ワンポール=グランピングの方程式。~泊まってみたい!から始めるキャンプの贅沢~
近年、日本のキャンプシーンは、空前の盛り上がりを見せている。少し前まではキャンプ場で見掛けるのは、量販店で売っているようなテントばっかりだったけど、今はお洒落なキャンパーが増えて、思わず目を奪われることもサイトに出会うこともしばしば。おそらく前者はアナタもお持ちであろう。贅沢する、には本物に泊まってみたい。
機能を重視したナイロンを使ったものに替わって、こなれたキャンパーたちがこぞって使っているのが、ワンポールのコットンテント。その中でもキングオブワンポールテントとして多くのファンを持つのが、デンマーク発のノルディスクである。その魅力を世界初のコンセプトストアである『ノルディスク キャンプ サプライ ストア バイ ルート』の岡村さんに聞く。
「コットン素材のテントは、重さこそあるが、換気さえすれば、中でストーブなども使えますし、ナイロンと比べると暖かいんですよ。うちのワンポールコットンテントの代表作であるアスガルドとアルフェイムは、とにかく広いから大人でも余裕で立てて、テント内でゆったりと過ごすことができるのが最大のメリットと言えます。お子さんがいらっしゃる方だとフロアを付けることが多いですが、フロアレスにして中に薪ストーブを入れて冬キャンプを楽しむなんて方もいますよ。使う方のキャンプスタイルに合わせて、使い分けできるのも大きな特徴ですね」
「ノルディスク」を代表する定番ワンポールテント
Alfheim12.6(アルフェイム12.6)
美しいフォルムのティピ型テントで、屋根にヒモで調整できるベンチレーションが付く。またフロアやインナーキャビンを取り付けることができるので、キャンプスタイルによってカスタマイズできる。10万5000円+税、キャ
ビン3万9000円+税、フロア4万8000円+税
Asgard 12.6(アスガルド12.6)
アルフェイムと並んで人気を集めているのがアスガルド12.6。フロアが取り外しできる。11万8000円+税、フロア5万2000円+税
かわいらしいクマがブランドのアイコンになっている。このようにテントには専用のケースが付く。ワンポールは構造がシンプルなので、ビギナーでも簡単に組み立てられる。
「ノルディスク キャンプ サプライ ストア バイ ルート」へ行ってみよう。
きっとワンポールテントをイメージしたときにまっさきに思い浮かべるデザインが人気の「ノルディスク」。世田谷にある直営店の店内にはその時々で、さまざまなテントが張ってあり、実際のテントの大きさがわかるので、かなり参考になるはずだ。
店内にはノルディスクだけでなく、キャンプで使えるものがセンスよくセレクトされている。
カフェスペースもあって、併設するウッドデッキで飲むこともできる。またホットドッグも評判。キャンプ向けの調理機器なども販売しているので要チェックだ。
【DATA】
ノルディスク キャンプ サプライ ストア バイ ルート
東京都世田谷区砧2-21-17 1階
TEL03-5429-6909
営業/11:00~19:00、土曜8:00~19:00
休み/月曜
http://root-store.com/nordisk
まだまだあります、ワンポールテント。
ニッポン、アメリカ、ヨーロッパ。世界のテントメーカーがワンポールテントをリリースしている。おすすめを厳選して6つ紹介しよう!
1.ピルツ15T/C(オガワ)
日本を代表するキャンプブランド。大人気のピルツシリーズよりコットンポリエステル素材のピルツ15T/C。
2.ピルツ15Ⅱ(オガワ)
軽量性を求めるのであれば、ポリエステル素材のピルツ15Ⅱがオススメ。8人で使用できる。
3.シブレー500アルティメット(キャンバスキャンプ)
2005年にベルギーで設立されたコットン100%のテントメーカー。シブリー500アルティメットプロ。(キャンバスキャンプジャパンTEL0558-36-4666 https://www.canvascamp.com/ja_jp)
4.ウィグロ(ベルガンス)
ノルウェー発のブランド。こちらはセンターポールで立ち上げるティピーテント。4シーズン使える万能な作り。
5.ジルコン7CP(テンティピ)
スウェーデン発のブランド。代表作ジルコン7CPはコットンとポリエステルを混紡していて、結露が最小。
なぜ人はワンポールテントに憧れるのか? 元祖ティピーから読み解く。
最近のキャンプ場では、アウトドアシーンの進化し続けるテクノロジーとは裏腹に、コットン製のとんがり頭のテントをよく見かける。あの形はアメリカ先住民の住居であるティピーをヒントにしている。
ティピーほど現代人にネイティブ・アメリカンカルチャーを連想させるものはない。簡素な作りで自然が絵になる住居。元々ティピーは狩猟民族の家なだけに、牛の革を数頭分(約十数頭)使ってシェルにしていた。ティピーを作るのは女性の仕事で、何日もかけて牛の革を鞣なめし、縫い合わせて作っていたそうだ。そして、19世紀後半頃になると帆布が普及して、牛革に代わって帆布製のティピーが主流になった。それが今のワンポールテントのデザインに繋がったと言って間違いないだろう。
ティピーライフの楽しみは見た目だけじゃない、特筆すべきは室内で火を炊けること。歴史書などに登場する険しい顔をしたネイティブ・アメリカンからは想像もつかないけど、きっと晩御飯の時間はティピー内で火を焚きながら家族でピースな会話に華を咲かせていたことだろう。我々が焚き火をして、家族や仲間と火を囲いながらしっぽり話し込んでしまうあの雰囲気は彼らには日常茶飯事だったんだから。いまのワンポールテントの中には室内で焚き火ができるものもあり、そのルーツを感じずにはいられない。
日々仕事に追われる現代人にとってはキャンプ自体が、日常の悩みや人間関係のいざこざを忘れて、自然の気持ちよさを体感できるある意味贅沢な遊び。つきつめれば自然と共生していたネイティブの生活にたどり着くのは不思議なことではない。彼らのアクセサリーが再びファッションとして注目され、装飾性も含めた彼らの生活に基づく文化が、ボクらの憧れに繋がっているのは間違いなかろう。トンガリ屋根は和みの象徴。だから、スタイルになる。
サバイバルに備えて覚えておきたい、ティピーの建て方。
ワンタッチで立てられるテントに比べれば、設営ははるかに大変だし、重い。モノによってはコンパクトにもならない。それでも広々とした空間、独特のスタイルは換えがたいものがある。大勢泊まれるスペースを家族で贅沢に使う、それが魅力であり、便利よりも最高の空間を提供してくれるのがワンポールテントなのだ。
(出典/「Lightning 2017年7月号 Vol.279」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/N.Suzuki 鈴木規仁
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