こだわる大人の愛車録。「ii-inc岩城さんが出会ったヴィンテージワゴニア」編

クルマやバイク選びは人それぞれ。移動手段であれば何でもいいよという人もいれば、デザインやカラー、中身にこだわりたい人、クラシックなモデルに心惹かれる人などなど。そんななかでも愛やこだわり、それに独自のセンスで愛車を選ぶ人の審美眼とストーリーを紹介する愛車録。今回は広告中心にクリエイティブやコンサルタントを手がける岩城さんの愛車選びに触れた。

ヴィンテージワゴニアを手に入れたとき、クルマに乗るのが「楽しみ」になった。

新型のワゴニア、グランドワゴニアがジープから発売されたことも手伝って、今や旧車となったかつてのワゴニアやグランドワゴニア、それにチェロキーといったフルサイズジープの注目度がアメリカ旧車のなかでも高まっている。

そんなフルサイズジープの1971年式AMCジープ・ワゴニアに乗る岩城さん。アメリカ旧車の中でも稀少なモデルを普段使いで乗りこなす姿はかなりの上級者だと思ったら、自身初めての旧車がこのクルマだったという。その出会いも縁があったからだという。

「クルマに興味を持ったのは父親の影響もあると思います。父が昔からメルセデスベンツのW123やトヨタのクラウンワゴンとか旧いクルマに乗っていて。クルマ好きだったんですよね。そのせいか、僕も小さなころにワゴニアの存在を知っていつかは乗ってみたいと思っていたんですよね」

と、幼少期からワゴニアは憧れのクルマのひとつだったという。そしてそんなクルマへの憧れが現実的になってきた約3年前くらいに奮起してワゴニアを探し始めたという。

「いよいよ乗ってみたいと思って真剣にワゴニアを探し始めたときに横浜のバディオートさんを知って、相談してみようと思ったところ、ちょうど知人の知人だったことがわかりまして。これもご縁かなと思ってお任せすることにしました。最初は気になっていた車両があったんですが、それが売れてしまって、しばらく待とうと思っていたら今の1971年式が売りに出ると聞いて決めました。これも縁だったんでしょうね」

デビュー以来、ベースは最終モデルまでほとんど変わることなく生産され続けたワゴニアも、各年式でエクステリアのデザインには違いがある。とくに1971年~1973年モデルはフロントマスクのガーニッシュのデザインやエンブレムの位置なのが他の年式とは違っているのもポイントになっている。そんなレアなモデルを岩城さんは仕事からレジャーまでこの1台で楽しんでいる。

「以前は現行の輸入車に乗っていたんですが、それまでクルマはあくまで便利な移動手段としての存在だったと思います。天気が悪いからとか、荷物が多いからクルマで動こうというレベルの存在で。でもこのクルマになってからはクルマがひとつの『楽しみ』になりましたね。これはずっと乗り続けていきたいと思っています」

クルマ好きでも一生モノの1台に誰もが出会えるわけではない。そんななか、初めての旧車で一生乗りたいと思わせるワゴニアに出会った岩城さん。人とクルマの縁はライフスタイルに奥行きを持たせてくれる存在なんだと、岩城さんとワゴニアとの付き合い方で再確認できた。

1971 AMC Jeep Wagoneer オリジナルスタイルを維持しながら、見えない部分は普段使いできるアップグレードをした大人なスタイル。

年々希少価値が高まっているフルサイズジープ。とくに1970年代前半のモデルはそれまで製造していたカイザーと1971年から製造を開始するAMCとの過渡期だったこともあり、ディテールに特徴があるのがおもしろい。偶然にもそんな稀少な年式に出会ったことで、岩城さんはオリジナルを重視しながらも、デイリーユースするために各部をアップデートしている。

1963年に当時のカイザーから誕生したワゴニア。ワゴンボディに4輪駆動の組み合わせというモデルとしては英国のレンジローバーよりも歴史は古い。

ワゴニアは4ドアのワゴンボディのみの展開。車高やタイヤ&ホイールなども当時のままのセッティング。純正のホイールキャップなどは今や稀少品といえる。

リアゲートはリアウィンドーを下げ、ゲートを下に倒して開けるという昔ながらのスタイル。この年式は独特なデザインのガーニッシュで下部が装飾されている。

この年式のエンジンは当時のビュイック製350キュービックインチ(約5700cc)を搭載。オリジナルの見た目を損なわないホーリー社製のスナイパー・インジェクションシステム(EFI)に換装しているので、冬場や大雨の日でもエンジン始動を容易にしている。エアコンも現代のシステムにアップデートしている。

フロントは昔ながらのベンチシートが前後で2列セットされるインテリア。フロントにも3人乗車が可能というのがいかにも往年のアメリカ車らしい部分。

ホーンリングが付いたクラシカルなステアリングはオリジナル。AMC製だが、まだホーンボタンにはカイザーのエンブレムになっているのが過渡期モデルらしさ。インパネはスピードメーターが中央に大きくレイアウトされるシンプルなデザイン。

エンジンルームにある年季の入ったステッカーは当時のオリジナル。ここもカイザー時代のモノになる。あえてこのままヴィンテージの風合いを楽しんでいる。

フロントの左右に手の込んだガーニュッシュがデザインされるのは1971年~1973年式までしか採用されていない稀少な仕様。フロントの印象をラフジュアリーに演出する。サイドに装着されるJeepのエンブレムもこの年式ならではの稀少なモノ。

ボディサイドにあるのはエンジンの種類や4WDを表すエンブレム。立体感のある手の込んだデザインなのがヴィンテージらしさ。こういうディテールもクルマの雰囲気を高めている。

仕事もプライベートもこの1台だという岩城さん。ヴィンテージカーでも扱いやすくアップデートすることができるのがアメリカ車の懐の深さ。このクルマに乗り替えて、運転することが「楽しみ」へと変化して、クルマに対する気持ちも変わったという。

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

Pick Up おすすめ記事

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。