眼鏡は道具。洒落者が愛用する、機能美を堪能したくなるアイウエア。

眼鏡は道具。洒落者が愛用する、機能美を堪能したくなるアイウエア。道具のなかにファッション性を見出して楽しむ人、そもそもファッションとして生み出されたものをまるで道具のようにガシガシ使う人など、道具の楽しみ方は人それぞれだが、そのどれもが使い込まれ、それはなんとも美しい佇まいだ。もちろんそれらのアイテムすべてに、愛用者それぞれのストーリーもたくさん詰まっている。情報が大量に消費されるこんなご時世だからこそ、ファッション巧者の業界人たちに思い入れのある一生モノの眼鏡を見せてもらった。

1PENTAX(ペンタックス)のサングラス|「モヒート」デザイナー・山下裕文さん

「アメリカンオプティカル」が手掛けていた名作セーフティグラス。「ペンタックス バイ ホヤ」に権利が移行した1990年代のデッドストックだ

このサングラスを掛けていると、良く褒められるんです、と山下さん。

「購入のきっかけは横浜の眼鏡店でオススメされたこと。店長が古くからの知り合いで、『きっと気に入ると思う』って。入れてくれたレンズも濃すぎず薄すぎない、僕好みのカラーリングでした」

差し出されたのは、山下さん好みのオーセンティックなアメリカブランドのデッドストック。ヒンジ部はヴィンテージのアメリカンアイウエアに散見される、7枚蝶番という強度の高い仕様だ。そしてフレームには[Z87]という刻印が刻まれていた。

「建設や鋼鉄といった現場作業従事者の目を保護するための工業規格だそうです。非常に厳しい基準をクリアしているので、落としたくらいでは破損する気配もありません。道具としての服飾品の立ち位置を感じ、シンパシーを感じますね」

その道のプロの声に耳を傾けるのが山下さんの購買の常だそう。こうしたモノ選びをしているからこそ、道具として優れた服が手元に集まるのは必然なのかもしれない。

愛用歴:3
購入場所:素敵眼鏡MICHIO
購入時の価格:2万円くらい

2TROPHY CLOTHING(トロフィークロージング)のビル|「ミーンズワイル」デザイナー・藤崎尚大さん

ビンテージメガネから着想を得てオーセンティックなサーモントフレームを採用した一品。リム部分が取り外し&着せ替え可能と個性的な仕掛けを備える

オーセンティックなビンテージアイウエアの佇まいを見せる、トロフィークロージングの眼鏡を道具服として挙げてくれたのは、洋服を一番身近な道具として定義するブランド、ミーンズワイルのデザイナー藤崎さん。

自らのブランドで道具服作りを実践する氏には、確固たる道具というもののフィロソフィーが根付いており、まさにそのお眼鏡に叶ったアイテムというワケだ。

「外出の際、極力、持ち物を減らしたいため、2in1 3in1といった機能性が詰め込まれたアイテムは、すごく道具的だなと常々感じています。この眼鏡はリムを外すことで着せ替え可能。旅先などで、メガネを複数持っていかなくとも、洋服のテイストに合わせてスタイルを変更できるのは非常にありがたいギミックですね。

また紫外線を感知するとサングラスへと変化する調光レンズを入れているので、1日を通して着用できます。まさにオールインワン。アイウエアを道具として考えた時、このアイテムが極致ではないかな?と思っています」

愛用歴:6年
購入場所:トロフィージェネラルストア
購入時の価格:4万円

3Lunor(ルノア)の眼鏡[I-J mod.20]|「江口洋品店」江口大介さん

ブランドの定番I-Jシリーズは、テンプル部分が伸縮し焦点距離を調整できるヴィンテージ眼鏡の機構を踏襲している。キャップゴールドの輝きが美しい

時計店の店主として、眼鏡は時計とリンクでコーディネートする派。そのため所有するのはメタルフレームばかり。中でもドイツメーカー「ルノア」の眼鏡は自身にとってエース級の1本で、言うなれば先発の柱。

「バウハウスを生んだ国、ドイツ発のプロダクトに惹かれるところがあるんです。シンプルかつ機能的で、道具として完成度の高い、美しい製品が多いですから」。

美しいゴールドのフレームは、取材時に江口さんの手元を彩っていたカルティエの[タンクレベルソ ゴールド]に合わせてのチョイスだ。

「ルノアはヴィンテージ眼鏡のコレクター・リンドナー氏によるブランド。年代もののドイツ眼鏡のギミックを探求し、現行品へと巧みに落とし込んでいるバックストーリーに納得感があるんです。テンプル部分が伸縮する独自の機構になっていて、恐らくは医療用、老眼鏡のように使うための仕様だったのでは。眼鏡は道具でもあるので、デザインはいい意味で主張のない、シンプルなものが好きです」

愛用歴:5
購入場所:ザ・パークサイド・ルーム
購入時の価格:5万円

4Vintage(フランスの40年代ヴィンテージ)フレーム|「ニートハウス」店長・石崎 威さん

40年代ヴィンテージのパリジャン。現在の欧州で使用が禁止されているセルロイド製のフレームで、なかでも半透明のクリスタルは希少性が高い

ニートハウスの店長、石崎さんのセレクトは、フレンチヴィンテージのセルロイド製メガネ。

「今までに50本以上のメガネをかけてきて、今も10本ほどを常備しているけど、そのなかで最も着用頻度が高いのがこれ。クラシックなフォルムだけど、半透明のクリスタルフレームだから、どんなスタイルにもマッチしてくれます」

もちろん魅力はルックスだけにあらず。

「ヴィンテージのフレームは素材や作りがしっかりしていて、丈夫なモデルが多いんです。しかもセルロイドは傷が付いても研磨できるから、定期的にメンテナンスすれば一生使えるんですよ」

愛用歴:5年ほど
購入場所:日比谷のコンベックス
購入時の価格:23万円くらい

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 20232月号 Vol.191」)

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パピー高野
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パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
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