世界へ羽ばたく日本のH-Dカスタム。

  • 2022.08.16

H-Dスポーツスターのニューモデル、ナイトスターの登場と同時にH-D本社主導で進められた世界規模のカスタムプロジェクトに日本のHIDE MOTORCYCLEが参加。日本のビルダーがメーカープロジェクトに携わり生み出したカスタムバイクがアメリカ全土を渡り歩き、日本のカスタムシーンのレベルの高さを世界に知らしめる。

H-D社のカスタムプロジェクトに日本のHIDE MOTORCYCLEが選出。

代表、富樫秀哉さん。ショーで数々のアワードを獲得し、過去にはBMWのプロジェクトにも選出された日本のトップビルダーの一人

ファッションやスポーツ、芸術など、世界を舞台とした日本人の活躍は日々勢いを増しているように感じる。具体的な例を挙げれば、昨年オリンピックの競技に加えられたスケートボードは男女の日本人選手が3つの金メダルを獲得する快挙を成し遂げた。そして、いまスケートボードは日本でもスポーツとして認識されている。

カスタムバイクにおいても、現代の日本のシーンのレベルは世界的に高い位置にあると筆者は感じている。いまや日本のカスタムはアメリカの模倣にとどまらず、世界から注目を集める状況になっている。そして、日本のカスタムシーンにとって吉報と言える新たなニュースが今年4月に発表された。

HD本社が主導し、世界中から厳選した6ショップのカスタムビルダーによるプロジェクトバイクが完成した。そしてHDが選んだパートナーのひとつに日本のヒデ・モーターサイクルが選出されたのだ。本社のプロジェクトに日本のビルダーが携わるのは今回が初めて。このプロジェクトバイクは今月西海岸最大級のチョッパーショーに出展され、その後アメリカ全土のHDディーラーを行脚し、そしてミルウォーキーのミュージアムに格納される。ビルダーの富樫氏はどんな思いで、このプロジェクトに立ち向かったのか。

メカニックを務める渡直也さんは、前職芸術大学の講師という異色の経歴を持つ。JSTのデザインは二人で協力して生み出したモノだ

「まず、HDがヒデモを選んでくれたことは素直に光栄に思います。でも、自分の頑張りだけの結果ではなく、黎明期から先輩たちが活躍し続け、シーンを育んできてくれたことが大前提。最近ではチェリーズカンパニーが製作したバイクが映画『THE BATMAN』の劇中車となったり、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーがラックMCにチョッパーをオーダーするなど、日本のシーンに世界から目が向けられるようになっているんです。それなのに国内ではカスタムバイクはまだまだアンダーグラウンド。このプロジェクトは日本の多くのビルダーや関係者の努力のうちの一つですが、カスタムバイクが日本でもカルチャーとして認められるきっかけになってほしいと思います」

ヒデモーターサイクルのセンスや技術、また日本のカスタムシーンのレベルの高さを世界に知らしめるチャンスとなるプロジェクトだが、一方で世界に誇る素晴らしいシーンが日本にあることを日本人に伝えるチャンスでもあるのだ。日本の様々なビルダーが育ててきたカスタムカルチャーが、より広く浸透し、暖かい目で見守られることを願いたい。

“JST”Built by HIDE MOTORCYCLEをとくと見よ!

日本のシーンから生まれたストリートトラッカーをコンセプトに製作した“JST” は、タンクからシートカウル一体型のアルミボディによって美しいシルエットを構築。そして、ワンオフのサブフレームを介してリアサスペンション位置を移設することによって、着座位置をやや前に移動し、日本人の体格に合わせたポジションを実現する。“JST” をベースにボディをファイバー製に変更して、今後コンプリートカスタムを展開する予定だ。

ベースのナイトスター。水冷エンジンやラジエーターなど空冷モデルから大きく変化したが、これまでのスポーツスターの面影を色濃く残している。

アルミのシートメタルから叩いて製作した外装がJSTの真骨頂。エッジや曲線が入り乱れる複雑な造形にビルダーの卓越したメタルワークスキルを見る。フォークに巻きつくようなナセルは、H-Dのトラディショナルなディテールのひとつ。手作業の立体的な造形に加え、前面の配色によってコンパクトに見える効果を狙っている。

サブフレームを製作して、リアサスの位置をやや前に移設することでリア周りのボリューム感を軽減し、スイングアームが長く見える視覚的効果を生み出している。

ラジエーターカバーはアルミのワンオフだが、あえて純正カバーのようなマットな質感に。全てを強調するのではなく、黒子は黒子に徹するヒデモのカスタムビルドの美学が現れている。

ワンオフのエキパイにカーボンサイレンサーをセット。スポーティなシルエットを引き立てるデザインだ。

タンクからシートカウルまで流れるようなラインを描くシャープなシルエットの外装はヒデモーターサイクルが得意とするカスタムだが、新型ナイトスターは空冷モデルと違い、エンジンの前に大きなラジエーターを備えるので、前から見た際のボクシーなシルエットを計算したデザインとなっている。

製作前のスケッチの段階でほぼデザインはできていたというJSTだが、平面のデザインを立体に落とし込み、そして最終的にライダーが跨がり人馬一体となってカスタムバイクは完成する。走行性能を犠牲にすることなく、造形の美しさによって個性を生み出すのがヒデモのカスタムマナーだ。

【DATA】
HIDE MOTORCYCLE
Tel. 044-822-8069

HIDE MOTORCYCLE

(出典/「CLUTCH2022年8月号 Vol.86」)

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