最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』をインディファン日本代表が語り尽くす。

  • 2023.07.02

2010年頃にその製作が公にされて以降、首脳陣の断片的な発言や過去の事例らと照らし合わせ、各国インディフリークの間で様々な憶測や考察が飛び交った『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』。もちろん、完成までのこの10余年の間には単なる憶測にはとどまらない、いくつかの続報や裏事情がアナウンスされ、その全てが決して前向きなものとは言えない状況の中、2023年6月30日に全世界同時公開となった。そんな最新作について、インディファン日本代表を名乗る3人に語ってもらった。

製作陣営も二転三転、新監督による最新作の展開は?

公式からも公開前からいくつかのトレーラーが発表された、最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』。冷戦下の1969年、アメリカとソビエトの宇宙開発競争を背景に、人類の歴史を変えるとまで言われる伝説の秘宝・運命のダイヤルをめぐる物語にして、前作からじつに15年ぶりとなるナンバリングタイトルでもある。

そんな本作を語る上でまず最初に触れておきたいのが、ルーカスフィルムの身売り問題だ。

2012年10月、ウォルト・ディズニー・カンパニーがルーカスフィルムを買収したことで『インディ・ジョーンズ』シリーズの知的財産権がディズニーへと移った。これは賛否を呼んだ『フォースの覚醒』以降のスター・ウォーズと同様に、映画ファンの間では大きな話題のひとつとなり、後ろ向きに捉えるファンが一定数いたのも事実だが、自他ともに認める日本屈指のインディファンの彼らにとっては、取るに足らない事象のひとつであるという。

主にグラフィックデザイナー・猫印さん|『猫印よろず企画』というデザイン・イベントの何でも屋代表。54歳。https://nekoyorozu.fool.jp/

Hassyさん 個人的には実はそれほど心配していませんね。いわゆるマーベル作品(同じく2009年にウォルト・ディズニー・カンパニーに買収されている)でも、それなりの結果を残していますし。

猫印さん 確かに。僕もそれほどネガティブには捉えていません。それに本作の公式ポスターやチラシには、前版権元であるパラマウント・ピクチャーズのロゴが小さいながらも見て取れます。『スター・ウォーズ』では20thフォックスお馴染みのフォックスファンファーレがなくなり、悲しむファンも少なくなかったようですが、今回は「もしかすると、もしかするのでは?」と、淡い期待を抱いたりもしていて。

ゴリラさん でも、個人的にはまったく気にならないワケではないですね。特に版権譲渡以降、ルーカスフィルムの新社長に就任したキャスリーン・ケネディの存在が気になる。彼女はグイグイ前に出ていくタイプで、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』シリーズの製作発表の席でもユアン・マクレガーを従えて会場をざわつかせました。ただ、その会見の際、バックボードにルーカスフィルム作品のタイトルロゴが描かれていたのですが、インディシリーズは腹立たしいほどに隅の方で小さかった。つまり彼女にとって、それほどプライオリティの高い作品ではないのかもしれない、ということは、逆に安心できる要素なのかもしれません(笑)

創作所『Gorilla Spot』オーナー / 現場オフラインエディター・ゴリラさん|映画をはじめトキメキをビデオにするYouTube ch『Gorilla Spot Video』運営。46歳。https://www.youtube.com/ @gorillaspot/featured

また、製作発表から完成までの間には、製作陣営も二転三転し、これまでのシリーズ4作品を手掛けたスピルバーグ監督は自ら降板を示唆。ルーカスとともに製作総指揮という立ち位置から本作に携わり、現場監督は『LOGAN/ローガン』や『フォードvsフェラーリ』などでも知られるジェームズ・マンゴールド監督へと引き継がれた。

ゴリラさん スピルバーグ監督は2020年のインタビューにおいて「シリーズに新たな視点を加えるため、次世代の映画製作者に任せたい」と、自ら降板を示唆し、マンゴールド監督に白羽の矢を立てました。マンゴールド監督の作風は男らしい世界観が特徴的で、男の哀愁や悲哀みたいなものを上手に描ける監督。ただ海外では、『LOGAN/ローガン』でも主人公ウルヴァリンことローガンが亡くなったように、ヒーローを死なせてしまう監督なので、もしかすると今作で「インディも死んでしまうのでは?」という噂もありますよね。

猫印さん 流行ってると言ったら若干語弊があるかもしれませんが、近年のヒーローものって確かに主要キャラクターを亡くならせる傾向がなくはないよね。

Hassy さん そうですね。でも、インディが死にますかね?
ゴリラさん いや、インディは死なない! そう信じたい。また、今作には前作で描かれたインディの息子、マット・ウィリアムズことヘンリー・ジョーンズ・サードを演じたシャイア・ラブーフの登場はないと名言されていますし、彼ら家族が物語にどのように関わってくるのかも気になるところですよね。

猫印さん これも邪推の域ですが、もしサードが本当に登場しないのであれば、すでに亡くなっているとも考えられないでしょうか? 今作の時代設定は1969年となっていますし、例えばベトナムで戦死したとか。

Hassyさん なるほど。確かになくはないですね。サードやマリオン(インディの妻)のことはファンならずとも気になる部分でしょうし、たとえ出演がないにしてもセリフやプロップで何かしら補完されるのは間違いないでしょうね。

気になるマクガフィンは一体何か。

冒頭に触れた公式トレーラーでは、今作のプロットが薄っすらと読み取れる。バディを組むのはかつての相棒の愛娘ヘレナ、時代設定は前作『クリスタル・スカルの王国』から12年後にあたる1969年のようだが、公式発表によると前作の後日譚からスタートするらしく、言わば“ガンバレル”の部分から本編までのタイムラグをどのように補完するかも見どころのひとつとなっている。また、物語の推進力となるキーアイテム=マクガフィンの存在も気になるところだ。

Webエンジニア・Hassyさん|国内老舗インディ・ジョーンズファンサイトIndianaJonesJr.com管理人。49歳

Hassyさん 今作のマクガフィンは、タイトルにもあるように“運命のダイヤル”。さらにツカミが前作の後日譚となることから考えても時間軸を前後しながら物語が進んでいくんじゃないかと。

猫印さん そうですね。もしかすると運命のダイヤルには過去や未来を行き来できるような力が備わっている。つまり、シリーズ初のタイムスリップものとして描かれる可能性は大いにありますよね。僕が得意とするギアサイドからも一部考察が進んでいて、今作で採用されたレザージャケットには左袖にキズがあるんですね。穴を塞いだような縫いキズが。左袖のキズで思い出すのは、一作目『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』のカーチェイスでナチス兵に肩を撃ち抜かれるシーン。撃ち抜かれるシーンですが、いざ予告を見たらハズレで、勘違いだったけど、面白いと思うから何か期待したい(笑)

ゴリラさん それに現時点で見えている要素として、物語の舞台となるフィールドも気になっています。これまで砂漠やジャングルと様々なフィールドで活躍してきたインディですが、今作のトレーラーでは船に乗り込むシーンがある。これまでにはなかった舞台として、海が描かれる可能性もありますよね……。ラストシーンはどうなると思います?

Hassyさん やっぱハッピーエンドでレイダースマーチが流れて終わって欲しいなぁ。

と、15年ぶりとなる待望作への期待と考察は尽きることがない。最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の公開まで残りの数週間、これからシリーズを見始めるビギナーへの注意点もうかがった。

猫印さん 時系列で並べると、じつは二作目(1935年)、一作目(1936年)、三作目(1938年)、四作目(1957年)、そして今作(1969年)となるワケですが、もし生涯初インディであるなら、やっぱり公開順が最適解だと思いますね。

ゴリラさん そうですね。SFXなど映像技術の進歩やキャラクターの成長を追いつつ、各作品で張られた伏線とその回収を楽しむ意味でも公開順に観賞してから、最新作に挑んでもらいたいですね。

(出典/「Lightning2023年7月号 Vol.351」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部