一本のデニムを大切に穿き続ける心意気こそ真の“トラッド”である
近年、ファッションの世界でも「SDGS」という言葉が多く聞かれるようになった。持続可能な社会を実現するために、再生繊維を使用したアイテムや古着を購入して着るということもそうだが、自身のワードローブを永く愛用することもそのひとつ。そんなことはわかっている。
前置きはほどほどに、洋服を永く愛用するというテーマの中でも今回フォーカスするデニムは、時代を超えて愛され、着用者のライフスタイルが如実に現れる特別なアイテムだ。ワークウエアを出自とする生地のタフさはもちろん、独特な色落ち、ヒゲやハチノスなどのアタリといった着用を重ねるごとに刻まれていく“しるし”もその魅力。もはや「着用者」と「洋服」といった淡白な関係では片付けられないアイテムだ。そんなデニムの破れた箇所を修繕したり、メインテナンスを加えることは、その1本のデニムと本当の意味で向き合うことでもある。
そうやって一本のデニムを永く大切に穿き続けるという心意気は、家族代々受け継がれてきたブレザーに袖を通す、由緒正しきアイビーリーガーの持つ“トラッドな精神”と通ずる。そんな心をもってデニムを見てみると、あなたのデニムライフはもっと深く、楽しくなるに違いない。
デニムラバーが信頼を置く有名リペアショップ
1.GOEMON|すべては永く穿き続けるために“実用性”にこだわった正確なリペア
包丁を販売する会社で働いていた矢島さんは、もともとデニム好きではなく、「壊れたものを直すことが純粋に好き」だったといい、独学でリペアのノウハウを習得。今では“強度”にこだわるリペアに定評がある人気店となった。
「修理にお金を使うというのはそれだけモノに愛着があるということ。そこに寄り添うことができたら嬉しいです」
細かいリペアもお手のもの!
ポケットや膝の破れ、股の裂けなど、細かいダメージの補修に絶大な自信を持つ同店。一時的な補修にとどまらず、この先に入りうるダメージ(=二次災害)を防ぐために接着芯を大きめに貼っているのもポイントだ。
【「GOEMON」推薦人】「Jプレス」黒野智也さん
「裾の左脇部分が破れてしまったデニムシャツを目立たないように直してもらいました。太郎さんは本当に腕も良いし、話していても本当にリペアが好きなんだなと感じますね」
【DATA】
GOEMON
千葉県柏市千代田1-1-34 小溝第一ビル2F
TEL04-7167-9125
営業/9:00~19:00(日曜10:00~18:00)
休み/木曜
2.OKIDOKI|長年古着に触れてきた経験を活かし、リペアをデザインとして昇華
良質なヴィンテージが揃う富ヶ谷の名店「オキドキ」はリペアも行っている。職人の杉本さんは10年以上の古着店スタッフとしての経験を持ち、ヴィンテージに関する知識も豊富。
「リペアはある意味アートというか、あえて雑なステッチをすることでそれがカッコ良かったりもする。そういったデザインとしての提案もさせてもらっています」
リペアをアートとして捉える
同店には写真(上)のように常に大量のデニム生地をストックしている。
穴が空いたデニムに異なるデニム生地を貼って補修することでデザインとして昇華する。
また、補修する際の糸の色を変えたり、あえて雑にステッチを入れたりと、アートのようなリペアを施す。
【「OKIDOKI」推薦人】「メイデンズショップ」牧野真也さん
「穴の空いたボロボロのデニムに同年代の生地を当てて直してもらいました。いつも柔軟に対応してくれるし、直すだけじゃなくデザインに昇華してくれるのが嬉しいです」
【DATA】
OKIDOKI
東京都渋谷区富ヶ谷1-9-15 下岡ビルB1F
TEL03-6407-8525
営業/12:00~20:00(修理受付は13:00~19:00)
休み/不定休
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