広告大国アメリカだから生まれた、凝ったデザインの“販促ツール”が面白い!

ちょっと死語になっているが、インスタ映えという言葉が流行してからこぞって各ブランドからロゴやトレードマークを使ったウエアや小物が出たが、これこそアメリカが得意とする広告手法。アメリカでは1800年代からこの手の販促ツールがあり、そのアイデアは今見ても新鮮である。

現代にも続く王道ノベルティはアメリカが発祥。

都内でアメリカのアドバタイジングアイテムを探すなら、まず訪れたいのが蔵前にある「ボタンワークス」だ。

オーナーの小菅さんは、ファッション業界では“ボタンおじさん”のニックネームでよく知られる人物。本業はボタンなどのパーツ類を作っており、旧きよき時代のヴィンテージクロージングを基軸とする数々の有名ブランドが、小菅さんを頼っている。当時のボタンを精巧にリプロダクトするために集め始めたアドバタイジングツールだったが、今では膨大な量になったと笑う。

オーナーであり、B’S&Tの代表を務める小菅淳美さん。兄貴肌であり、ファッション業界でも慕われている

「仕事のサンプルとして収集を始めたのですが、実際に集めてみると、今でも初見のアイテムが出てきたり、キリがない(苦笑)。基本的には雛形となるパーツを作る業者がいて、そこに各メーカーが別注していました。簡易的なものもあれば、メーカーが趣向を凝らして金型から作っているものもあって、本当にバリエーションが多い。

ただノベルティグッズとして配られていたものが多いので、大量生産ができて、コストがそこまで掛からないものが主流です。だからこそアイデアが光るのかも。ただボタンに関しては手の混んだものが多いです。有名メーカーはもちろん、時代の荒波にもまれてしまったマイナーブランドでも、オリジナルロゴのボタンを作っていたりしています。

ディテールで差別化を図るだけでなく、労働者が着用している時でもブランド名をアピールする広告手法が、実にアメリカらしいですよね。そのデザインにずっと魅了されているんですよ」

ところ狭しと並んでいるのは、ボタンなどのヴィンテージパーツやアドバタイジングものばかりだ
ヴィンテージだけでなく、新品のパーツも売っているので、カスタムするのも楽しい。親身に相談に乗ってくれる
こちらは実名復刻もしたビッグヤンクが、地元シカゴでの世界万博で配ったものだ

1.キーホルダー

様々なジャンルのメーカーからリリースされていたノベルティのキーホルダー。凝ったメーカーはプレート部分の形を変えている。
また裏面にはショップなどの住所や電話番号が書ける。そのため中古車店にも多いとか。

2.靴べら

今でもシューズショップやメーカーでは定番のノベルティであるシューホーン。ただ1960年代以降になるとプラスチック製がメインに。スチール製が多いが、さらに旧いものだとブラス製の個体も散見できる。

3.ペーパークリップ

色々な企業やメーカーからリリースされているペーパークリップは、当初は金型から別注するようなスタイルだったが、印刷の技術が発展してからは、プリントがメインになっているのが特徴。

4.ワークウエアのブランド

多くのワークウエアが自社製品だとひと目でわかるようにロゴの入ったボタンをこぞって採用していた。特にカーハートはバリエーションが多く、ハート型のボタンは人気。これらはすべてチェンジボタンである。

CARHARTT

多くのバリエーションが存在するカーハート。異なるデザインでも同年代に製作していた。

SWEET-ORR

ポケットの意匠が特徴的なことでも人気のスウィートオール。スペード型は特にレア。

ヴィンテージで人気のワークウエアブランドのアイテムも!

KEY OVERALLS

アイコンが鍵になったブランドだけにそれをモチーフにしたノベルティを展開。上は折り畳み式ナイフ。

Lee

デニムブランドの中でもリーはワークウエアからカウボーイウエアまで展開。チェンジボタンはレア。

LEVI STRAUSS

リーバイスのチェンジボタンも超レアな存在。コレクターズアイテムとして高値で取引されている。

HEADLIGHT

ファンの間で根強い人気のヘッドライトは、こだわった意匠が多いが、ボタンのデザインはシンプル。

FINCK’S

豚のアイコンとレッドバーでお馴染みのフィンクスも様々なバリエーションのボタンを展開していた。

アメリカの鉄道会社各社のオリジナルボタンが並べられたスーベニア。年代的には戦後だろう

ボタンワークスのオリジナルアイテムにも注目!

数々のアーカイブから良い部分を抽出したボタンワークスのオリジナルをピックアップ。その出来の良さからこれをベースに各ブランドが別注品を作っている。高いコストパフォーマンスが魅力的!

真鍮ベースのシューホーンは、コストパフォーマンスが高くて人気。黒ラッカーも絶妙。1980円
ユー・ペイ・スピナー。ドリンクメーカーの実在するノベルティを復刻した。回して指先が止まった人が支払うというゲームに使う。栓抜きも兼ねる。各1980円
左のスピナーを曲げて、マネークリップにアレンジしたアイデアが光る仕様。各1980円
ラリースミスにオー ダーしたリング ワークウエアのヴ ィンテージボタンを 使用。3万5200円

【問い合わせ】
ボタンワークス
TEL03-6681-0028
https://buttonworks.jp

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning 2021年6月号 Vol.326」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

無垢の金属、輝く伝統。純金や純プラチナを使った「市松」の究極の逸品

  • 2026.09.25

純金や純プラチナなど、純度100%の軟らかい金属をアクセサリーにするためには非常に高い技術が必要だ。それを可能にするのが「市松」。約30年にわたって培った“叩く”技術が可能にする唯一無二のリングの輝きに迫る。 熟練の技なくしては完成しない究極の逸品 原材料高騰の影響もあって、希少性が高まっている純金...

いつもの装いに、頼れる履き心地。この秋は、コートスニーカーとチロリアンシューズがあればいい

  • 2026.09.18

トラッドな装いになら、足元はやっぱり品よくいきたい。でも、履き心地だってこだわりたい。そんな欲張りな気分に応えてくれるのが「ロックポート」。クラシックな佇まいと快適さを両立した2足を紹介する。 品よく履けて、しっかり快適 「お洒落は我慢」とは言うけれど、格好よさも履き心地も譲れない。そんなわがままに...

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

Pick Up おすすめ記事

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...