偉大なデザイナーたちも魅了した、ナバホラグを知っているか?

1940年~60年代のミッドセンチュリー期に建てられた有名なデザイン邸宅やデザイナーたちの自宅にはまるで合わせたかのように世界中の民芸品などがインテリアとして使われている。その中でも一際、目立っているのがネイティブアメリカンの工芸品であるナバホラグである。その歴史を紐解く。

鉄道インフラの整備により、伝統工芸に世界中の美術様式がミックス。

「タッバートレーダーズ」代表・荻田修平さん|1980年生まれ。三重県出身。有名ドメスティックブランドの企画担当などを経て、ヴィンテージのネイティブアメリカンジュエリー専門店であるターバートレーダーズを立ち上げる。年に数度はリザベーションを訪れ、買い付けだけでなく、独自のアプローチで彼らのアーカイブを研究しているスペシャリストだ。www.tahbah.com

今や日本のヴィンテージ市場でも評価されているナバホラグ。シルバーと織物を得意とするネイティブアメリカンのナバホ族の民藝品だ。そこで日本有数のネイティブアメリカンジュエリー&ラグのスペシャリストであるタッバートレーダーズの荻田さんに、そのルーツを聞いた。

「ナバホラグは、ディネ/ナバホ族の伝統工芸品であり、彼らの価値観・美意識や思想、そして長きにわたる逆境を乗り越えた誇り高い精神が込められた毛織物。その発祥には諸説がありますが、1700年前後には始まったと言われています。そしてチーフブランケットが生まれ、サドルブランケットやラグ、タペストリーへと変化していきます。

1800年後半に鉄道のインフラが整い、多くの観光客が訪れるようになり、美術工芸品としての人気が高まり、チーフブランケットからラグやタペストリーへとシフトするんです。また白人トレーダーが入ることで、世界中の美術様式が取り入れられ、よりデザイン性が上がっていくんです」

こちらはナバホ族の伝統的な編み機のミニチュア。よくチマヨ織と混同されるが、織り機がまったく異なり、前者は縦型、後者は横型の編み機
1880s~1910s トランジショナル。部族内で使われていたチーフブランケットから、鉄道が開発されたことでツーリスト向けのラグやタペストリーへと進化していく。その過程にあったブランケットをトランジショナル(移行期)と呼ばれる。珍しい大判サイズでガナードによる作品。78万1000円
物によっては数年掛かりで編み上げるため、途中で作業を切り上げた痕跡がわかるのも醍醐味
戦前に使われていたウィーリングログも人気の柄だ

ラグを得意としたトレーディングポスト。

ネイティブアメリカンの人々が自身の作ったシルバーやラグなどを金貨や日用品と交換するトレーディングポスト。ラグに強いトレーディングポストをピックアップ。

クリスタル

ヴィンテージラグの中でも人気の高いストームパターンと呼ばれるデザインを生み出した歴史的なトレーディングポストがクリスタルだ。四隅にライトニングが走るデザインで砂漠の民にとって恵みである嵐を表現。19万8000円

ガナード/クラゲトー

クリスタルと並んで、ナバホラグを得意とするトレーディングポストが、アリゾナ州にあるガナードやクラゲトー。多くの名作を産み出した名門で、当作や右頁にあるラグのようにガナードレッドと呼ばれる赤をアクセントにとした作風が特徴である。7万4800円

トゥーグレイヒルズ

羊毛自体のグレーやベージュを活かしたナチュラルなカラーリングが特徴のトレーディングポスト。現在も続く名門であり、多くのマスターウィーバーが所属する。右のデザインは、インディゴ染めを用いた珍しいデザイン。左の大振りなモチーフも珍しい。右/19万8000円、左/38万5000円

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

いつもの装いに、頼れる履き心地。この秋は、コートスニーカーとチロリアンシューズがあればいい

  • 2026.09.18

トラッドな装いになら、足元はやっぱり品よくいきたい。でも、履き心地だってこだわりたい。そんな欲張りな気分に応えてくれるのが「ロックポート」。クラシックな佇まいと快適さを両立した2足を紹介する。 品よく履けて、しっかり快適 「お洒落は我慢」とは言うけれど、格好よさも履き心地も譲れない。そんなわがままに...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

本格派でコスパも優れる「Amber Threads」のライトアウターで秋を始めよう!

  • 2026.10.05

古着店「DOSTYLE」を運営する「ドラマ」が手がける気鋭のアメカジブランド「Amber Threads」。“トレンドとヴィンテージを融合したアメカジスタイル”を掲げる同ブランドはバリエーション豊かなライトアウターを展開する。ヴィンテージをベースとした本格派でありながらコストパフォーマンスにも優れる...

Pick Up おすすめ記事

いつもの装いに、頼れる履き心地。この秋は、コートスニーカーとチロリアンシューズがあればいい

  • 2026.09.18

トラッドな装いになら、足元はやっぱり品よくいきたい。でも、履き心地だってこだわりたい。そんな欲張りな気分に応えてくれるのが「ロックポート」。クラシックな佇まいと快適さを両立した2足を紹介する。 品よく履けて、しっかり快適 「お洒落は我慢」とは言うけれど、格好よさも履き心地も譲れない。そんなわがままに...

歴史に残る空軍服を、いま再び。機能美が息づく「中田商店」のモーガンメンフィスベル

  • 2026.10.02

メンフィス・ベル号の機長、ロバート・K・モーガン氏との交流から始まったモーガンメンフィスベルは第二次世界大戦期の空を支えたフライトウエアを現代に蘇らせる中田商店のオリジナルブランド。極限の環境で求められた機能と、色褪せない完成されたデザインが魅力の航空服を紹介する。 R.A.F. Irvin She...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...