感と同じように撮影できるから、つまりは本物がほぼ同じように見えるということだ。

離れた家族と、こんな立体的な動画を送り合えたら、すごく幸せだと思う。

また、もし、昔住んでた家や、世を去った家族の空間ビデオが残ってたら……と思うと、考えただけで涙が出そうだった。『夢でもいいから会いたい』という言葉があるが、ほぼそれに近い感覚だと思うのだ。大事な時間の空間ビデオをいっぱい撮っておきたいと思うようになるだろう。

さらに、これまでiPhoneで何気なく撮っていたパノラマ写真がとんでもない宝物になる。

まるで、自分を取り囲む風景であるかのようにパノラマ写真を見ることができるようになるのだ。

装着感のディテールを説明しよう

いくらでも続きを書けるが、他のアプリ体験の話は、また別の機会に譲ろう。

体験をイメージするために、いきなり操作するところから書き始めたが、実は最初にセッティングが必要なのだ。

まず、眼鏡をかけている人は、そのままでは使えない。度数に合ったツアイス製の追加レンズを加えないといけないらしい。そして、Face IDと、空間オーディオのプリセットを事前にする必要があった。

また装着してからは瞳孔間距離の調整とアイトラッキングの調整が必要。瞳孔間距離の調整は、デジタルクラウンを長押しすることで、自動的に行われる。アイトラッキングの調整は、違う場所に現れては消える小さな丸を目で追っているとあっという間に終了する。この調整自体もユニークな体験になっているのがアップルらしい。

ゴーグルは、普通のVRゴーグルと変わらないぐらいの重さに感じた。ただ、重心はより顔に近く、疲れる感じはない。後ろ側のバンドのフィット感は極めて良いし、右側のダイヤルを回すと、中に仕込まれたワイヤーが締まっていく感じで、かなりフレキシブルで、しっかりと締め込むことができて、装着感は非常にいい。

また、展示品と違って、頭頂部に横一文字に補助ベルトが通っていた。このあたりの仕様はまだ最終決定がされていないとのことだったので、発売仕様がどうなるかはまだ分からない。ともあれ、装着感はとてもいい。バッテリーを外付けにした意味はあるのだろう。

ちなみにバッテリーは2時間ぐらい持つらしいが、バッテリーにUSB-Cポートが付いていて、そこにACに繋いだケーブルを繋ぐと、デバイスに給電することもできるし、バッテリーも充電される。もちろん、そこにモバイルバッテリーを繋いでずっと使い続けることもできる。立ち歩く時だけ、バッテリーの持ちが気になるという感じ。

試用が終わるのが恨めしかった。可能な限り早く入手したい

まだまだ、言いたい事があるが、あまり長い記事は読んでいただけないらしい(笑)続きは別記事として書くので、ここでいったん筆を置こう。

本当に、ここでこのVision Proをひと足先に体験できたことを神に感謝したい気分だし、今日はニヤニヤが止まらない。

それと同時に、今、あのデバイスが手元にないことが残念でならない。一刻も早く欲しいので、たぶんUSで発売された時点で買いに行くと思う。

アップルのMacも、iPhoneも、この体験に辿り着くためのデバイスだったのかもしれないと思う。私がMacの会社だと思っていたアップルが、今や世間的にはiPhoneの会社だと思われているように、何年かしたら、多分10年もしないうちにアップルは『Visionを売ってる会社』だと思われるようになるだろう。

おそらく、この文章を読んだ方の多くは「でも、そんなハズはない」「私には要らない」「何に使うの?」「3499ドル(約50万円)は高過ぎる」と思われるに違いない。

しかし、あの体験はすべてに勝ると思う。

まちがいなく、『iPhone、スマホの時代』の次は、『Visionの時代』だ。

(村上タクタ)

体験直後の、興奮し過ぎて語彙力が下がっている動画です。話は分かりにくいかもしれませんが、興奮度合いは伝わると思うので、ぜひご覧下さい。

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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