日本におけるピンストライプのパイオニア「KEN THE FLATTOP」とは?

クルマやサインボードなどピンストライプやレタリングは、いまやかなり浸透してきたカルチャーだ。KEN THE FLATTOPさんは、日本のピンストライプカルチャーにおける第一人者的存在である。そんな彼の作品を見ながら、世界で支持される理由について探ってみた。

すべて独学で習得したペイント技術。

KEN THE FLATTOPさん|1994年からクルマやオートバイ、ヘルメットなどあらゆるものにピンストライプ、カスタムグラフィックペイント、看板、店内装飾などサインペイントの ほか、アパレルブランドへのグラフィックデザインやポスターデザインなども行っている。イベントにも出展

アメリカのカスタムカーカルチャーの中で「ピンストライプ」というフリーハンドで車体に装飾を施す技法がある。繊細な細い線で構成される模様で、今ではクルマだけでなくプレートやレザー製品などに施してアートとして楽しんでいる人も多い。

ピンストライプが日本に入ってきたのは、1980年代頃。ピンストライパーの第一人者として本場アメリカからエドロスが来日し、「ムーンアイズ」が開催するイベントでライブペイントを披露した。

この姿に当時美大に通っていたKEN THE FLATTOPさんはすっかり魅了された。昔からクルマが好きで、絵を描くことも好きだった。ピンストライプのカルチャーに惹きつけられない理由はどこにもなかった。

KENさんが一番最近出展したイベントで制作した作品の一部で、左上のバラは、アトリエの敷地内にあった江ノ電の枕木を削ってステインを塗り描いたもの。なんともおしゃれ!

「当時日本ではピンストライパーはいなかったんです。道具を揃えて見よう見まねでやってみるんだけど、全然できなくて。情報もなければ教えてくれる人もいない。一度は諦めかけたんだけど、アメリカのピンストライプに関するウェブサイトがあって、そこで初心者が質問ができるんです。筆には向きがあるとか描き方とかはそこで初めて知りました。すべて独学で、ちゃんと描けるようになるまで10年くらいかかりましたね」

KENさんはとかく絵を描くことが好きということもあり、ピンストライプだけでなくイラストから文字まで描けるオールマイティなところが支持される理由。最近ではピンストライプで和柄を描くというオリジナルの作風も人気で、日本のみならず、海外からも一目置かれている。

「お客さんの私物にピンストを施すことも多いんですが、話をしながら好みや描いて欲しいものを探るんです。それがバチッとハマってお客さんの笑顔を見たときが、一番嬉しいです!」

クルマ好きだったKENさん。美大時代、愛車のダットサンに自らペイントを施した。『TRUKIN’ COLECTION’90』やカスタムカー雑誌の『Street CAR Nationals』などに掲載されるなど、KENさんのオリジナルペイントは、当時から注目を浴びていた
先日静岡にオープンしたお店のキャラクター、2684(ツルハシ)さんの下書き。現物ではこれに色が付くのだが、これがまたかっこいい!
KENさんが実際に使っている道具。何種類もの筆や塗料などさまざまなものが並んでいる
イベントで持って行くことも多いため、すぐに収納できるようケースなどをカスタムしている。プロのツールという感じ

唯一無二のオリジナリティが強み。

VANSラジコン

「ムーンアイズ」とのコラボ。VANS のスリッポンにペイントを施し、タイヤとエンジンを設置。実際に走らせることも可能だそうだ。

中華鍋でチャーハン

中華鍋にチャーハンを描いたユニークな作品。一粒一粒リアルに描かれた米粒にクルマのエンジンやパーツがごった混ぜになっている。

和のモチーフ

サーフボードに描かれた鯉と鳳凰。美しい曲線がカタチを作る。和モチーフはKENさんの作品の中でも代表的なモチーフのひとつ。

美しき曲線

ベースになっているのは鏡。ここに得意とするピンストライプを施した。絶妙なバランスと美しい曲線、配色に至るまで“完璧” の一言。

干支

ピンストライプの技法を駆使して描かれた干支のイラスト。今にも動き出しそうなこの迫力はKENさんにしか描けない。2024年の龍がどんなイラストになるのか楽しみだ。

カーカルチャーをテーマに描く。

カーカルチャーからスタートしたピンストライプ。KENさんもクルマ好きということもあり、クルマをテーマに様々なイラストを描いてきた。特有の毒々しさも特徴のひとつだ。

(出典/「Lightning2023年8月号 Vol.352」)

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

着回し難民は注目! トラッド派の強い味方エドウインのデニムセットアップ。

  • 2026.03.16

お金をかけずにファッションを楽しむという“チープシック”において、着回し力の高いプロダクトは必須。アメカジが大盛り上がりを見せている昨今において、デニムのセットアップには注目しておきたいところだ。そんな時、トラッド的なエッセンスが随所に感じられるエドウインのプロダクトは、我々の強い味方となる。 甘く...

【SETTLEMIER’S×2nd別注】メイドインポートランドの王道スタジャン登場

  • 2026.02.11

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! SETTLEMIER’S×2nd AWARD JACKET  1990年の創業以来、ポートランドの工場で今もなお地元...

最古のジャパンアイビーブランド「ヴァン」と伝統の“ジャパンブルー”が織りなす究極のトラディッショナル

  • 2026.03.17

明治時代から"ジャパンブルー"と称され、深い歴史を持つ日本の「青」。そして、日本のファッション黎明期に誕生した最古のジャパンアイビーブランド「ヴァン」。旧きよき伝統という点で共通する掛け合わせが、“究極のトラディショナル”という境地で交わる。 伝統でつながるヴァンと青 スタンドジップアップスウェット...

101周年を迎えた「Lee」、受け継がれし伝統の『COWBOY 101』『RIDERS 101』を継承する逸品が登場。

  • 2026.03.05

1925年に生まれた「Lee COWBOY 101」は、48年に「Lee RIDERS 101」としてリニュアールを遂げ、その後も進化を遂げながら時代を超えて愛され続け、今年“101周年”という節目を迎えた。そして、この名作のまたとないアニバーサリーを記念して特別なコレクションが登場。「Past&F...

エディー・バウアー吉祥寺 1周年イベント完全レポート! 来店したアツいファンの着こなしにも注目

  • 2026.03.17

2025年12月13日(土)〜21日(日)の期間で開催されたエディー・バウアー吉祥寺店の1周年イベント「Archives Meets New」は、大盛況のうちに幕を閉じた。期間中は多くのエディー・バウアーラバーが来店。熱気に包まれた会場風景とそこで出会ったファンたちをスナップで紹介する。 過去と現在...

Pick Up おすすめ記事

【SETTLEMIER’S×2nd別注】メイドインポートランドの王道スタジャン登場

  • 2026.02.11

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! SETTLEMIER’S×2nd AWARD JACKET  1990年の創業以来、ポートランドの工場で今もなお地元...

奈良の名セレクトショップ「アンボイ」代表がおすすめする『ファインクリーク』のレザージャケット4選

  • 2026.03.06

奈良県にある名セレクトショップ、アンボイ。今回はその代表である今西さんに登場していただいた。ファインクリークのレザーウエアを扱い、シンプルながら奥深い着こなしを提案する今西さんのセンスは、多くのレザーファンに支持され、奈良以外の関西近県からも大勢のお客がアンボイに足を運ぶ。今西さんのファッション哲学...

エディー・バウアー吉祥寺 1周年イベント完全レポート! 来店したアツいファンの着こなしにも注目

  • 2026.03.17

2025年12月13日(土)〜21日(日)の期間で開催されたエディー・バウアー吉祥寺店の1周年イベント「Archives Meets New」は、大盛況のうちに幕を閉じた。期間中は多くのエディー・バウアーラバーが来店。熱気に包まれた会場風景とそこで出会ったファンたちをスナップで紹介する。 過去と現在...

最古のジャパンアイビーブランド「ヴァン」と伝統の“ジャパンブルー”が織りなす究極のトラディッショナル

  • 2026.03.17

明治時代から"ジャパンブルー"と称され、深い歴史を持つ日本の「青」。そして、日本のファッション黎明期に誕生した最古のジャパンアイビーブランド「ヴァン」。旧きよき伝統という点で共通する掛け合わせが、“究極のトラディショナル”という境地で交わる。 伝統でつながるヴァンと青 スタンドジップアップスウェット...

【Tricker’s × 2nd別注】英国の伝統と歴史が宿る質実剛健なカントリーブーツをネイビーで

  • 2026.03.18

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 革靴の名門「トリッカーズ」とのコラボが実現。ストウ ネイビーカーフ 革靴の聖地として名高い英国・ノーサンプトンにて1...