リーバイス®でビスポークする! それは「ジーンズが生まれた瞬間を追体験する」ということ。

  • 2023.04.25  2023.03.03

自らの体型に、好みに、目的に100%合致する、言わば至高の嗜好品を探し求める時、ビスポーク以上の買い物術は存在しない。信頼を置く職人と語らいながら(文字通り“be spoken”しながら)、ともに無二の作品を作る過程は、形容し難い高揚感ももたらしてくれる。完全自分仕様のアイテムを創り上げるという、この究極の買い物術に、歴史の一部になるという付加価値までプラスしてくれる、名門が実施しているビスポークサービスにフォーカス。まずはジーンズの祖「リーバイス®」のビスポークから触れていこう。

ジーンズの歴史そのものに触れる究極のサービス。

そもそもあのリーバイスでビスポークできるということをご存知だろうか。始まりは2011年。米国サンフランシスコ店でビスポークサービス「ロット・ナンバー1」がスタートし、日本では2019年から原宿の旗艦店で実施されることとなった。

担当できるのはマスター・テーラーの肩書をもつ、二人の職人のみ。その内の一人である山本さんは、すでにカスタマイズ等を担当するテーラーとして活躍していたが、このサービスに従事するために改めて修行。英国からマスター・テーラーが来日し、リーバイスのジーンズをビスポークするということの意義、精神、技術を徹底的に叩き込まれることとなった。

「お客様ごとに体型も要望もまったく異なるのが、難しくもあり面白くもあるところ」と語る山本さん。奇しくもジーンズが生まれた瞬間はビスポークにある。仕立て屋ヤコブ・デイビスが、ある顧客から耐久性に富むズボンをというオーダーを受け、リベットで補強するアイデアを閃いた瞬間こそが、その起源だ。

「リーバイス LOT No.1」マスター・テーラーの山本美緒さん

その後同社の発展とともに、ジーンズが地球人の制服となっていったのは周知の通り。マスター・テーラーと密に語らい、ともに自分だけのジーンズを仕立てるこのサービスは、ある意味その起源に立ち返る、愛好家にとって極めて有意義なサービスといえる。ここからはその手順を追う。

ジーンズの祖がビスポークのためだけに設計したマスターパターン。

担当テーラーと打ち合わせ後の工程はユーザーによって自由。だが通常の流れとしては、マスターパターンと呼ばれるビスポーク専用型(ミッドライズとハイライズの2種類あり)のなかから、ベースとなるサイズを選定する。これは同社が150年近くに渡って蓄積してきたデータを元に製作したもの。

尻ポケットの縁ステッチは曲線的な通称モダン”()と直線的でクラシカルな 通称オレンジ”()2

このサンプルをベースにすれば様々な人にフィットするし、調整しても「リーバイスのジーンズ」と認められるとお墨付きを得た、言わば世界一正統なジーンズだ。それを試着し、ベースの型を決めたら、シルエットをミリ単位で調整していく。スリムにもワイドにも、シルエットは自在だ。

糸は約20色

フィッティングして形を決めた後はパーツ選びに入る。ご覧の通りあらゆる部材がバリエーションに富み、自由度は極めて高い。なかでも特筆すべきは生地だ。

生地は全14種。インディゴ10種、ブラックとホワイト各2種

これはカイハラ、アム ホッド、ミクテックス、キャンディアーニという世界有数の生地メーカーが、シャトル織機を使って、このサービスのためだけに織り上げたもの。すべて縮率を3%以内にとどめた、ビスポーク専用のセルビッジデニムだ。

ボタンは2種、各6色。リベットは全6色

糸も耐久性を考慮してポリエステル芯に綿を巻きつけたコア糸を採用するなど、長く愛せるよう、部材選びには徹底的に注力されている。リベットも通常仕様か打ち抜きかを選択できるなど、細かな仕様までこだわりを反映できる。

革パッチは2種、各5色 コットンパッチは2種(白のみ)
スレーキは綿ポリのへリンボーン生地(白のみ)。コットンツイル(4色)
サークルRタブ5色とビッグEタブ(赤のみ)

専用のアトリエで平均約16時間かけて作成。

オーダー後は担当テーラーが全工程を手作業で行い、ジーンズを製作していく。場所は都内某所の“HAUS(ハウス)”と呼ばれる施設。

ここのアトリエにはジーンズ作りに必要なあらゆる機器が完備されている。型紙を作り、チョークで型をとり、生地を手断ちし、多様なミシンを使いわけて縫い上げ、アイロンを掛け、サイズ感を合わせられるようになった段階で、オーダー主に原宿店でフィッティングしてもらう。

この仮縫い工程を経て(省くことも可能)、最終確認したら、仕上げ工程に移り、晴れて完成となる。作業時間は計約16時間。

昨今古着熱が高まり、同社のヴィンテージも軒並み価格が高騰している。しかし歴史を振り返るだけではなく、新たな歴史の一部となることにも価値を見出す愛好家は、一様にロット・ナンバー1に頼っている。その主たる要因がマスター・テーラーの匠にあることは疑いようもない。

世界で6人しかいないマスター・テイラーがフルハンドメイドで創り上げる無二のジーンズ。

写真はキャラクターがまったく異なる2本の完成見本(左は穿き込まれたものでユーズド加工は原則未対応)。左右非対称にすることも、生地や糸などを、細かな部位ごとに個別に変更することも可能だ。納期は状況によって異なるが、オーダー後、仮縫いまで約1か月半。仕上げまで12週間。計約2カ月で完成となる。11万円~

DATA
リーバイス 原宿 フラッグシップストア
東京都渋谷区神宮前6-16-12 神宮前グリーンテラス
TEL03-6427-6107
営業/11:0019:00
休み/不定休

同社の製品がほぼフルラインナップ揃う旗艦店。ビスポークの専用スペースは3階に設けられている

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 20232月号 Vol.191」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部