1.PENTAX(ペンタックス)のサングラス|「モヒート」デザイナー・山下裕文さん
このサングラスを掛けていると、良く褒められるんです、と山下さん。
「購入のきっかけは横浜の眼鏡店でオススメされたこと。店長が古くからの知り合いで、『きっと気に入ると思う』って。入れてくれたレンズも濃すぎず薄すぎない、僕好みのカラーリングでした」
差し出されたのは、山下さん好みのオーセンティックなアメリカブランドのデッドストック。ヒンジ部はヴィンテージのアメリカンアイウエアに散見される、7枚蝶番という強度の高い仕様だ。そしてフレームには[Z87]という刻印が刻まれていた。
「建設や鋼鉄といった現場作業従事者の目を保護するための工業規格だそうです。非常に厳しい基準をクリアしているので、落としたくらいでは破損する気配もありません。道具としての服飾品の立ち位置を感じ、シンパシーを感じますね」
その道のプロの声に耳を傾けるのが山下さんの購買の常だそう。こうしたモノ選びをしているからこそ、道具として優れた服が手元に集まるのは必然なのかもしれない。
愛用歴:3年
購入場所:素敵眼鏡MICHIO
購入時の価格:2万円くらい
2.TROPHY CLOTHING(トロフィークロージング)のビル|「ミーンズワイル」デザイナー・藤崎尚大さん
オーセンティックなビンテージアイウエアの佇まいを見せる、トロフィークロージングの眼鏡を道具服として挙げてくれたのは、洋服を一番身近な道具として定義するブランド、ミーンズワイルのデザイナー藤崎さん。
自らのブランドで道具服作りを実践する氏には、確固たる道具というもののフィロソフィーが根付いており、まさにその“お眼鏡に叶った”アイテムというワケだ。
「外出の際、極力、持ち物を減らしたいため、2in1や 3in1といった機能性が詰め込まれたアイテムは、すごく道具的だなと常々感じています。この眼鏡はリムを外すことで着せ替え可能。旅先などで、メガネを複数持っていかなくとも、洋服のテイストに合わせてスタイルを変更できるのは非常にありがたいギミックですね。
また紫外線を感知するとサングラスへと変化する調光レンズを入れているので、1日を通して着用できます。まさにオールインワン。アイウエアを道具として考えた時、このアイテムが極致ではないかな?と思っています」
愛用歴:6年
購入場所:トロフィージェネラルストア
購入時の価格:約4万円
3.Lunor(ルノア)の眼鏡[I-J mod.20]|「江口洋品店」江口大介さん
時計店の店主として、眼鏡は時計とリンクでコーディネートする派。そのため所有するのはメタルフレームばかり。中でもドイツメーカー「ルノア」の眼鏡は自身にとってエース級の1本で、言うなれば先発の柱。
「バウハウスを生んだ国、ドイツ発のプロダクトに惹かれるところがあるんです。シンプルかつ機能的で、道具として完成度の高い、美しい製品が多いですから」。
美しいゴールドのフレームは、取材時に江口さんの手元を彩っていたカルティエの[タンクレベルソ ゴールド]に合わせてのチョイスだ。
「ルノアはヴィンテージ眼鏡のコレクター・リンドナー氏によるブランド。年代もののドイツ眼鏡のギミックを探求し、現行品へと巧みに落とし込んでいるバックストーリーに納得感があるんです。テンプル部分が伸縮する独自の機構になっていて、恐らくは医療用、老眼鏡のように使うための仕様だったのでは。眼鏡は道具でもあるので、デザインはいい意味で主張のない、シンプルなものが好きです」
愛用歴:5年
購入場所:ザ・パークサイド・ルーム
購入時の価格:5万円
4.Vintage(フランスの40年代ヴィンテージ)フレーム|「ニートハウス」店長・石崎 威さん
ニートハウスの店長、石崎さんのセレクトは、フレンチヴィンテージのセルロイド製メガネ。
「今までに50本以上のメガネをかけてきて、今も10本ほどを常備しているけど、そのなかで最も着用頻度が高いのがこれ。クラシックなフォルムだけど、半透明のクリスタルフレームだから、どんなスタイルにもマッチしてくれます」
もちろん魅力はルックスだけにあらず。
「ヴィンテージのフレームは素材や作りがしっかりしていて、丈夫なモデルが多いんです。しかもセルロイドは傷が付いても研磨できるから、定期的にメンテナンスすれば一生使えるんですよ」
愛用歴:5年ほど
購入場所:日比谷のコンベックス
購入時の価格:23万円くらい
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2023年2月号 Vol.191」)
Photo/Satoshi Ohmura, Yuta Okuyama, Nanako Hidaka, Shunichiro Kai, Norihito Suzuki, Takuya Furusue, Akira Mori, Yoshika Amino Text/Okamoto 546, Shuhei Sato, Masatsugu Kuwabara, Tsuyoshi Hasegawa, Shinsuke Isomura, Kiyoto Kuniryo, Shuhei Takano, Kazuki Imanishi
関連する記事
-
- 2024.11.20
松浦祐也の埋蔵金への道。第10回 夏季最上川遠征・没頭捜索編 その2。
-
- 2024.11.19
[渋谷]革ジャン青春物語。—あの頃の憧れはいつもVANSONだった。—
-
- 2024.11.17
なぜ英国トラッドにはブラウンスウェード靴なのか? 相性の良さを着こなしから紐解く。