今までになかった狂暴なデザインがブームに火をつけた。
’90年代半ばに突如沸き起こったアメリカ製のアクションフィギュアブーム。当時は原宿を中心に、ナイキ、Gショック、そしてアメリカンTOYの専門店が次々とオープンしていった。またセレクトショップや古着店のレジ前にアメトイが並ぶ様は、今なら植物のアガベがそのような立ち位置といえばイメージしやすいだろう。
そのアメトイブームをけん引したのがマクファーレントイズのスポーン。それ以前のアメトイといえば造形の甘いチープな物だったがスポーンは違った。トッド・マクファーレンがコミックスで描く禍々しく狂暴なデザインをリアルに再現していたのだ。
今までのフィギュア=子供の玩具という常識を吹っ飛ばした瞬間だった。また限定でリリースされるカラーバリエーションや海外のトイショップ別注の限定カラーなどの多さも飢餓感をあおり、ナイキのエアマックス、Gショックの「イルクジ」と同じくらい、スポーンの人気は加熱していった。
でもブームはやがて冷めていく。だって「激ヤバ即ゲット!」なんて騒いでフィギュアを集めいていた人の多くが、肝心のストーリーすら知らなかったのだから。そしてシリーズを重ねるごとに話題になることもなくなり、今では「探せば実家の押し入れの中にあるんじゃない?」なんて回顧的に語られるネタのひとつになってしまった。
だが2023年の現在、『DCマルチバース』シリーズで再び注目を集め始めたマクファーレントイズ。そこから若い世代がその名を知り、アーカイブを掘り進めてスポーンに辿りつき、再評価をされるに至っている。今までは二束三文でネットオークションで取引されていたフィギュアもここにきて価格上昇中。昨今の’90年代のリバイバルブームに合わせ、スポーンの再ブームにも期待!
(出典/「Lightning2023年4月号 Vol.348」)
Text/M.Sasaki 佐々木雅啓 Photo/A.Kuwayama 桑山章
関連する記事
-
- 2024.04.08
脱力したようなツラがツボで、ついハマる。「mojojojo」の手縫いのぬいぐるみ
-
- 2024.04.04
もしも、超人が実在したら…? 『キン肉マン』に魅せられた男