2ページ目 - 消えゆくネオンの光をアートへと昇華する、新世代ネオンアーティスト・YONEがつくる光のアートピース

「若い感性でしか出せないニュアンスみたいなものが絶対にある」

──そもそもネオンってどのように光らせているのでしょうか?

「ガラス管にガスを封入し、管の両端に電極を付け、トランスを用いて管内部のガスに電気を通すと発光する仕組みです。色によってはガスと水銀を充填することもありますが。要は曲げ終えた管に小さな穴を空け、そこからガスを充填して管内を真空状態にしています。ガスの充填が甘かったりすると光が弱かったりムラが生じたりするのですが、個人的にはそれもまたアジだと思っていますね」

──YONEさんにとって、いいネオンとはどんなものですか?

「個人的にはいわゆるネオン街のようにギラギラ華やかなネオンよりも、ヨーロッパやアメリカのカフェやダイナーなどでひっそりと使われているシンプルなものに魅力を感じます。また、自分の技術的にも今はまだ漢字やカタカナよりもアルファベットのネオンに興味を惹かれますし、当分、個人名義での作品は西洋的なニュアンスで制作を続けていきたいと考えていますね」

カーカルチャーとファッションを融合させたプロダクトレーベル「カーサービス」のネオン管も彼の近作。「数ミリ径のガラス管ですから、ちょっと力を加えただけですぐに折れてしまうため納品まで気が気じゃないですね」

──商業的なサインではなく、アートピースとして表現していきたいと?

「自分で言うのもなんですが、若い感性しか出せないニュアンスみたいなものが絶対にあると思うんですね。例えば、ちょっと尖ったものだったり、ネガティブなワードだったり。そういうものをネオンで光らせることによって逆の意味合いを持たせることができるんじゃないかと。また、ネオンの一部がクラッシュすると点滅したり消えてしまうことがあるのですが、そういった本来ならイレギュラーな技法もあえて作品に取り入れていきたいと考えていますね」

東京・日本橋人形町の「アートバー カイロス」にて開催されたキャリア初個展。4月15日以降は彼の工房「DEAD STOCK NEON STUDIO」(東京都練馬区練馬1-35-13)でも展覧可能。まだ、同アートバーでは9月17日からも個展の開催を予定している

(出典/「2nd 2024年6月号 Vol.205」)

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