ファッションセンスが際立つ! ヴィンテージ雑誌を素材にしたコラージュアート。

  • 2023.08.31

雑誌のイラストや写真をコラージュしたアートは、実はポップアートの先駆けといわれている。そんなクラシカルな手法をもとにヴィンテージ雑誌をコラージュして独自の世界観を打ち出す注目のアーティストが東京にいた。それが大手セレクトショップでMDとして働く長谷部慎之介さんだ。長谷部さんがコラージュアートを始めるきっかけと、その作品について取材した。

コロナ禍の自宅時間にコラージュアートを始めた。

「Collagemaker」長谷部 慎之介さん|老舗の某大手セレクトショップにてMDを務めるファッションのプロフェッショナル。以前は度々店頭にも立ち、スタイリングだけでなく、ショップディスプレイなど空間演出も手掛けていた。その経験と抜群のセンスは、作品にも表れている。Instagram@onebook_a_day

アメリカンポップアートの先駆けといわれているコラージュアートの世界で、いま注目されている人物が東京にいる。それが長谷部さんだ。本業は、なんと某大手セレクトショップのMDである。

「仕事上、日々アメリカ衣料に触れてきたので、ポップアートは元々好きでした。コラージュアートに興味を持ったきっかけは、植草甚一さんです。自分は絵を描く技術もセンスもなかったんですが、アーティストに対する憧れや尊敬の念がありましたし、ショップのビジュアルやレイアウトを構築したり、服のコーディネイトを考える感覚がコラージュアートに重なり、自分にもできるかもしれないと思ったんです」

仕事柄、資料として1940~’60年代のアメリカの雑誌(LIFE、Esquire、National Geographic、The Saturday Evening Postなど)を収集していたため、素材は手元にたくさんあった。保管場所の関係もあり、そろそろ一部を処分しなければと思っていた矢先、コロナウィルスによるパンデミックで自宅時間が急増。処分する予定だったそれらを使い、コラージュアートを始めることにした。

長谷部さんが初めて手掛けた作品がこちら。タイトルは『have a drink』。コロナ禍の自宅時間が、コラージュしてみたいという想いを後押ししてこの作品が生まれた

作品サイズは、額に合わせて5~6サイズを最初から用意し、それに合わせてマットを用意。ヴィンテージ雑誌を1ページずつめくりながら、ベースになる素材を決め、全体のテーマやイメージを連想しながらコラージュする素材を探していく。その途方もない作業から幾多の作品が生まれるのだ。手掛けた作品の名は、完成後に考えるそう。

「最初は素材を切り出すのが楽しくて、とにかく切りまくってました(笑)。写経みたいなものですかね。いまはコラージュすると決めてから切っています。苦手な作業は糊付けです。一発勝負で失敗できないですから」

『December 1947』という作品で、1947年12月1日発行のLIFE誌をもとに制作。ネクタイを動かして下から景色が覗くアレンジが目を引く
人物のイラスト部分に実際の生地スワッチをコラージュするという、なんとも長谷部さんらしい作品。本業のスタイリングセンスが存分に活かされている

中学校の美術の時間に模写をしていたのが、ベルギーの画家ルネ・マグリットだった。その独創的ながらも“違和感がない仕上がり”を長谷部さんも常に目指しており、どの作品もコラージュする素材同士の角度や立体感、サイズ感などのマッチングに執着している。さらに魅力的なのは、ファッション的なエッセンスが随所に散りばめられていること。だからこそ、ファッション業界でも話題になっているのである。

芸術新潮の1998年5月号は、長谷部さんが好きなルネ・マグリットの特集号。何気なく中学の美術の授業で模写をしていたマグリットの影響は、現在のアートワークに少なからず関係している
主にアメリカの1940~’60年代の雑誌を使うが、中には『ソビエトグラフ』など日本のものも……。今でも古書店や古本市な どを回って素材を収集している。周りに置いてあるのは、額装する前のコラージュ作品で、未完成品も含めると100点以上ストックする

これまで手掛けたのは500作品以上。ここでは昨年の個展に出品した作品の一部を紹介。

Collage Art_04 this is cat!

Collage Art_07 hostage

Collage Art_12 UNTITLED

Collage Art_13 old clock man

Collage Art_18 VCR head android

Collage Art_20 UNTITLED

Collage Art_21 tomato catsup

Collage Art_22 red-meat speech

【問い合わせ】
Instagram @onebook_a_day

(出典/「Lightning2023年8月号 Vol.352」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部