2ページ目 - 【大人がハマる図鑑】本のエキスパートからファッション業界人までおすすめ図鑑74選(後編)

  • 2023.02.21  2021.03.18
CONTENTS

5.癒しやインスピレーションを与える「大人の図鑑カフェ」。|book cafe & bar fumikura オーナー 井守正暁さん

現代の疲れた大人達に向け、キレイな風景やクスリと笑えるユーモア溢れる図鑑で癒しやインスピレーションを与えている「fumikura」。そこでオーナーの井守さんにLightning的な図鑑を紹介してもらいました。

book cafe & bar fumikura オーナー 井守正暁さん|総合書店スタッフを経て2016年1月に「fumikura」をオープン。教員免許も所持する博識で、どんな人にも合う図鑑を提供してくれる

文庫を大和言葉に読み替え、現代に合わせてローマ字小文字にした言葉を店名に配した「fumikura」。”大人の図鑑カフェ”をコンセプトに、知識の集積と学級文庫が象徴する私設図書館という意味を込めている。

「現代の大人はどこを向いても疲れている人ばかり。そういう方に手にとっていただけるように文字情報量がなるべく少ない図鑑や写真集を中心にジャンルは幅広く揃えています。そうしてウチで癒しを感じてくれたら最高ですね」と語るオーナーの井守さん。

他にも企画に具体的なイメージが湧かない方のインスピレーションになるような本や一筋縄ではいかない珍本・奇本も充実。ここで紹介している本も、実にユニークなものばかりだ。

【愛読図鑑①】Custom Fixed-Blade Knives|David Darom/CHARTWELL BOOK, INC|刀鍛冶が手作りしたカスタムナイフ図鑑。

刀鍛冶自身の創る想いも掲載されたナイフの本。掲載されているアイテムはダマスカス鋼を使って思い入れのある図柄を描くなどデザイン性に優れたものばかり。バタフライナイフやダガーナイフ種類も様々で、RPG 好きな方はアイテム図鑑としてみても面白い。

【愛読図鑑②】BSHOWA NO KURUMA|但馬治/インフォレスト|写真のクオリティでリアルな昭和を再現。

但馬治さんという写真家が撮り下ろした本。昔のナンバーをしっかり使っていたり、細かなところもこだわる写真のクオリティが一番の魅力。また、メーカーがどう統合されて今にいたるのかがわかる年表が載っているのも、好きな人にはたまらないポイント。

【愛読図鑑③】ポケットの中のデザイン史|JT デザインセンター・たばこと塩の博物館/美術出版社|タバコデザインの裏側を覗ける図鑑。

1945年から2009年までのタバコのカタログのような本。ポイントはデザイナーが込めた想いも載っているとこ
ろ。そこを合わせて読むことで、当時の時代背景や流行など、ただデザインを見るだけでは伝わらない部分もしっかりと伝わってくる。

【愛読図鑑④】ライター博物館|日本ライターコレクションクラブ/グリーンアロー出版社|男のアウトドア心をくすぐるライター本。

キャンプの焚き火で火を点ける時はZIPPO でしょ! という人に是非お勧めしたい一冊。種類の豊富さやデザインの美しさも秀逸で、カタログ的目線でも十分に楽しめる。メーカー別、タイプ別など分類も細かく、見やすいところも大きなポイント。

【愛読図鑑⑤】Petretti’s Coca-Cola COLLECTIBLES PRICE GUIDE|Allan Petretti/kp KRAUSE|コカ・コーラのオークションカタログ。

世界中で販売されているコカ・コーラのプライスリスト。まずコカ・コーラだけで700 ページ近くのオークションカタログができてしまうのも驚き。値段が分かってしまうのは良し悪しではあるが、案外安く買えるモノもわかるので、アンティーク好きにはオススメ。

癒しとインスピレーションを与えるcafe&bar 空間へ。

綺麗な景色、笑いを誘うオジサンの生態図鑑、デザインや建築、美術、生物、廃墟、昭和レトロやコレクターズアイテム、香水や時計から音楽、舞踊、伝統芸能などの豊富な図鑑をより楽しむためのカフェメニューも充実。

このチリビーンズやシェケラートはどれも人気メニューだ。なお、本は気に入れば購入も可能とのこと。

【DATA】
book cafe & bar fumikura
東京都練馬区桜台1-4-7 仙川ビル1F
TEL03-6914-5886
営業/11:00~23:00(フードLO22:30)
休み/火曜
http://fumikura.ne.jp

6.“現代”の古書店だからこそ提案できる図鑑的価値のある本。|NISHIMURA BUNSEIDO 代表 西村康樹さん

本が売れないと言われる今の時代に、インテリアとして飾る古書ビジネスを展開している西村文生堂の西村さん。古書の持つ独特のカッコよさを、図鑑的観点で捉えるとどのようなものがあるのか紹介してもらった。

NISHIMURA BUNSEIDO 代表 西村康樹さん|昭和23年創業の西村文生堂の3代目店主としてさまざまな古書イベントを企画。2009年より産業能率大学兼任講師も務める

古本にはその時代の空気を伝える資料としての役割だけでなく、空間を演出する力もあると気付いたことで、ブックコーディネイト事業を始めた西村文生堂の西村さん。本は読むモノだけではなく飾るモノでもあるという独自の視点を持つ西村さん的な図鑑は、どれも飾り物としても十分な魅力がある。

【DATA】
NISHIMURA BUNSEIDO
東京都目黒区自由が丘2-11-8
TEL03-3717-6843
営業/11:00~19:30
休み/なし
http://home.a07.itscom.net/bunseido

【愛読図鑑①】アメリカのムービーブック全般|各々の時代が反映されたひとつの作品。

昔のアメリカ映画の雑誌達。どの時代も広告には旬な俳優や女優、フォントやレイアウトデザインが用いられているので時代を写し出す一つ鏡になっていて、雰囲気があるものばかり。そのため今でもデザイナーが資料用に買って行くことが多いとのこと。

映画にはその時代のファッションから髪型、アクティビティまで全ての要素が詰まっている

【愛読図鑑②】HOLLYWOOD GOES TO WAR|Edward.F.Dolan Jr./GALLERY BOOKS|アメリカの正義を感じる戦争本。

ハリウッドの戦争映画の歴史が詰まった書籍。世界最強のアメリカ軍を表現した、アメリカの正義を感じる一冊になっている。こういった戦争やミリタリーモノはファッションでもオタクの世界でも人気があるので、常にストックしているそう。

【愛読図鑑③】NEW YORK STREET KIDS|John von Hartz/Dover Publications|多種多様なNY キッズを写し出した一冊。

昔から人種のるつぼやビッグアップルと呼ばれ、多種多様な民族が混在して暮らしているニューヨーク。多様性に満ちたこの街で育つとアーティスティックな感性が磨かれやすいんだなと思わされてしまう、NYが持つ求心力を改めて感じさせてくれる一冊。

【愛読図鑑④】TATOO ROAD TRIP|Bob Baxter/Schiffer Publishing|アメリカ北西部のタトゥーアートが満載。

感性が豊かでアーティスティックな人が多いタトゥー業界。最近では外国人が漢字のT シャツを着ている姿をよく見かけるが、そういうジャパンカルチャーをいち早く取り入れたのもこの業界。最近では文化が根付き始めてきたのか、タトゥー本は人気とのこと。

7.モーターカルチャー書籍の品揃えは日本トップクラス!|代官山 蔦屋書店クルマ・バイクコーナー コンシェルジュ 清野龍太さん

代官山 蔦屋書店クルマ・バイクコーナー コンシェルジュ 清野龍太さん|ヴィンテージから現行まで幅広くクルマ・バイクの書籍に精通する。特にラリーカーなどクルマのレースを好み、愛車はランチア・デルタ・インテグラーレを所有
クルマ・バイクコーナーは、国別、メーカー別に書籍が陳列されるわかりやすいレイアウト。さらに、期間限定で関連カルチャーのフェアなども開催され、ライフスタイルともリンクしたラインナップが魅力だ

【DATA】
東京都渋谷区猿楽町17-5(代官山蔦屋店内)
TEL03-3705-2525
営業/1F:7:00〜26:00 2F:9:00〜26:00 Anjin:11:00〜26:00
休み/なし
http://real.tsite.jp/daikanyama/

【愛読図鑑①】世界の自動車大図鑑|ネコ・パブリッシング|黎明期から現代までの世界のクルマを幅広く網羅。

世界で最初のクルマから現代の技術を搭載するスーパーカーまで1000台以上のクルマが10年毎に分けて掲載されるので、順を追って読んでいけば体系的にクルマの歴史を理解できる。各メーカーのヒストリーページがあるのも魅力だ。6171円

【愛読図鑑②】THE ILLUSTRATED ENCYCLOPEDIA OF MOTORCYCLES|Erwin Tragatsch /Chartwell Books Inc.|2500台以上のヴィンテージバイクを解説する力作。

1894年〜1983年までの世界中のバイクを収録したヴィンテージ書籍。写真とイラストで構成され、珍しいメーカーやモデルも掲載されるので詳細がわかりにくい旧車も何かヒントが見つかるかも!? 8640円

【愛読図鑑③】日本車大図鑑 第2版|カーグラフィック|CAR GRAFFIC 誌の歴史の深さを物語る、国産車図鑑。

1960年から2017年まで日本で販売された乗用車、約1100 モデルを来歴から車名の由来、技術や変遷などが丁寧に解説される。CAR GRAFFIC誌55年の歴史の集大成とも言える名作だ。3万2400円

【愛読図鑑④】二輪車 1908-1960|三樹書房|日本のバイクカルチャーの原点を紐解く1冊。

日本のバイクカルチャーが世界に認められるのは主に1960年代からだが、それ以前の車両のみをフィーチャーしたコアな視点で国産二輪の歴史を切り取った1冊。特に1950年代には現存しないメーカーが大量に存在するので、見たことのないバイクをたくさん発見できるはず。1512円

8.古本酒場が推す図鑑的な古本雑誌。|コクテイル書房 店主 狩野 俊さん

大正時代に建てられた古民家を改装した趣ある店内はお酒も飲める「古本酒場」。ここは知る人ぞ知る大人のための本の秘密基地、コクテイル。そこのオーナーが図鑑的な要素を持つ味のある古本雑誌を紹介してくれた。

コクテイル書房 店主 狩野 俊さん|神保町にて書店員を経験した後、1997年に国立市に古書店コクテイルをオープン。2000年に古本酒場として高円寺に移転

高円寺にて築100年余りの古民家を改装した場所でお酒も飲める古書店コクテイル書房を営む狩野さん。本が好きで、自然の流れで古本屋を営み、約20年の月日が流れた。

「置いてある本は、美術書、思想哲学、小説など幅広く、そのすべてが購入可能です。あえてジャンルを分けをせずに配置しているので、座った席によって出合う作品も変わるから、ワクワクすると思いますよ。本好きの人はよく来店してくれますね。」

1階と2階合わせてストックはおよそ5000冊。

「古本こそ、画一的な流行から一歩距離を置き、洗練された上質な趣味の世界へと導いてくれる存在です」と話す狩野さん。

ここで紹介している本も、今だからこそ図鑑的意味合いを持つ、そんな特色を持ったものばかりだ。

【愛読図鑑①】科学知識|科学知識普及會|戦前の日本の科学雑誌。

これは戦前に出ていた科学知識という雑誌で、後出のポピュラーサイエンスの日本版と言える一冊。どことなくなく色合い的にも似ている。専門的なことも書いてるが、図版も多いし見てるだけで楽しい。当時の科学少年から高校生・大学生くらいまでをカバー。

戦前の本だけあり、大型船や大砲などの記事が目立つ。そこからは 当時の生活の一端が垣間見える

【愛読図鑑②】POPULAR SCIENCE|Bonnier Corporation|男心をくすぐる内容が満載。

とあるコレクターさんの家から出てきたところを1930年代後半から’60年代までをごそっと買い取り。最新の科学の情報も載っているが、戦前のSFの世界、21 世紀はこうなる! と言ったような未来予測も書いてあったりと、男心をくすぐるような中身。

中面はこのように図面やイラストも豊富なので、英語がわからずとも楽しめる内容になっている

【愛読図鑑③】POPULAR MECHANICS|Hearst Corporation|メカニック好きにはたまらない。

POPULAR SCIENCE が科学全般のことに記事にしているのに対して、こちらは兵器とか車とか飛行機などメカ系のものに特化。地上から航空機を攻撃するための空に撃つ高射砲の特集があったりだとか、かなりマニアックな記事作りをしている雑誌。

高射砲のイラストがカラーで前面に 描かれているところにからも雑誌の世 界観を感じ取れる

【愛読図鑑④】Coronet|Esquire Inc.|アンティークアメリカンアートの魅力が詰まった本。

1950 年代のアメリカの雑誌。表紙はノーマン・ロックウェルというすごく有名なイラストレーターが毎号描いていて、額装してもいい雰囲気になるほどアート性が高い。家族で楽しめる一般的な情報誌だが、この年代のアメリカが好きな人にはお勧めしたい一冊。

中面は当時のアメリカ文化そのまま表現。一般的な情報誌だからこそ出せる日常が溢れている

文学作品からメニューを拝借。

古本酒場と呼ばれているコクテイルのメニューの特徴として挙げられるのが、文学作品に登場する料理を提供しているところ。

このサワーも乱歩サワーという名前で、江戸川乱歩の作品に『ざくろ』という戦前の探偵小説があるから。乱歩の作品に描かれている猟奇的な血の感じをざくろを使って表現しているというワケ。

【DATA】
コクテイル書房
東京都杉並区高円寺北3-8-13
TEL03-3310-8130
営業/11:30~15:00、17:00~23:00、月・火曜17:00~23:00
休み/なし
http://fumikura.ne.jp

定番の図鑑からマニアックな一冊まで、紹介した本以外にも「大人が楽しめる図鑑」というものに興味を持った人もいるのでは? これをきかっけに神保町の古書店巡りや、雑誌に特化した古書店「magnif」のような個性的な本屋に足を運んでみてはいかがでしょうか。

個性的な本屋が気になる人は「別冊Lightning Vol.227 本屋さんへ行こう」をガイドブック代わりに、お気に入りの本屋を見つけてみてください。きっと素敵な「大人の図鑑」との出会いがあるはずです。

(出典/「Lightning 2018年9月号 Vol.293」)

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