ロサンゼルスで活動するフォトグラファーMaikoがおすすめのスポットを紹介! 今回紹介するのは、若干25歳にして家具のショールームを営む若手コレクターの自宅兼ショールーム。
以前、西海岸スタイルの家具が購入できるスタジオや、ヴィンテージファッションのショールームのあるコンドミニアムを取り上げたことがありますが、ロサンゼルスでは「店舗」の形を取っていないショップというものがあるんです。
ちょっと敷居が高いイメージもありますが、SNSで情報発信できる時代、自分でアーティストと連絡を取って、アトリエを訪れて購入する……そんな時代になってきつつあるのかも知れませんね。
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25歳の若き夫婦の集めた家具コレクション。
初めて彼らの部屋の写真を見たとき、その美しさに目を奪われた。そこには、ハイセンスなミッドセンチュリーモダン家具が置かれており、しかも、簡単には手に入らないような、高価なものばかりでした。
ここはコリアタウンにある、「Oxford Patina」という家具のショールーム兼オーナーの自宅。置いてある家具の大半は買うことができるという、ショップとは違った、よりライフスタイルを感じ取りながら家具を選べるスペースなんです。
こういった、いわば高級ヴィンテージ家具を扱う人となればベテランコレクターを思い浮かべますが、実はこの「Oxford Patina」のオーナーは若い夫婦。Timothy Gonzales と Melanie Asatoは2人とも1994年生まれの25歳。
大学卒業後、とある会社でアカウントマネージャーをしていたTimと、コスメ商品のプロダクトディベロッパーをしていたMel。大学でもTimはビジネス、Melは生物学を専攻し、インテリアを学んでいたわけではない。
ただ、自分たちが住む家の家具を揃えることになった時、どうせならとこだわって、気に入る家具を探し集めた。
それが高じて、少しずつ家具を収集しては売り出し、それがサイドビジネスになっていった。
2年前の2017年、日系人であるMelはTimを連れて日本旅行へと出掛け、その時に2人は婚約したんだそう。旅行中、以前よりプロダクトディベロッパーの仕事に疑問を抱いていたMelは、思い切って仕事を辞めるメールを会社に送った。そして、旅行から戻るとたまたま同じタイミングでTimも仕事を失った。
2人とも無職になり、「さぁどうする!?」と考えた末、試験的にでも、サイドビジネスであったヴィンテージ家具の売買をフルタイムでやってみよう、ということになった。そして、2年の歳月が経ち、試験的であったはずのその仕事が今ではしっかりと2人の基盤となっているのだから、そういう運命だったのかも知れない。
「Oxford Patina」の美しきコレクション。
2人が家具をコレクトする上で大事にしていることは、その家具が美しく時を重ねているか、ということ。フルグレインレザーや無垢の木材、自然の素材が好きで、年月によって出た風格”Patina”に魅力を感じるのだそうだ。またジャンルで言えば、American Studio Craft movement、フレンチモダニズム、スカンジナビアンモダン、ブラジリアンモダニズムを主にコレクトしている。主なコレクションを拝見させていただいた。
Vintage Triennale floor lamp
傘の部分は全て同じ白に見えて、実は明るい白、オフホワイト、ライトグレーの絶妙な3色になっている。
LOW IRON AND BIRCH DOWEL COFFEE TABLE BY KATAVOLOS, LITTELL AND KELLEY FOR LAVERNE ORIGINALS
木とアイアンのコンビネーションが美しいコーヒーテーブル。$2300
PAIR OF LEATHER BAMBI CHAIRS BY ROLF RASTAD & ADOLF RELLING FOR GUSTAV BAHUS
レザーの風合いもさることながら座り心地も抜群なチェア。$5300
ALF SVENSSON FOR DUX, “DOMUS 1” LOUNGE CHAIR
ミッドセンチュリー家具らしいフォルムが美しい椅子は$1,100
PAIR OF JACQUES GUILLON CORD CHAIRS
1954年に誕生したカナダのデザイナーによるコードチェア。状態もよくてこの値段はお買い得。ペアで$1,800
HANS BRATTRUD FOR HOVE MOBLER “SCANDIA” SENIOR CHAIRS – SET OF 4
曲線の美しいチェアは4つセットで$4,000
ふたりが手放せない日本で出会った名作チェア「single arm lounge chair by George Nakashima」。
このチェアには面白いエピソードがある。日本を旅行中、神戸の道を歩いていた2人。神戸ステーキの店を予約しておりその店に急いで向かっていたところ、道端にあるカフェの店先に何気なく置いてある看板がTimの目に入った。
その看板が置かれていたチェアこそが、このGeorge Nakashimaのチェアでした。
間違いなく本物だと分かったTimは、神戸ステーキへと急ぐMelを説得し、カフェのオーナーに頼んでチェアを売ってもらうことに。びっくりするような破格で手に入れたのだった。
神戸の後も3都市を旅行した2人は、このチェアを肌身離さず持ち歩き、新幹線や電車も乗り継ぎ、最後には飛行機にも乗せ、無事にロサンゼルスへと持ち帰ってきたというから驚きです。きっと、このチェアは誰の手にも渡ることはないことでしょう。
さて、すごくふたりのコレクションが気になってきたのではないでしょうか? この「Oxford Patina」は、アポイントメントを取ればショールームを見学することができ、日本からわざわざ足を運んでくれる人もいるそう。行くことがかなわない人も、HPからコレクションを見ることが可能。
若干25歳にして自分たちのスタイルを完全に作り上げている2人。今後どのようなコレクションが増えていくのか楽しみです。
【DATA】
Oxford Patina
https://www.oxfordpatina.com