街着としても十分通用するデザイン性を持つ、ベースボールシャツの現在の市場価値は?

  • 2022.11.13

アメカジの世界では古くから、また近年ではストリートファッションの定番アイテムとしても幅広い層から人気のベースボールシャツ。知名度の割に注目度は高くないからヴィンテージ愛好家には狙い目かも?

「54broke」オーナー・成田亘さん

ヴィンテージコレクター歴40年以上。デニムからミリタリー、ハワイアン、ボウリングシャツなど守備範囲も広くファンの間では知られた存在。今回もメディア初出しのお宝アイテムを特別に披露してくれた。恵比寿にあるショップはアイテムが定期的に入れ替わるのでブログやインスタをチェック。Instagram@54_broke

一世紀以上の歴史を持つアメリカンウエア。

成田さんがアメリカのディーラーから入手したという1910年代製のフルセット。上下だけでなくソックスと帽子まで揃っている。アメリカの野球史を物語る博物館クラスの貴重品。参考商品

ベースボールシャツとは、文字通りアメリカ生まれのスポーツ、ベースボールのユニフォームで、その歴史を紐解くと、1840年代に世界で最初に生まれた野球チーム「ニューヨーク・ニッカボッカーズ」に端を発する。

その後、1903年にメジャーリーグベースボール(MLB)がスタートして以降、野球はアメリカの国民的スポーツとなり、全米各地に草野球チームが作られ、プロだけでなく大小様々な野球リーグが開催されてきた。

当然、野球チームの数だけユニフォームも存在していて、プロだけでなく、企業系やローカルのチームなどそれぞれが時代ごとに個性豊かなユニフォームを作っていて、アメリカでは旧くから日常で着るファッションアイテムとしても取り入れられてきた。

「僕は10代の頃だった1970年代から好きで普段から着たり、集めたりしてきましたが、なぜか日本ではそれほどメジャーな存在にはならないですよね。でも、着こなしやすいし、これまで注目されてこなかっただけに、これから注目が集まると思いますよ」

年代によって変化する素材やディテールにも注目。

ベースボールシャツはデニムとの相性もいいし、アメカジ好きなら実は使い勝手抜群のアイテム。

「やっぱり個人的には最近のモノより、’70年代以前のヴィンテージのほうが、素材だったりデザインだったりが面白くて好きです」

ヴィンテージを見比べてみても、素材でいえば’30年代以前はウール、’40〜’50年代はコットン、’60年代以降は混紡が主流になる。またボタン留めだけでなく、ファスナーやプルオーバータイプ、首周りもUネック、Vネック、襟付きもあり、デザインも刺繍やフェルトなど実に多種多様。

さらに、デザイン面でもプロ球団のレプリカだけでなく、企業モノ(石油系、食品系など)があったり、地方の無名の草野球チームでもロゴやカラーリングが個性的だったりと、収集家の心をくすぐるポイントもこれまた多数。

「ハワイアンもレアモノを多数所有していますが、レプリカも作られていて本当のレアモノは少なくなってきました。でも、ベースボールシャツはまだどこも復刻していないし、一点モノを身につけたい人にはオススメですよ。これまで国内ではあまり出回ってなかったけど、最近扱い始めた古着店も増えてきてるみたいだし、今が狙い目だと思いますよ」

100年以上の歴史を持つだけに、ひと口にベースボールシャツといっても時代によって生地やデザイン、ディテールなども異なる。もちろん、年代ごとに明確に変わるワケではないが、ざっくりと基本的な知識を紹介しよう。

生地

主に1930年代以前はウール、’40〜’50年代はコットン、’60〜’70年代はウールとコットン、コットンと化繊などの混紡が多く見られる。

デザイン

胸や背中に入るチームロゴや背番号などのレター文字は、1950年代以前だとチェーン刺繍や刺繍ワッペンが多く、それ以降だとフェルトワッペンが主流となる。

ディテール

1930年代以前のものだと立ち襟主流でヘンリーネックも多い。裾の脇にマチが入るのは’40年代の特徴。’50〜’60年代にはジッパーのものも多く見られる。

市場価格を知る!

アメリカでは旧くからベースボールシャツは普段着としても定着しているが、やはりユニフォームという性格上ボロボロになっているものが多いので、程度のいいヴィンテージとなるとアメリカでも品薄で価格は上昇している。日本でも徐々に扱う古着店なども増えてきているが、それほど定着していないので、1万円前後から入手も可能。ただし、’60年代以前の旧いモノは数も少なく価格は高め。

1950s〜1960s

薄手のジャージ素材でフロントは棒タロンジッパーから1960年代と推測される。左袖には全米最大のアマチュア野球組織である「American Amateur Baseball Congress」のワッペンが。ロゴもいい感じ。 2万7280円
オレゴン州シーサイドエリアに住む子供や若者を支援するシーサイドキッズ社のチームユニフォーム。襟〜前立て、袖のラインがアクセント。ウィルソン社のボディでタグにはMADE IN U.S.A.の文字が入る。1万8380円

1950s

コットン系の素材とフロントの棒タロンジッパーから1950年代のもので、「HOBLIT MOTORS」というショップのチームと推測される。襟のラインに多少ダメージがあるがフェルトのレターは状態よし。1万4080円
フロントのNAVY、そして背面のRECEIVING STATION の文字からアメリカ海軍の通信局のチームと思われるレアな1枚。フロントのNAVYのレターとブルーエンジェルスカラーの組み合わせはファンにはたまらないはず。7万4800円
ロゴの形状は老舗スポーツ用品ブランド、ウィルソンのものだがユニフォームも作っている会社にも関わらず、ボディがウィルソン社のものでないことから、もしかしたら大学かパロディで作った1枚かもしれないが真偽は不明。5万4780円

1940s〜1950s

背面のデザインとフロントのワッペンからデニムジャケットやカバーオールで人気のタフナッツ社のチームのユニフォームと思われる。セットアップで残っていて、ワーク系、ヴィンテージ系好きにはたまらないレア品。9万7350円

1940s

ボディの裾の脇にマチが入るのは1940年代の特徴。そして驚きなのがタグまで残るデッドストック品! ラインやフロントの文字も全て刺繍。背中の文字が入っていないことから、キャンセルされたものなのかもしれない。8万5800円
紫ベースで白と黄色をあしらったド派手なカラーリングで珍しく上下のセットアップの完品。立ち襟でボウリングシャツのようなシャツと、チノパンのようなベルト付きパンツはストリートでも映えること間違いなし。7万4800円

1930s

ゴールドカラーと刺繍のレター、そしてギャング風のダブルのスーツを身に纏った紳士の刺繍ワッペンをあしらうなど仕立て店のプライドが窺える力作。立ち襟、長めの袖、僅かに絞った裾のラインなどオシャレ要素も満載。参考商品

アメリカでは普段着として一般的だが日本での知名度はイマイチ。程度のいいヴィンテージはアメリカでは品薄になってきているようだが、日本ではまだ比較的安価で入手できるから狙い目かも?

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning2022年10月号 Vol.342」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部