世界に轟くジャパンメイドのクオリティ。トラッドスタイルを愛する16人の洒落者が太鼓判を押す名品を4回に渡って紹介する。今回は、シャツ、眼鏡、サンダル、手ぬぐいなど参考にしたくなるトラッドに欠かせない小物をお届けする。
1.コロンのシャツ|「エディフィス」バイヤー・大瀧北斗さん
今シーズン、2022年春夏コレクションからスタートしたばかりのコロン。目まぐるしく変わりゆくファッションシーンにおいて、トレンドに左右されることなく、デイリーに着られ、男のワードローブに欠かすことのできない定番的アイテムを真摯に作り込む、目下、注目のレーベル。
ブランドの軸となるのはシャツとパンツ。いずれもドレスアイテムを得意とする国内の工場に限定して生産され、「ドレス工場にてカジュアルアイテムを作る面白さ」をキーワードに仕立ての良いシンプルなウエアを展開する。今回、大瀧さんが紹介するのはブランドの真骨頂とも言えるシャツ。
「生地は高密度のコットンタイプライターを使用し、ハリのある素材感が特徴です。ステッチを見るとカジュアルシャツとは、仕様の異なる丁寧な縫製が施されているのがわかりますが、国内のドレスシャツの工場で縫製されているため、運針が細かく丁寧な手仕事からドレスシャツの上品な雰囲気を感じさせてくれます。洗いざらしでもプレスをかけても着られるシャツの新定番となりそうです」
2.金子眼鏡 井戸多美男作のメタルフレーム|「アーカイブ&スタイル」代表・坂田真彦さん
メガネの産地として知られる福井県鯖江市。昔からメガネの生産を手掛けてきた世界的にも有名な街でもある。その多くは昔の名残からセルフレームと呼ばれるフレーム素材にプラスチックやアセテートを使用した肉厚なフレームのイメージだが、実はメタルフレームもこの鯖江では長い歴史を誇っている。
メタルフレームの良さは、なんと言っても軽量で疲れにくく、耐久性があること。日本のオプティカルメーカーとして大手で知られる金子眼鏡は、鯖江製のフレー ムに特化し、モダンなデザインを発信し続けている。
セカンド本誌でもお馴染みの坂田さんがおすすめするメイド・イン・ジャパンのアイテムは金子眼鏡 井戸多美男作のメタルフレーム。一山のソリッドなデザインが洗練された印象を受ける。
「愛用歴は2年ほど。ちょうどコロナ禍に入り、本やネットドラマを楽しむにあたって、視力の低下が発覚し、メガネが必要になったことがきっかけ。このフレームは圧倒的な軽さで選びました。軽いと壊れやすそうな印象ですが、繊細な作りながらも安定した品質と強度に安心して着用できます」
3.ナカムラシューズ×コロナのゼブラサンダル|「コロナ」デザイナー・西秀昭さん
東京・足立区にアトリエを構えるナカムラシューズ。デイリーに使いやすいシンプルなデザインと長時間履いていても疲れにくい履きやすさに定評のあるブランドだ。
もともと東京・巣鴨の知る人ぞ知るオーダー登山靴店にて長年修行 を積んだナカムラシューズのオー ナー。靴作りにおいて強度は当たり前のこと。それに加えてコンフォータブルな履き心地を追求し考えられたデザインはプロダクツとして完成されているのである。
西さんがナカムラシューズと出会ったのは、約8年前。共通の友人を介して交流が始まり、現在では毎シーズン、ナカムラシューズに別注を施すほどに。彼自身、ほぼ毎日のように履いているシューズは革特有の馴染みが表現されており、以前にも増して履き心地が良さに磨きがかかっているという。
「土踏まずに沿ってフィットするような形状が特徴です。当然、履いていくうちに革が馴染身履きや すくなります。ブラックレザーに毛付きレザーの鼻緒が付くデザインのイメージは1980~1990年代頃のアウトドアブランドの雰囲気をイメージしました」
4.梨園染の手ぬぐい|「サーティーファイブサマーズ」プレス・信岡淳さん
東京・日本橋で手ぬぐいを作り続けて150年の老舗「戸田屋商店」によるメインブランド「梨園染」。近くの東日本橋に旗艦店を構える「アナトミカ 東京」。パリ本店の、ピエール・フルニエ氏は大の民藝好きで、バンダナのように「梨園染」の手ぬぐいを首に巻いて愛用していたという。
「戸田屋さんは歌舞伎座の暖簾などを手掛ける老舗。ピエールはここの手ぬぐいが大好きで、2006年ごろ からすでにパリの店舗で大量の戸田屋製手ぬぐいを取り扱っていました。10年前にオープンした「アナトミカ 東京」のお店でも、これまで数えきれないほどの柄・素材のバリエーションを取り扱ってきましたね。
個人的にも大好きなので、傷んできたら買い替えるなどして、常に30枚ほど所有するようにしています。僕の場合はハンカチとして常にポケットに入れていることが多いですが、染めに裏表がない点が「梨園染」の特徴なので、首にラフに巻いてもムラがなくて使いやすいです。
あと、使いすぎてボロボロになってきたら革磨き用のウエスにしますね。実は革をピカピカに光らせるのにもぴったりな生地なんですよ(笑)」
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2022年7月号 Vol.184」)
Photo/Satoshi Ohmura, Nanako Hidaka, Kenichiro Higa, Yoshika Amino Text/Tamaki Itakura, Masahiro Kogure, Eisuke Yamashita, 2nd magazine
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