▼プレッピーってそもそもなんだ?
ファッションとして楽しむ “ネオ”プレッピー三大柱。
有名大学進学を目指す米国の名門私立学校、プレパラトリー・スクールに通っていた学生が好んで着ていたカジュアルなスタイルがありました。オックスフォードのシャツを大きめに着くずしたり、ハイネックの上にボタンダウンシャツを重ねたり、チェックのパッチワークパンツを穿いたり…アイビーリーガーから影響を受け自然発生的に生まれた服装がまだプレッピーとして言語化されていなかったときに、『オフィシャル・プレッピー・ハンドブック』で初めて体系化され習慣になったという歴史があります。
そして、もともとプレッピーではない人々がスタイル自体を模倣してプレッピーがファッションになったのです。周知の事実ですが、今はもうプレッピーの精神を持っている人やリッチな生活を送っている人だけが体現しているわけではありません。ファッションとしてのプレッピーは世界に広がっています。
現代のプレッピーは大きく3つの潮流があります。ひとつはアイビー直系のクラシカルでキレイめなスタイル、ふたつ目はアウトドアをベースにしたゴープコア、最後に黒人文化に由来するストリート。それらが有機的につながりながら、“ネオ”プレッピーとして、さらなる進化を続けています。
1.由緒正しきアイビー直系の本流プレッピー。
アイビーからの正統な系譜に裏付けされたファッションです。プレッピーと聞いてイメージが浮かびやすいスタイルかもしれません。アイテムでいうと、ネイビーブレザーやラガーシャツ、トップサイダーのデッキシューズといったトラッドなもの。
ただ、純粋なアイビールックより色味は派手で明るく、育ちの良いお坊ちゃま学生を想起させます。ピンクやイエロー、ライトグリーンの色使いはラルフ ローレンからの影響も多分にあります。サイズ感も大きすぎず小さすぎず、きちんとジャストサイズを選んでいる印象です。
現代ではボート競技にルーツを持つローイング ブレザーズがプレッピーを体現したブランドとして挙げられます。
2.リアルなアウトドアウエアへの憧れから派生したスタイル。
アウトドアウエアがプレッピー? と、疑問を持つ方もいるでしょうが、れっきとしたプレッピーで間違いありません。かつて、アイビーリーグのひとつ、ダートマス大学のキャンパスからそれほど遠く離れていないところに自然豊かな森林があり、そこで学生たちがカヤックをする際に寒さ対策としてパタゴニアのフリースを着ることは必然であり、習慣でした。
それを外から見た人がカッコいいと真似して着ることによって、アウトドアのムードをデイリーに取り入れたスタイル、つまり“ゴープコア”と呼ばれるファッションになったのです。近年、コロナ禍によるアウトドアブームの加速で、ゴープコアの需要は増え続けています。
3.発端はヒップホップなどのブラックカルチャー。
アメリカの黒人文化、ブラックカルチャーから発展していった流れもあります。最初は正統なプレッピーではないという批判もありましたが、多様な民族が作り上げたヒップホップ音楽と通底するものがあり、お金持ちに憧れるアイロニー的な意味合いにおいても、長くプレッピーファッションが根付いています。それをブラックプレッピーと呼ぶこともあります。
系譜を辿ると、1990年代にボーイズⅡメンが先駆的にプレッピーファッションで登場しましたし、現代のアーティストではタイラー・ザ・クリエイターがアイコンとして筆頭です。彼らを真似してストリートのキッズもプレッピーなアイテムを着こなしに取り入れています。
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
Photo/Norihito Suzuki(model), Ryota Yukitake(Interview) Hair&Make/Daisuke Yamada Styling/Shogo Yoshimura Text/Masato Nachi Model/Kobe
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