現代にも続く王道ノベルティはアメリカが発祥。
都内でアメリカのアドバタイジングアイテムを探すなら、まず訪れたいのが蔵前にある「ボタンワークス」だ。
オーナーの小菅さんは、ファッション業界では“ボタンおじさん”のニックネームでよく知られる人物。本業はボタンなどのパーツ類を作っており、旧きよき時代のヴィンテージクロージングを基軸とする数々の有名ブランドが、小菅さんを頼っている。当時のボタンを精巧にリプロダクトするために集め始めたアドバタイジングツールだったが、今では膨大な量になったと笑う。
「仕事のサンプルとして収集を始めたのですが、実際に集めてみると、今でも初見のアイテムが出てきたり、キリがない(苦笑)。基本的には雛形となるパーツを作る業者がいて、そこに各メーカーが別注していました。簡易的なものもあれば、メーカーが趣向を凝らして金型から作っているものもあって、本当にバリエーションが多い。
ただノベルティグッズとして配られていたものが多いので、大量生産ができて、コストがそこまで掛からないものが主流です。だからこそアイデアが光るのかも。ただボタンに関しては手の混んだものが多いです。有名メーカーはもちろん、時代の荒波にもまれてしまったマイナーブランドでも、オリジナルロゴのボタンを作っていたりしています。
ディテールで差別化を図るだけでなく、労働者が着用している時でもブランド名をアピールする広告手法が、実にアメリカらしいですよね。そのデザインにずっと魅了されているんですよ」
1.キーホルダー
様々なジャンルのメーカーからリリースされていたノベルティのキーホルダー。凝ったメーカーはプレート部分の形を変えている。
また裏面にはショップなどの住所や電話番号が書ける。そのため中古車店にも多いとか。
2.靴べら
今でもシューズショップやメーカーでは定番のノベルティであるシューホーン。ただ1960年代以降になるとプラスチック製がメインに。スチール製が多いが、さらに旧いものだとブラス製の個体も散見できる。
3.ペーパークリップ
色々な企業やメーカーからリリースされているペーパークリップは、当初は金型から別注するようなスタイルだったが、印刷の技術が発展してからは、プリントがメインになっているのが特徴。
4.ワークウエアのブランド
多くのワークウエアが自社製品だとひと目でわかるようにロゴの入ったボタンをこぞって採用していた。特にカーハートはバリエーションが多く、ハート型のボタンは人気。これらはすべてチェンジボタンである。
CARHARTT
多くのバリエーションが存在するカーハート。異なるデザインでも同年代に製作していた。
SWEET-ORR
ポケットの意匠が特徴的なことでも人気のスウィートオール。スペード型は特にレア。
ヴィンテージで人気のワークウエアブランドのアイテムも!
KEY OVERALLS
アイコンが鍵になったブランドだけにそれをモチーフにしたノベルティを展開。上は折り畳み式ナイフ。
Lee
デニムブランドの中でもリーはワークウエアからカウボーイウエアまで展開。チェンジボタンはレア。
LEVI STRAUSS
リーバイスのチェンジボタンも超レアな存在。コレクターズアイテムとして高値で取引されている。
HEADLIGHT
ファンの間で根強い人気のヘッドライトは、こだわった意匠が多いが、ボタンのデザインはシンプル。
FINCK’S
豚のアイコンとレッドバーでお馴染みのフィンクスも様々なバリエーションのボタンを展開していた。
ボタンワークスのオリジナルアイテムにも注目!
数々のアーカイブから良い部分を抽出したボタンワークスのオリジナルをピックアップ。その出来の良さからこれをベースに各ブランドが別注品を作っている。高いコストパフォーマンスが魅力的!
【問い合わせ】
ボタンワークス
TEL03-6681-0028
https://buttonworks.jp
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「Lightning 2021年6月号 Vol.326」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎
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