ここまで来たらやるしかない。
患者はラーメン小池の愛車である1974年式AMC Jeep Cherokee。御年50歳の老車である。ある日、気がついた排気音から聞こえる異音から、へダース(エキゾーストマニホールド)のガスケット交換をすることになったのはいいけれど、へダースを取り外して、エンジンルームを確認すると、エンジンマウントの劣化も発覚。まずはエンジンマウントを交換してからのへダースのガスケット交換をすることに。
丁寧に教えてくれる先生はクラシックジープひと筋「バディオート」の代表の水野さん。もはや後戻りができないところまで作業を進めたので、ここは日が暮れるまでにやりきるしかない(爆)。
前回の記事はこちらで。
エンジンマウントの交換は素人にはハイレベル。ここは先生と二人三脚で。
タテ置きエンジンはフロントから見ると時計回りに回転運動が発生するため、どうしても左ハンドル車では運転席側のエンジンマウントに負荷が掛かりやすく、こちらから劣化していくとのこと。まあ、これも消耗品のひとつというわけ。
外し方はエンジン自体をジャッキで持ち上げて浮いた状態をキープし、エンジンマウントをハズし、さらにエンジン側のブラケットをハズしてマウントを取り除き、新しいエンジンマウントに交換するというもの。
使うのはエアジャッキになるので、ここはさすがに素人には荷が重いということで、最初の段取りを先生がやってくれた。エンジンが浮いたらあとは車体の上から、さらに車体下に潜ってマウントを留めているボルトを外す。
といっても、へダースの脱着で四苦八苦したところなのに、またも上から下から這いつくばっての作業に血の気が引くが、自分でやると決めた以上、やらなければと気持ちを盛り上げて着手。
マウントが外れたら新品に交換。このときにひとつずつボルトを限界まで締めるのではなく、それぞれのボルトを少しずつ均等に締めていくことが基本。ある程度締めたら持ち上げていたエンジンを少しずつ下ろし、またボルトを締めるという反復作業。そのためにまたも車体の上から、さらに潜って下からの作業に。これがまた大変。
追加作業終了。本題のガスケット交換に着手するぞ!
無事に(本人は疲労困憊で無事ではないが)エンジンマウントの交換を終え、いよいよ本題のへダース(エキゾーストマニホールド)および、エキゾーストフランジのガスケット交換に。
もうこのタイミングで素人の筆者のカラダはボロ雑巾(笑)。じゃあ休憩がてら先生がその前に下ごしらえをしてくれるというので、その作業を見ることに。一体何をするの?
ボルトとボルトの受け側の精度を高める下ごしらえ。こういうひと手間がプロの仕事だ。
取り外したへダースを見た先生はおもむろにボルトの穴に専用の治具を使ってひと作業を加えてくれた。これは排気熱でどうしても金属が変形したりさびが出てしまい、ボルトが締めづらくなっているので、受け側とボルト側のクリーニングとネジ山の「目立て」と呼ばれる作業をすることでボルトがしっかりと締まるようにそれぞれを整える作業をする。
もちろん、そのままでも取り付け可能だが、目立てを行うことでスムーズにボルトが締まり、しっかりと取り付けることが可能となる。排気が漏れないように密閉度を高めなければいけない部分なので、こういうひと手間を加えることが重要なのだ。
さすがにこの作業は道具も持っていない素人には不可能。またもメカニック作業の奥深さを知る小池であった。
いよいよガスケットの取り付け。ここにもちょっとしたテクニックが必要。
ねじ山がきれいになったへダースと新たなガスケットを組み込んで車両に取り付け。ここで重要なのは、密閉度を保たなければいけないのですべてのボルトを少しずつ均等に締めていき、偏(かたよ)りがないように取り付けること。
もうすぐ作業が終わるからといって急がず、まずは中央の2つのボルト、そして右、左というローテーションしながら少しずつ締めていく。
排気ポートの面に均等になるようへダースとガスケットが装着されることが重要なのだ。
最後に先生に修理箇所をチェックしてもらう。
すべてのパーツの取り付けが完了し、先生にチェックしてもらう。するとすべてのボルトの締め具合が甘いとダメ出しが(笑)。本人的には最後まで締めたつもりだったが、先生がスパナで締めるとまだボルトが回る様子を見て愕然。
スパナの正しい使い方も知らない素人なので当然かもしれないが、ここでもプロの技を実感。聞けばすべてのボルトに適正なトルクのかけ方と、適正な長さの工具があるという。それを知ることで適切な道具で適切な締め方ができるという。恐れ入ります。
というわけで、結局すべてのボルトを先生が増し締めしてくれて(笑)取り付けは完了。
あとはエンジンをかけ、排気漏れが無いかをチェックしたところ、症状は改善したが助手席側からの排気音が多少気になるという事態が発覚。が、ここはへダースのボルトの増し締めをすることで対応できた。
さらにエンジンをアイドリング状態で回して暖気運転。排気熱で各ボルトやガスケットが馴染むまで放置して、もう一度エンジンをかけて排気音をチェックすると異常なしとの診断が。最初の予想診断が的中していた模様。
パチパチパチ。なんとか、自分でガスケット交換ができた。
素人に付き合ってくれた先生に感謝するしかない筆者小池でありました。
先生に聞いてみると今回の作業はメカニックでは初歩的な作業だということ。いやいや、そんな作業でも素人にとっては人生最大の重労働。
世の中のメカニックの人たちにリスペクトしかない筆者であった。
【今回の作業記録】
作業内容:エキゾーストマニホールド(運転席側)の排気ポート側、およびフランジ側のガスケット交換およびエンジンマウント(運転席側)交換
所要時間:約6時間(プロなら各1時間程度の作業)
素人が作業した場合の後遺症:作業後2日間は激しい筋肉痛(作業翌日は動くのもツライほど)、および両手の軽い擦過傷が5カ所(笑)、衣類の激しい油汚れ
【DATA】
Buddy-Auto(バディオート)
神奈川県横浜市港北区新羽町1218-1
TEL045-534-0030
https://www.lucent-jp.com/
https://www.instagram.com/buddyautoyokohama/
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