メイソンジャーの市場価値とは? 普段使いからコレクタブル品まで多種多様。

アメリカではどの家庭にもあるといわれる「Mason Jar(メイソンジャー)」。アメリカでは100年以上にわたって愛され続け、ヴィンテージ市場も確立されている。日本でのシーンはまだ成熟していないだけに、始めるなら今が狙い目の注目アイテムだ。

今回お話を伺ったのは・・・「グリッター」オーナー・長谷川雅彦さん

名古屋市中川区にあるアンティークショップ「グリッター」のオーナー。メイソンジャーに関する圧倒的な在庫数と知識量は間違いなく日本屈指。近くの人はぜひ訪れてみてほしい

市場が確立していない今が集め始めるなら狙い目?

保存用ガラス瓶、メイソンジャー。数年前にニューヨークを中心にメイソンジャーの中に野菜を入れた「ジャーサラダ」が日本でもプチブレイクし、知名度が高くなったが、実は本国アメリカでは各家庭に必ずあるといわれるほどメジャーなアイテム。

150年超の歴史をもつメイソンジャー。年代やメーカーによって蓋の機構やボトルの形状など若干の違いはあるが基本は昔から変わらないのも魅力のひとつ。サイズもハーフパイント、パイント、クォート、1 1/2クォート、ハーフガロンがあり、クォート(946ml)が最もオーソドックス

その歴史も旧く誕生は1858年。フィラデルフィアのブリキ職人ジョン・L・メイソンが発明。1800年代後半からは複数のメーカーが販売を開始したから、実に150年以上の歴史を誇る由緒あるアイテムなのだ。

単に旧いだけでなく、旧い物でも密閉性が高く(口の大きさも昔から同じで旧い物でも現行の蓋が使えるというのも特徴)、頑丈で耐久性も高いから旧い物でも機能性は問題ないうえに、オシャレなデザインということも相まって、アメリカではメイソンジャーの専門書があったり、メイソンジャーだけのマーケットが開かれたりするほど。なかにはレアな物だと10万円を超えるものも存在する。

一方、日本では一般的にオシャレなガラス容器という認識はあるものの、ヴィンテージ市場があるとすらほとんど知られておらず、流通する数も多くないし価格も定着していないのが現状。

旧くても使える物だし、これは第2のファイヤーキングとなる可能性もある注目アイテムだ。

旧くても機能は問題なし。数万円するレア物も存在。

メイソンジャーはボール社が有名だが、特許が公開されているのため製造会社は多く、 アトラス、プットナム、ヘミングウェイ、アンカーホッキングなど多岐に渡る。 ボール社が一番流通量が多いが、他社の物でも変色やレアカラーなどは価格も高くなる。

旧いものだと1800年代末期~1900年代初頭のものもあるが、割れなどがなければ単なるアンティークとしてだけでなく、日用品として使えるのもメイソンジャーの魅力。保存容器としてだけでなく、ビールジョッキや花瓶、小物入れなど 使い方は自由自在。BALL BLUEと言われるブルーの色合いは、ガラス製造時に混ぜられた砂のミネラルに起因し、現行品にはない色合いが美しい

「基本はアメリカの市場をベースしていますが、年代、ロゴ、色の希少さで価格が決まってきます」というのは、ヴィンテージメイソンジャーの在庫国内屈指のヴィンテージショップ「グリッター」店主・長谷川雅彦さん。

ほかにも、ロゴずれや配色ずれなどのいわゆる“エラー物”も希少価値が高くなるが、これはかなりコレクター度が高い代物。そんなヴィンテージメイソンジャーの見るべきポイントというと「気泡、キズ、汚れ」だそう。

メイソンジャーは製造当初より口の大きさが変わらないのも大きな特徴。そのため、煮沸消毒に使う道具をはじめ、ランプや電気をつけたり、コーヒーミルにしたりと蓋を利用した周辺グッズも多数。もちろん現行品にも使えるが、ヴィンテージのジャーを使えば雰囲気もグッとアップする

「基本好みですが、気泡や傷、汚れが少ないものが使い勝手はいいです。ただ、気泡もハンドメイド時代ならではのものなので、気泡の入り方で値段が高くなることもあるのでコレクション的には一概に言えない部分もあります」

経年変化の少ないガラスだが、光の当たり具合(紫外線量)で若干の色味の変化など、現行品にはない味があるのもポイントだ。現状では「グリッター」でも’20年代初頭の物でも1点3000円前後で入手可能だし、価値を知らない古道具店などでは捨てるような価格で売られていることも。

いつブレイクして価格が上昇してもおかしくないアイテムだけに、ヴィンテージ物好きなら注目したいジャンルといえるだろう。

ロゴの変遷やレアカラーなどコレクター心をくすぐる要素満載。

アメリカではガラスジャー専門のトレードショウや専門書があるなど、マーケットが確立されているが、国内では取り扱っている業者も少ないため、まだ市場が確立していない。現状で最もメジャーなボール社の物で、1970年代以降であれば2000円前後、’20~’70年代で数千円、~’20年代以前で数千~2万円、レア物だと数万から高い物だと10万円近くという感じだろう。

こちらはボール社のロゴの変遷。これ以外にもあるようだが、基本はこの9つ。細かいがこうした違いもコレクター心をくすぐる要素だ

Ball 1885~1886年製造

Ball社の初代ロゴモデル。こちらは1976年にリプロダクトされたアンバーカラー。リプロとはいえ今ではヴィンテージ。1万9800円

Ball 1892~1896製造

2代目ロゴタイプ。 シンプルな大文字のロゴの下には特許申請番号と申請された1858年を示す数字が入る。 1万4080円

Ball 1892~1896年製造

“BALL BLUE”と表現される色味は原料の砂の成分に起因する。二酸化マンガンが含まれたものは紫外線により紫色に経年変化する。1万3200円

Ball  1896~1910年製造

4代目ロゴ。~1910年までは「ショルダーシール」と呼ばれる蓋からボトルまで一体型になったような形状が特徴。4180円

Ball 1923~1933年製造

6代目ロゴ。「l」の下の横棒がなくなったシンプルなロゴ。このあたりから市場の在庫数も多いので比較的安価で入手可能。 3300円

Ball 1960~1975年製造

8代目ロゴ。基本は1975年までだが、こちらは1976年のボール社100周年を記念したモデル。蓋がキャップではなくライトニングシールと呼ばれるタイプのものでこちらも人気がある。 4180円

Ball 1933~1960年製造

7代目。再びBallの下にラインが入ったロゴに。こちらはサイドに握りやすようにグリップラインが入るチョイレアタイプ。 8580円

横面には持ちやすいようにグリップラインが入る。入るのは 1937年までなのでこちらは1933~1937年の間の製造のもの

Ball 1910~1923年製造

5代目ロゴ。1910年製造モデルから現行品とほぼ同じの形状へと変更され、より中身がこぼれにくくなり使い勝手も向 上。5280円

左が本来の物で右側は何らかの理由で文字がズレたレア物。形状も違うことから本来と違う製造ラインで製造されたのかもしれない

コレクターを目指すなら、レアカラーを狙え!

Ball  1910~1923年製造

1920年以前には浄化のために二酸化マンガンを使用したものがあり、紫外線で変色する。こちらは紫色に変化したレア物。3万800円

Ball 1910~1923年製造

アップルグリーンと呼ばれる非常に珍しいカラーのコレクターズアイテム。緑系でも濃さによっていくつも呼び名がある。3万8500円

Ball 1922~1933年製造

こちらはもともとクリアだったものが紫外線を浴びたことによって変色したもの。変色は紫系とアンバー系に分かれる。1万3200円

Ball  1975~現在

9代目。現在と同じロゴのモデル。こちらは1980年代製。現行と同じとはいえガラスの質感はやはり古さを感じさせる。1980円

上級者なら王道を外したブランドを攻めよ!

ATLAS

アトラスもメイソンジャーでは有名なブランドのひとつでアメリカにはコレクターも存在する。クリアが変色したレアカラー。8580円

ATLAS

アトラス社のもので、クリアから変色したアメジストと呼ばれるレアカラーのコレクタブルアイテム。1万6500円

HEMINGWAY

ヘミングウェイの通称グローブジャー。ライトニングシールだが機構が若干異なる。レアカラーのアンバー。8万5800円

PUTNAM

ライトニングシールと呼ばれる蓋の機構を生み出したPUTNAM(プットナム)社のモデルでグリーンのレアカラー。8万5800円

ANCHOR HOCKING

ファイヤーキングを生み出したアンカーホッキング社が作っていたメイソンジャー。ファイヤーキング好きならマスト。6380円

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning 2021年7月号Vol.327」)

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