創業からその基本スタンスを変えることなく、良質なスポーツカーを生産してきたメーカーだからこそ、ヴィンテージモデルにも注目が集まるわけで、歴史や旧きよきスタイルを大事にする英国気質にもPorscheの魅力はぴったりとリンクする。
ここはロンドンよりクルマで約90分ほどのオックスフォードシャーのビスターという街。森林と湖がある英国の田舎町に、200台以上のクラシックポルシェが集結した。Megaphonicsという名のこのイベントは、クラシックPorscheの愛好家が高じて、いまやPorsche専門のレストア、カスタムを行うBoxengasseを運営するショップが主催。この日ばかりはイベントエリア中に空冷サウンドが響き渡ったことはいうまでもない。
クラシックPorscheの愛好家が一堂に会するイベント。
このイベントの主催者であるフランクが所有している100エーカー以上はある広大なイベントスペースが今回の会場に。敷地内にはPorsche を中心に扱うショップも存在する。
それまでやっていたビジネスを売却し、自身が趣味で好きだったPorscheを現在の仕事にしてしまったという主催者のフランク。今ではイベントを開催するほど、現地でも指折りのPorsche愛好家として知られている。
敷地内にあるショップには色鮮やかなクラシックPorscheがリフトに鎮座している。この日はイベントだったので、ガレージ内を見学することも可能だった。きっちりと整備ができる設備が整っている。
このイベントの主役は空冷水平対向6気筒。イベントに参加する車両はどれも隅々までしっかりと仕上げられているだけでなく、エンジンルームまでクリーン。見せることも想定した各オーナーの愛情を感じる。
森林と湖が目の前に広がるいかにも英国の郊外といった風情のイベント会場は、その森を抜けた先にある。イベント参加車両はそのほとんどが自走でやってくるのが印象的。どんなに旧いモデルでもしっかりとランニングコンディションを維持しているところに愛好家たちのこだわりを感じる。
英国の田舎道をクラシックPorscheならではの空冷サウンドが響く。旧車ならではのメカニカルノイズはクルマ好きにとってはどんなオーケストラよりも心地良いサウンドに聞こえているのかもしれない。英国のクラシックカーカルチャーはこうして受け継がれていく。
編集部が気になった、貴重なポルシェの一部を紹介!
英国のクラシックPorscheのチューニングショップStuttgart Classicaが製作したモデルはナローをベースにしながら現代のパーツで組み上げるネオクラシックなスタイル。カスタムの世界ではレストモッドと呼ばれるクラシックなスタイル。カスタムの世界ではレストモッドと呼ばれる。
2.4リッターエンジンにWEBERのキャブレターで武装した356は当時のスペックを遙かに凌駕するカスタムが施される。オリジナル重視派にはモディファイが過ぎるが、ロールケージを組むなど本気のスタイルは見応えがある。
歴代のGTカーのなかでも群を抜く美しいボディを身に纏った904カレラGT。レースのために生まれた市販車とはまったく異なるデザインのため、愛好家でなければPorscheだと気がつかないかもしれないスーパーカー。
半世紀以上前のモデルでもしっかりと維持ができるほど、パーツがそろうのもクラシックPorscheらしさ。356が持つボディラインはいつの時代も美しい。
ナローに964型のエンジンをスワップし、クラシカルなルックスながら現代的な走りを獲得した1台。アクリル製サイドウインドーなど、ストリートよりサーキットが似合う。
自動車メーカーがかつて農業用や工業用のマシンを生産していたことは珍しくなく、PorscheもかつてはPorsche Dieselのブランドでトラクターを生産。その現車も登場した。
(出典/「CLUTCH2022年8月号 Vol.86」)
Photo by Takashi Okabe 岡部隆志 Text by CLUTCH Magazine 編集部 https://www.boxengasse.com
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