トラッド巧者が選ぶアメトラの名品4選。これが僕らのマスターピース。

トラッド巧者が「手放せない」と語る20のアメトラ名品。それぞれの個人的なエピソードや、いまだからこそ感じる魅力を織り交ぜて紹介する。

01…Brooks Brothers/ FUN SHIRT|服としての魅力はもちろん、その命名センスに脱帽。

クレイジーパターンの元祖とも称される[ファンシャツ]は70年代に誕生。もともとは縫製の練習用として、異なる生地がランダムに縫い合わされたシャツに着想を得て作られた。以来、ブランドの代表作のひとつとしてラインナップ。

「当時の副社長が命名したという[ファンシャツ]という名称に惹かれます。愛称的なネーミングがあるというのは、売れているアイテムに共通して言えることですからね。最初は、そういう“プロダクツとしての魅力”に投資する意味で購入したので、着る機会は少なかったんですが、ここ数年で“着る服”としての魅力も強く感じるようになりました。

色を拾いやすいので、ジーンズもスラックスもチノパンも、合わせるパンツは選ばないですね。最近の気分だと、バギーショーツやブーツに合わせたときの雰囲気が好きです」

Recommender:Jプレス&サンズ/黒野智也さん|「Jプレス&サンズ」の立ち上げ人。YouTubeチャンネルの運営、@blazer_snapプロジェクトなど、アイビーを啓蒙すべく日々活動中。

02…L.L.Bean / BOAT AND TOTE|合わせるスタイルを選ばないトートバッグの完成形。

100年以上の歴史を誇る「エル・エル・ビーン」のなかでもアイコニックなアイテムとして世界中で愛される[ボートアンドトート]。坂田さんが愛用する1980年代に作られた同モデルは、ハンドルが現行モデルよりも短く、セルビッジ付きなのが特徴だ。

「ハンドルが短いと肩にかけることができず、一見使いにくいのですが、テーラードジャケットを着ることが多い自分にとっては手持ちの方がしっくりくるんです。また、染色が今ほどしっかりしておらず、ネイビーの色の抜け具合も絶妙。このアイテムを知った20代前半は、“道具”として捉えていましたが、改めてみると見た目としての完成度の高さも感じられます。

ジャケットスタイルに合わせてもいいし、Tシャツにデニムでもいい。自分の中ではカジュアルなトートバッグの中でいちばんの名品です」

Recommender:アーカイブ&スタイル/坂田真彦さん|名だたるブランドのデザイナーを経て、デザインスタジオ「アーカイブ&スタイル」を設立。服飾の造形の深さは業界随一だ。

03…FLORSHEIM / KENMOOR|憧れのアメリカ式ウイングチップ。

アメトラの足元として外すことのできないロングウイング。飾りがつま先から踵まで足を一周するデザインは米国の多くのシューズメーカーが採用していたこともあり、アイビーリーガーたちの足元でも多く見られた。日本でも有数のアメトラショップ「ユーソニアングッズストア」の店長を務める高橋さんもその魅力に取り憑かれたひとり。

「〈フローシャイム〉の[ケンムーア]と言えばアメトラ好きなら誰もが憧れる1足です。僕もそのひとりでした。3年ほど前に見つけたのですが、結構大変でした。サイズや状態などを妥協すれば、意外とすぐに手に入ったのかもしれないですが、憧れだからこそ、譲りたくはなかったので結構探しましたね。

何十年も変わらないデザインが、この靴の完成度の高さを物語ってると思います。僕もずっと履き続けるんだと思います」

Recommender:ユーソニアングッズストア/高橋康平さん|1997年生まれ、茨城県出身。今年の7月に店長へ就任したばかりの若きトラッドマン。休日は高円寺でトラッド古着を探している。

04…Brooks Brothers / 3B BLAZER|自由な着こなしを可能にする普遍的な魅力。

段返りの3つボタン、センターベント、フロントダーツなしのボックスシルエット、ナチュラルショルダー……。まさにアメリカンなブレザーの代表格といえる1着の魅力は「アメリカ服を象徴するアイデンティティ」にあるという西口さん。

「仕立て服の源流は英国にあり、身体のラインに沿ったテーラリングが特徴です。その中で既成服として設計されたこのブレザーは100年以上も前に登場した[No.1 サックスーツ]を踏襲したデザイン。それがいまの時代でも古臭く感じないところがすごいですよね。

クラシックスタイルに目覚めた20代の頃は、『ストレートのパンツを合わせるべき』といった“暗黙のルール”がありましたが、現在は自由な着こなしが主流に。変わらず在り続けるモノだからこそ、時代や自身の気分に合わせて着こなすことが大切だと思います」

Recommender:ビームス F/西口修平さん|「時代性のあるクラシック」を掲げる「ビームス F」のディレクター。唯一無二の着こなしから世界中にファンを持つ

(出典/「2nd 2024年11月号 Vol.208」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

革ジャン好きなら一度は通るべき! 「No,No,Yes!」の最上級オーダー“アルチザン”とは?

  • 2026.06.01

「世界にひとつだけの革ジャンを作る」。それは、レザーラバーの憧れだ。革好き注目のブランド「No,No,Yes!」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置する「アルチザン」とはいったいなんなのか? その正体に迫る。 革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験 これは単なる革ジャンの話...

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

アメリカンクラシックの原点「ディグナ クラシック」の[ジミー]なら、カラバリ・仕様も豊富で自分好みの1本が見つかる!

  • 2026.05.21

50sアメリカンスタイルを踏襲した「ディグナ クラシック」の[ジミー]は、シンプルなデザインやクラシックな世界観から多くの人に愛される名作。その人気ゆえ、仕様やカラーのバリエーションが非常に豊富な[ジミー]の全容をいま一度おさらいする。 955E“Jimmy”とはどんなメガネ? 1950年代にアメリ...

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

Pick Up おすすめ記事

上質な革を日常に。「INCEPTION」のショルダーバッグは経年変化が楽しみになる相棒だ

  • 2026.06.26

レザーほど、所有者とともに過ごした年月が如実に現れる素材はない。毎日のように身につけるレザーバッグは、なおのことである。“革”に徹底的にこだわるINCEPTIONのショルダーバッグはクラッチマンの相棒として最適な存在だ。 FANNY PACK 腰に巻いて使用することを目的とするファニーパックをショル...

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

日本人に最適化された新作の“JAPAN LIMITED”に注目!「MOSCOT」現代に引き継がれるアメリカンクラシックのDNA

  • 2026.05.20

1915年にNYで創業し、アイウエアデザインの王道を形づくった「モスコット」。多様なデザインで溢れるいまこそ、伝統に裏打ちされたクラシックな佇まいに惹かれる。 新作の“JAPAN LIMITED”のラインナップを紹介! 2016年よりスタートした“JAPAN LIMITED”は、インラインにはないノ...

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

もはや芸術品! 「Horizon Blue Jewelry」の装飾品の域を超えた美学

  • 2026.06.26

あまりに精緻で、目を見張るほどに美しいHorizon Blue Jewelry。その作品群を目の当たりにすれば、単なるアクセサリーの域を超え“芸術品”とも称される所以を容易に理解できるだろう。ここでは、アートピース級の美しさを湛えるジュエリーのなかから今後発売予定の新作も含めて紹介する。 アクセサリ...