シボレーSUVの中核モデルであるタホはアメリカンSUVのスタンダードだ。

アメリカンSUVのなかでもメジャーなモデルのひとつとして存在するシボレー・タホ。アメリカ車ならではのフルサイズボディに、兄貴分のサバーバンよりもホイールベースが短いことかとから、日本でアメリカンSUVがブームになった時代は人気車種として君臨した。今でもアメリカではGM系SUVのなかではブランド違いのGMCユーコンとともにSUVラインナップの中核を成すモデルとして現在も存在している。そんなタホについてちょっと詳しくなってみよう。

フルサイズ・ブレイザーの後継車として生まれたSUV。実は兄貴分のサバーバンより歴史は短い。

シボレー・タホが担っていたカテゴリーは、もともとフルサイズのシボレー・ブレイザーが存在した。バッジ違いの兄弟車であるGMCが2ドアSUVのジミーと同時にフルモデルチェンジしたのが1994年式。

当初はブレイザーの名前で発売されていたが、ブレイザーが一回り小さなボディのSUVに1995年モデルから使われることになり、フルサイズモデルにはタホの名前で発売されたのがその始まりだ。

当初は2ドアモデルのみのスタートだったが、現在では4ドアモデルのみになり、ファミリーから趣味のクルマとしての需要まで、幅広い層にアプローチするモデルへと成長した。

第1世代 1995~2000年 ブレイザーからタホへと改名されたフルサイズSUV。

ミッドサイズのS-10ブレイザーがブレイザーになることで、フルサイズボディのブレイザーがタホの名前を与えられて1995年に生まれた初代モデル。なんともややこしい誕生をしたシボレー・タホ。フルサイズブレイザーとしてはそれまで2ドアモデルのみだったが、タホに改名したのを契機に4ドアモデルも追加された。

生産はシボレー・サバーバンと同様のプラットフォームを使い、サバーバンよりもショートホイールベースというだけだったので、4ドアモデルに関してはエンブレムを見なければ見分けることが難しいほど。それでも発売したのはちょうどアメリカでSUVのトレンドがあったため、一般的なセダンよりもこのカテゴリーの車種を充実させる意図があったと思われる。エンジンは5.7LのV8エンジンと6.5LのV8ターボディーゼルがラインナップ。2WDと4WDモデルが存在した。

当初はスポーティな2ドアモデルだけだったブレイザーだったが、タホに改名した1995年には4ドアモデルもラインナップされた。Photo by General Motors

第2世代 2000~2006年 4ドアモデルのみとなってアメリカンSUVの代名詞に。

フルモデルチェンジによってラウンドシェイプが強調されるデザインへと生まれ変わった第2世代。おかげで厳ついイメージの顔も温和になった。SUVブームは引き続きアメリカでは猛威を振るっていたことも手伝って、同じプラットフォームからそれまでのGMCユーコンだけでなく、ハマーH2やキャデラック・エスカレードも生産され、GM系SUVのラインナップ拡充にひと役買ったスタンダードモデルとしての存在感を放った。

日本にも並行輸入によって多くのタホが輸入され、趣味人たちのカーライフを充実させたことはいうまでもない。室内や荷室の広さだけでなく、V8エンジンの持つトルク感は日本車では味わえないアメリカ車の特権。

タホをベースに大径ホイールを履くなどといったカスタム車両は、アメリカだけでなく、日本でも数多く作られた。この世代からマニュアルトランスミッションの設定は無くなった。

第3世代 2007~2014年 ハイブリッドモデルも登場。

フルサイズカーの生産プラットフォームの刷新によってフルモデルチェンジした第3世代。スタイリングは先代よりもエッジを強調したデザインに変わり、フロントグリルを上下に分割しているバーは、それまでメッキだったが、ボディ同色へと変更された。

さらに2008年モデルからは当時のクライスラーと共同開発したハイブリッドシステム搭載モデルも登場し、フルサイズSUVながら環境性能も意識したモデルだったが、2009年には405馬力を発生させる6.2L V8エンジンを搭載するLTZモデルも登場(1年しか販売されなかった)するなど、幅広いユーザーに対応したラインナップを誇っていた。

PPV(ポリス・パトロール・ヴィークル)と呼ばれる警察車両にもタホは採用された。それだけ信頼性の高さもあったという証明。こういうスタイルでカスタムする人もいそうである。Photo by General Motors

第4世代 2015~2020年 吊り目になりヘッドライトトリムが目を惹くデザインに。

先代よりもコワモテな顔つきになった第4世代。それまでのコイルスプリング形式だったサスペンションは、フロントが独立式、リアがマルチリンクとなり、商用車ではなく、乗用車同様のサスペンション形式になることで、乗り味が向上した。

また、フルサイズボディの弱点ともいえる燃費はシボレーの開発した新世代のエコテックエンジンと10速オートマチックの組み合わせによって改善され、巨大なボディながら、アメリカではフルサイズSUVとしてもっとも人気のあるモデルとして存在。

先代にラインナップされたハイブリッドモデルはラインナップされていない。

第5世代 2021~現行モデル 日本ではあまり見ないけれど、アメリカでは進化止めないタホ。

アメリカン・フルサイズカーといえば、日本へはほぼ正規輸入されることがないので、一般的にはほとんど見ることがない。日本のアメリカンSUVブームも終わり、近年のタホは日本ではあまり見かけないモデルになってしまったが、アメリカではいまでもGM系フルサイズSUVの代表格である。第5世代モデルが現行モデルとなっている。

このモデルは先代よりもホイールベースが延長され、全長も長く伸びやかなボディになったことで、同カテゴリーのライバル車のなかでももっとも長いボディに。そのおかげでサードシートの居住性は向上している。

搭載されるエンジンは5.3L エコテック3 V8、6.2L エコテック3 V8、3L 直6 デュラマックスターボディーゼルの3種類になっている。

新車価格と現行モデルのサイズ感、燃費はどれほど?

兄貴分のサバーバンになると全長が6m近いので、日本の道路事情ではタホの方が取り回しはしやすいといえる。現行モデルになる第5世代では全長5352mm、全幅2060mm、全高1923mmという車格。アメリカのフルサイズカーといえば標準的なサイズにはなっている。

気になる燃費は6.2L エコテック3 V8を搭載する4WDモデルで市街地でリッター6km、高速道路でリッター約8kmとメーカーはアナウンスしている。新車価格は2023年モデルで5万4200ドル(約813万円)から。一般大衆向けの車両だが、為替の影響で日本人から見ればもはや高級車の価格である。残念ながら現行モデルの正規輸入はない。

日本にもタホの中古はタマ数が多い車種。

タホは初代の2ドアモデルは少数ながら日本への正規輸入もあり、3代目モデルも2008年から正規輸入があっただけでなく、日本のアメリカンSUVブームによってかなりの台数が並行輸入されていたクルマ。

その中でも2代目モデルは中古車市場でも数多く出回っているので、中古車を狙う人には比較的選択肢のあるアメリカ車だといえる。といっても、並行輸入などは日本に来る前のヒストリーや日本での整備記録が不明な個体も多いので、安心して乗りたいならば経験値の高い専門店で、ある程度の予算を考えた方が賢明だ。価格がこなれているからといって安易には手を出さずに、じっくりと見極めて購入を検討したい。

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

いつもの装いに、頼れる履き心地。この秋は、コートスニーカーとチロリアンシューズがあればいい

  • 2026.09.18

トラッドな装いになら、足元はやっぱり品よくいきたい。でも、履き心地だってこだわりたい。そんな欲張りな気分に応えてくれるのが「ロックポート」。クラシックな佇まいと快適さを両立した2足を紹介する。 品よく履けて、しっかり快適 「お洒落は我慢」とは言うけれど、格好よさも履き心地も譲れない。そんなわがままに...

日本の技で蘇る、旧きよきアメリカンベーシック。100年前の起毛機を使った「DISCUS」のスウェット

  • 2026.09.18

「ディスカス アスレチック」の「MADE IN JAPAN」プロジェクト。和歌山で受け継がれる約100年前の起毛機とそれを支える職人の技。そのこだわりから生み出されるスウェットの魅力を追った。 スウェットの裏側に宿る百年起毛 1973年、アメリカで誕生した「ディスカスアスレチック」。その歴史を日本の...

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

Pick Up おすすめ記事

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

日本の技で蘇る、旧きよきアメリカンベーシック。100年前の起毛機を使った「DISCUS」のスウェット

  • 2026.09.18

「ディスカス アスレチック」の「MADE IN JAPAN」プロジェクト。和歌山で受け継がれる約100年前の起毛機とそれを支える職人の技。そのこだわりから生み出されるスウェットの魅力を追った。 スウェットの裏側に宿る百年起毛 1973年、アメリカで誕生した「ディスカスアスレチック」。その歴史を日本の...

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

無垢の金属、輝く伝統。純金や純プラチナを使った「市松」の究極の逸品

  • 2026.09.25

純金や純プラチナなど、純度100%の軟らかい金属をアクセサリーにするためには非常に高い技術が必要だ。それを可能にするのが「市松」。約30年にわたって培った“叩く”技術が可能にする唯一無二のリングの輝きに迫る。 熟練の技なくしては完成しない究極の逸品 原材料高騰の影響もあって、希少性が高まっている純金...