九州産畳端材×姫路産の高級極やわレザー、コントラストが 面白いシューズ。

畳は日本の文化のひとつでもあり、日本人ならばその香りや肌触りは落ち着くもの。そんな畳に着目し、モノ作りをしているのが「Liberat」だ。端材をそのままプロダクツに使用しているため、比較的手頃な価格に抑えられているところもうれしいポイントだ。

裸足で心地よく、高級感もあるサンダル。

日本旅館や古民家に入るとほのかに漂うい草の香り。日本人にとってい草の香りは懐かしく、ほっと和む匂いでもある。最近では和室を持たない住宅も多ためか、手軽に取り入れられるござや畳も密かな人気だ。現代の住宅に合わせて、デザイン性を持たせたものも増えている。昔と比べたら畳離れは否めないが、ござや畳がある空間は心が落ち着くし、寝転ぶことの気持ちよさを感じられるのは、やはり日本人だからだろうか。

さて一般的に日本においてのい草の歴史は1300年前といわれているが、遡ること2000年前の縄文式土器の頃、い草を編んだ織物が青森県から発掘されている。さらに4000年前の竪穴式住居の遺跡からも、い草を敷いた物が見つかっており、い草は古からかなり身近な存在で、日本人の生活に欠かせない素材のひとつだったことがうかがえる。

では畳はどのように作られているのだろうか。農林水産省によると、日本においてい草のほとんどが熊本を中心に九州で生産されているそうだ。約1年かけて育てたい草を刈り取り、乾燥前に染土と呼ばれる天然の粘土を水に溶いたものに漬ける泥染めを行う。その後、乾燥させて長さごとに選別され、さらに1年をかけてござ状に製織した畳表というものを作る。畳表は市場や問屋を経由して畳店の元へといき、畳職人が畳床に張りヘリを縫い付けてようやく畳が完成する。日本で畳離れが進む一方で、海外からの評価が高く、輸出の割合がかなり増えているという話も聞く。実は世界に畳文化が広がっているということだろう。

い草には、綿の2・5倍の吸湿力があり、空気浄化、消臭効果、そして強い抗菌性があることはご存じの方も多いと思う。湿度の高い日本では、い草で作った畳は快適な暮らしを作り出してくれる大切な床材のひとつ。畳だけでなく、草履に使われることも多いのは、汗をかきやすい足裏にその効果を発揮するから。私も畳を使った草履を愛用していたことがある。ふわっとした柔らかい弾力がある履き心地。特に夏は汗でムレる足をさらっと快適な状態にしてくれていた。夏はひんやりするのに、冬はしっとりとした肌感。い草や畳のよさは、季節を問わず素足(肌)で感じるものなのだということを改めて実感した。

国内におけるい草の産地である熊本を中心にした九州産を使用。端材といえど、その品質は折り紙付き

そんない草に着目したのが、日本の伝統美と自然素材をいかしたモノ作りをしているLiberatだ。海外ものと異なり、一本一本繊維が詰まった品質のよい国産のい草を使った畳の端材を靴に取り入れることで、畳の心地よさを再発見してもらおうと考えたのだ。モノ作りをする上で、どうしても端材は出てしまう。畳づくりにおいても、それは同様のことのようで、大量に出る端材の処分に困っている作り手は少なくない。そんな畳の端材を採用したのが、今回紹介する、畳サンダルスリッパと畳ローファースリッパだ。

畳はインソールとして使用。さらっと、そしてふっくらとしたとした履き心地で、まるで畳の上をずっと歩いているかのよう。サンダルのアッパーには姫路のタンナーが鞣したステアの革。滑らかな手触りと自然な光沢が特徴だ。とても柔らかく、足の甲にフィット。履くほどに足に馴染み、経年変化も楽しめるというわけだ。アウトソールにビブラムソールを採用し、地面をしっかりとグリップ。屋外での着用はもちろん、片足約130gと軽量なので室内で使ってもいい。

そして畳ローファースリッパはより高級感のある仕上がり。浮世絵からインスピレーションを受けたそうで、こちらも姫路のタンナーによる上質な牛革エコレザーを使用。革の柔らかさを肌で感じて欲しいと、甲に触れる部分は裏地なしで仕立てている。カジュアルだけれどラフすぎない。季節を問わずいろいろなコーディネイトを楽しめるのも魅力のひとつだ。

両者に使われている畳インソールは別売りもしているので、革靴やパンプスなど毎日履く靴に入れて使うことも可能だ。もちろん素足で使えるので、日々の靴のストレスを軽減してくれるだろう。もし雨など水で塗れてしまっても、取り出して風通しのよい場所に干せば元通りになるのも嬉しい。

インソールに畳を採用している。畳インソールは別売りもあり、普段使いの靴にも使えるのも嬉しい。1980円

多くのアップサイクルプロダクツの場合、長年使っていたものをバラバラにして必要な素材を抜き取って新しいプロダクツとして生まれ変わらせることが多い。その場合、解体→洗浄→乾燥→裁断……といった工程が必要になり、新品のものを作るよりも手間も時間もかかる。それゆえにどうしても高価になってしまうケースが多い。

しかし、端材を使う場合のほとんどは、その手間がないため、比較的手頃な価格で提供できることもある。しかも使っている素材の品質はどれも上質。畳サンダルスリッパはまさにその類に属するだろう。畳の端材などの素材には歴史があって、さらにプロダクツになるまでにもストーリーがある。それがアップサイクルが生み出す魅力なのだ。

日本の革職人が一点一点手作業で作り上げる

畳と高級レザー、異色の組み合わせが生み出すプロダクツ。

畳ローファースリッパ

Liberato定番モデル。着脱しやすいデザインが◎。ブラック、ダークブラウン、ホワイがあり、ユニセックスタイプで各23~ 28㎝を用意。2万9700円

畳サンダルスリッパ

畳文化に慣れ親しんだ日本の革職人が一点一点丁寧に作り上げた。ブラックとブラウンの2色展開で、S、M、Lサイズを用意。1万2980円

【問い合わせ】
リベラト
https://www.liberato.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年7月号 Vol.351」)

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
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