先住民のごとく、手作りのカナディアンカヌーに魅せられた男。

もとは先住民の普段使いだったが、近年レジャーやラインクルーズで親しまれるようになったカナディアンカヌー。本来ならFRP材で設えた既製品が一般的ながら、あくまで手作りにこだわり、仲間たちと文字通りゼロから作り上げた人がいる。それがサーファーでもある小川頌平さんだ。小川さんのこだわりのカヌーと、そのライフスタイルを取材した。

いずれは子供たちとノースウッドへ、なんて夢も膨らみます。

「Luck’s estate」代表・小川頌平さん|「建売住宅にもスタイルを」をコンセプトに、主に湘南、横浜エリアにてカリフォルニアスタイルのガレージハウスなどを数多く展開する新世代エステートカンパニー代表

サーフィン歴20数年を数える小川さんが、家族とも共有できるウォーターアクティビティとしてカナディアンカヌーと出会ったのは、2021年頃のこと。そこから約10カ月もの間、関東を代表するカナディアンカヌーのメッカでもある飯能市の名栗湖へと通うこととなった。

「当初は遊びの一環として考えていましたが、仕事柄、木材を扱う職人さんたちの苦労や知恵を学ぶ機会として、結局スタッフ総出の社内研修にしてしまったと(笑)」

全25回にわたり通い詰めた名栗カヌー工房では、地元名産の西川材を使ったオリジナルカヌーとパドルの制作に加え、カヌーイストとしてのチュートリアルを体得。愛船には調和や団結を意味する「UNITY」号と名付けた。

「カヤックと違い、カヌーはパドルもシングルブレードですし、基本的には仲間とともに乗ります。さらにスタッフ総出で作り上げた船ですから、みんなが使えるものにしたかったですし、自分たちの手で作ったという貴重な体験が、愛着をより深いものにしてくました。僕らが作った船で僕らの子供や孫が遊ぶ、そんな夢を実現できたら、なお嬉しいですね」

キャンプやサーフィンなど仲間たちと遊ぶ際の主力は、縦目こと1975年製メルセデスW114。仕事での移動や普段使いはゴルフ2 カブリオ、家族総出のイベントにはメルセデスのV220 マルコポーロと、計3台をシーンごとに使い分けているという
仲間が考案したという「スタンドジョー」。本来の用途通りローテーブルとしても使う傍ら、カヌーの乾燥やサーフボードのワックスがけなど、様々な用途で愛用中

実は社員研修も兼ねて、船体からパドルまで自分たちで作ったんです。

約10カ月、計25回も工房へ通い詰め、昨年完成したUNITY号。最大4名まで乗船可能ながら、現在は2つのメッシュシートを固定しているため、実質2人用となっている。大人用、子供用ともにパドルも全てハンドメイド。

躯体には全て飯能名産の西川材を使用しているものの、もちろん木材だけで浸水や腐食を完全に防ぐことは不可能。必要十分な強度と浮力を獲得するには、組み上げた躯体にガラスや炭素繊維を含んだFRP樹脂を塗ってはやすりを何度も繰り返す必要がある。この工程が途方に暮れるほどに大変だったと当時を振り返ってくれた。

完成後は家族や仲間たちと楽しんで乗っています!

「オフィスのある藤沢からは高速を使っても片道2時間以上あるので、僕含めスタッフ5名が交代制で制作作業に臨みました。最終日には、このプロジェクトに携わった全員で船の完成を祝い、初入水も全員で味わえた」と語る完成時の記念写真。

「完成後は家族とともに本栖湖など近場の湖へ遊びに行ったり、仲間とともに釧路の湿原をライドしたりしています。子供たちがまだ小さく、体力も今はそれほどないですが、ゆくゆくは2人でテント泊でもしながら、のんびりラインクルーズもしてみたいですね」

(出典/「Lightning2023年9月号 Vol.353」)

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