
信頼する職人と二人三脚で生み出す。
2018年スタートと、若いブランドでありながら圧倒的な作り込みで服好きを魅了するオーベル ジュが生み出す服の背景には、デザイナー小林学さんのメンズ服飾史への深い造詣が息づいている。そんな世界中のプロダクトに接してきた小林さんから見ても、日本のものづくりは突出していると言う。
「オーベルジュが誕生した2年後、世界はコロナ一色になってしまいましたが、そもそも素材、縫製のすべてを最高水準の日本製にこだわるのがブランドコンセプトでしたので開発、生産における不備は特にありませんでした」
そんな日本製へのこだわりがひょんな副産物を産んだという。それは相互の深いコミュニケーションだ。
「僕のやりたいことをちゃんと理解してくれたうえで、さらにオーダー以上の提案を返してくれるような関係性。ハイクオリティーとされる日本のものづくりの真髄はここにあるのだと思います」
1.オーベルジュのビルピット
オーベルジュの服作りを象徴する一着。19世紀の民族服をモチーフにメティス生地で仕上げられている。「特殊なミシンによって縫われていた首元や袖口のフレンチギャザー。これを現代のミシンで再現できる方が国内に一人だけおり、その方にすべて託しています」
2.オーベルジュのアイザック
元々はイギリスの植民地であったカリブ海のジャマイカ島で採れる超長綿「カリビアンシーアイランドコットン」を採用したTシャツ。「コットンの原種であり、長らく門外不出の素材でした。適度な油分を持ち、鈍い光沢とねっとりした肌触りを持ちます」
3.オーベルジュのブリーズ
生地メーカー、ダイワインターテック社のシルクとポリエステルの交織素材を採用したショーツ。密度が高く手触りはほぼシルクながらコシのある生地感。「メゾンブランドの無謀とも思える要望にも応えてきた生地屋さんの生地を贅沢に使わせてもらいました」
4.オーベルジュのボナパルト
フレンチグルカサンダルをいまのスタイルに落とし込み、まとめ上げた一足。800年前のタンニン鞣しの技法をいまに伝えるトスカーナ地方の老舗タンナー製レザーを使用している。「最高の素材を荒井靴研究所にて一足づつ職人が生産。盤石ですね」
5.オーベルジュのサルタン
カシミヤよりも繊維が細い羊毛をドビー織機で織り上げることで薄くなめらかに仕上げられたアフガンストール。「羊毛にはキューティクルがあり熱をかけることで縮絨します。その性質を使うことで縫製せずに繊維同士を結びつけ、より薄く仕上げられました」
(出典/「2nd 2023年5月号 Vol.194」)
Photo/Satoshi Ohmura Text/Okamoto 546
関連する記事
-
- 2025.01.04
トラッドスタイルの“ハズし”には、アウトドアブーツを。洒落者たちの上級テクを紹介!
-
- 2024.12.19
秋冬はブレザー×アノラックパーカのアウトドアミックスで、おしゃれ上級者になる!