技が光り、奥深いレストレーションの世界。

令和の世になり、ハコスカであれ、Zであれ、いわゆる旧車はすでに登場から半世紀以上が経過していることとなる。当然これまでの時の流れによってボディは痛み、エンジンやトランスミッションもオーバーホールが必要となってくる。
そこで必要となってくるのが、レストレーションと呼ばれる作業だ。世の中には「レストア済み」と銘打った車両がたくさん存在するが、そのレベルはレストアをするショップによってマチマチというのが現状だ。レストアしても数年でボディが傷んでしまうこともあれば、新車のような状態を長年保てるものもある。

ここに紹介するのは、スターロードにて徹底したレストレーションが行われた昭和47年式のGT‐Rだ。まるで新車のように輝くボディを見れば、レストレーションのレベルの高さがよくわかるが、驚くことにレストレーションを受けたのは、今から16年も前のことなのだ。 さらにこの車両は、オーナーの希望によって、レストレーションを受けたボディをベースに、スターロード井上氏によって快適に乗るためのアップデートも行われている。
本来キャブレターはソレックスを三連装するが、この車両はファンネル仕様のウェーバーφ45に交換。さらにスターロードオリジナルのタコ足やアルミラジエターによって、S20ユニットはより現代的なチューニングが施されている。
さらにこの車両には電動パワステやクーラーといった本来GT‐Rには無縁である快適装備も、大きく見た目を崩すことなく装着することで、現代の路上でも快適にクルーズできるようになった。足回りはスターロードオリジナルの車高調に、ディスク部分がシャンパンカラーのグロースターを装着。より現代的なスタンスも手に入れた。
貴重なクルマとはいえ、普通に走らなくては意味がないという考えのもと、如何に快適に旧車に乗るか、という課題に出した答えがこのGT‐R だ。

チンスポイラーを追加したスタイルはかなりスパルタン。

助手席側三角窓に貼られた排出ガス対策済みステッカーやOKステッカーもまるで新品。

グリルやヘッドライトベ ゼルのクロームも新品のように輝いている。


ホイールはグロースターで、シャンパ ンのディスクにクラッシックリムと呼ばれる梨地を組み合わせた新作カラー。フロント15×7.5J+1、リア15×10J-28 で、それぞれ 205/50、225/50タイヤを履く。
1972 SKYLINE 2000GT-R|レストアと快適なアップデート仕様のGT-R。

標準でも160馬力を発生するS20ユニットは、下で後述するリファインやパワーアップが行われるいっぽうで、クーラーのコンプレッサーも装着。よりパワフルに、そしてより乗りやすく各部を進化している。

キャブレターはファンネル仕様のウェーバーφ45に交換している。

ラジエターはアルミ製のスターロードオリジナルだ。

マスターシリンダーはマスターバック付きに交換。

排気系はスターロードオリジナルのステンレス製タコ足とマフラーを装着する。


足回りはスターロードのノウハウが詰まったオリジナル。フロントは減衰30段調整のフルタップ車高調、リアは加工したフリーアジャストメントアームに減衰30段調整のショックを装着して乗り心地は大幅に向上している。

ダッシュはステアリングを交換し、クーラーユニットを追加した以外はオリジナルのまま。この個体にはオプションのラジオが備わる。

ステアリングはナルディで、ワークスベルのラフィックスシステムで跳ね上げが可能。

助手席足元にはクーラーの吹き出し口を追加した。

トランク内にはGT-R専用の100リッターガソリンタンクが備わる。
【SPEC】
●エンジン:RB25型改 ●排気量:2800cc ●トランスミッション:5速マニュアル ●サスペンション:フルタップ車高調 ●ホイール:ワタナベ 8スポーク ●タイヤ:(F)185/60-14(R) 205/60-14
【DATA】
STAR ROAD
〒133-0051 東京都江戸川区北小岩8-23-1
TEL03-5668-5675
営業時間:10:00~20:00
※情報は取材当時のものです。
(出典/別冊Lightning Vol.231「VINTAGE AUTO 快適旧車のススメ。」)
Photo & Text / D.Katsumura 勝村大輔
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