ジープファミリーの末っ子、レネゲードはフィアット500と兄弟関係の世界戦略モデル

ジープファミリーの末っ子としてラインナップされているコンパクト・クロスオーバーSUVであるレネゲード。まだその歴史は浅いモデルだけど、アメリカのみならず、ヨーロッパやアジアでも展開しているジープの世界戦略モデルのひとつだ。そんなレネゲードをちょっと深掘り。小振りながらしっかりとジープのDNAを持ったモデルに仕上がっている。

ジープでありながらGMやフィアットなどが関係するコンパクトモデル。

ジープブランドがまだフィアット・クライスラー社になる前からチェロキーの弟分として開発が始まっていたレネゲード。そのルーツを辿ると2008年にデトロイトショーで発表されたレネゲード・コンセプトまでさかのぼる。

このコンセプトモデルをベースに、フィアットがGM(ゼネラルモーターズ)と開発したコンパクトカーの製造プラットフォームを進化させた背景で生まれている。

なんだか、クライスラーやらフィアットやらGMやらややこしい背景だけど、そんな激動の自動車史のなかで、そのままレネゲードの車名で2015年モデルとしてフィアット・クライスラーの元で登場した。

2008年にデトロイトショーで発表されたレネゲード・コンセプト。それまでのスクエアなジープとは違い流線型ボディにオープン2シーターというスタイルだった。これがご先祖様。Photo by Stellantis

レネゲードは古くからジープにあったパッケージ名が由来。その意味は「無法者」。

名前のレネゲードはかつてジープのトリムパッケージに存在した名前を採用。これは反逆者という意味だけど、どちらかというと無法者という意味合いではないかと。

レネゲードはかつてはCJシリーズやラングラー、それにリバティ(日本名チェロキー)などに存在していた名前で、それら旧モデルのオマージュではなく、まったく新しいスタイルのジープながら、往年のジープファンにも受け入れられるようにかつて存在した名前を冠したと思われる。

フィアット・クライスラーの元で生まれたモデルなだけに、そのコンポーネントはフィアット500Xと共有しているので兄弟関係になる。アメリカ車とイタリア車が兄弟関係というのも現代ならではかもしれない。

レネゲードはコンパクト・クロスオーバーSUVに位置するカテゴリー。本格的なクロカンモデルではないといっても、ジープ伝統の7スリットグリルやクラシカルな丸目を採用するなど、ジープを知っている人には受け入れやすいデザイン。荒々しい意味を想像させるネーミングながらも、そのスタイリングがほどよくキュートなのもおもしろい。

メカニズムはFFベースの4WDで、4WDモデルは当時のクライスラーが開発を担当し、それを採用している。

搭載されるエンジンはマルチエアと呼ばれる1.4L直列4気筒ターボ、タイガーシャークと呼ばれる2.4L直列4気筒をベースに、北米以外ではディーゼルエンジンも存在。排気量の違いなどで世界中で歴代計13種類のエンジンが登場している。

ちなみに現在日本のレネゲードには、マルチエア3と呼ばれる1.3L直列4気筒ターボが搭載される。

アメリカ車にしては小排気量というのも、フィアットの息がかかっていることと世界戦略モデルであることが背景にある。まあ、フィアット500Xが兄弟でもあるし。といっても実際に登場から世界で約200万台を販売したという実績は本来のジープ愛好家以外にも刺さったモデルだということを証明している。

さらに2020年にはプラグインハイブリッドになる4xe(フォー・バイ・イー)モデルが追加され環境性能にも注力したモデル展開に。ただ4xeは本国アメリカ以外のマーケットで販売され、アメリカでは現在、1.4L直列4気筒ターボのガソリンエンジンのみの展開になっている。

しかもアメリカでは2023年モデルを最後に販売が終了して絶版車に。2024年時点ではアメリカ車なのにアメリカ以外で販売されるモデルになってしまった。これは2017年モデルからアメリカでは販売台数が年々落ち込んだことが理由になっている。

ちなみにヨーロッパでは2024年モデルの受注が始まっているけれど、純粋なガソリンエンジン搭載モデルは絶版になり、eハイブリッドとプラグインハイブリッドになる4xeモデルのみのラインナップになっている。これからは名実ともに欧州仕込みのジープというわけ。

もともとレネゲードの名前はCJ-7やラングラーなどのトリムパッケージの名前として存在していた。これは1977年式CJ-7レネゲード。フード上のストライプやフード横のレネゲードのデカールが特徴。Photo by Stellantis
これがレネゲードと兄弟車になるフィアット500X。同じプラットフォームが採用されているけれど、アメリカとイタリアでここまでスタイリングが違うクルマに仕上がっている。Photo by Stellantis

初代から日本に上陸。新車価格や燃費、それにサイズ感や中古車などもチェック。

レネゲードはそのコンパクトな車格と高い燃費性能から初代から日本に正規輸入されている。車格は2023年モデルのリミテッドで全長4255、全幅1805、全高1695mmとかなりコンパクトなので都市部や大きなクルマに苦手意識がある人にも扱いやすいサイズ感。燃費は日本独自の基準になるJC08モードでリッター10.4~15.6kmとアナウンスされている。

気になる新車価格は、日本ではガソリンエンジンモデルはリミテッドのグレードのみの展開で435万円、4xeモデルはリミテッドとトレイルホークのグレードが存在し、615万円からという設定になっている。為替の影響もあるだろうけれど、コンパクトSUVにしてはなかなかハードルの高い価格設定。

ただ、初代から正規輸入されているモデルなので中古車という選択肢もある。中古車であれば100万円台後半の個体も存在。

というわけで、レネゲードは初めてのジープとしてだけでなく、人とは違うコンパクトSUVとして狙うにも選択肢のひとつになるモデルといえる。あくまでエントリーモデル的なジープなので、ゴリゴリのジープ乗りを目指すよりも、小型車でカジュアルにジープに乗りたいというユーザーであれば候補になるモデルなのかなと。

テールランプに灯る「X」のデザインもレネゲードの特徴。これはかつて米軍が使っていたジェリー缶をモチーフにしていて、車内にも同様のデザインモチーフが使われている。Photo by Stellantis
この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

Pick Up おすすめ記事

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...