覚悟を決めて経験を積み、ショートを武器にデビュー
小学生の頃、お母さんの髪を当時、流行っていたモーニング娘。風にアレンジしていた原さん。夢中でアレンジする娘にお母さんは「美容師さんという素敵な仕事があるよ」と教えてくれた。
「それを聞いて美容師になりたいと思い、気づいたらその道を選んでいました。資格が取れることも美容師を選んだ理由の1つです」
最初は東京・表参道にある『ノラ』に入社。
「美容師は大変だと聞いていたので覚悟はありましたが、入ってみると朝も早いし帰りも遅い。練習もハードで夜中しか遊ぶ時間がなかった。でも遊んでいましたね(笑)。いいモデルさんを先輩に紹介できれば撮影に連れて行ってもらえると考え、必死でモデルさんを探し、メイクの勉強もしました。1年目の頃から撮影に興味があったので、まずはやってみようという感じで挑戦していました」
入社から3年後にデビューし、集客サイトのアワードで上位入賞を果たすなど順調なスタートを切った。飲み会などにも積極的に足を運んで地道に人のつながりを増やし、大好きなショートを武器に集客した。
「ショートの女性って素敵でカッコいいなと。集客サイトでヒットしたのもボブのパーマで、当時は私もショートだったので等身大の ヘアで頑張ろうと思い、インスタにもボブやショートをメインに投稿していました」
ちょうどその頃、先輩の片山さん(『ローネス』代表の片山良平さん)が独立。片山さんの撮影でメイクを担当することが多かった原さんは『ローネス』オープンから半年後に転職した。
「その後もショート推しは続けていますが、長いお付き合いのお客さまやさまざまな年齢層のお客さまが増えてくるとショートだけでは難しいと感じて、最近は幅広いスタイルを提案しています。ただ、新規の方に向けてはショート推しというとわかりやすいので、打ち出しとしては『ショート代表』を続けています!」
下の子に寄り添い、気分にムラなく働きたい
2020年4月、緊急事態宣言真っ只中で店長に就任。
「コロナ禍だったのでみんなの気持ちが下がらないように考えたり、お店としてのコロナ対策をどうするべきか考えたりするのが最初の仕事でした。そこから年月をかけて徐々に形をつくり、今に至っています。
心がけていることは、気分にムラなく働くことです。どんなときも気持ちを高く持ち、お客さまに対していつも明るく、ほがらかに接客している人というイメージであるべきだなと思っています。
下についてくれている子に対しては、できるだけこちらから話しかけるようにしていますね。以前は『店長』は遠い存在でした、今はいい意味ですごくカジュアルで私たちとの距離が近い感覚を持っている子が多いですね。多分、彼らも一生懸命寄り添ってくれているので、私も寄り添っていかなければならないと思っています。
私はいろいろな経験をした結果、自分のペースを確立したのですが、今の若い世代は最初から上を目指差ない傾向があります。1度は上を目指し、それを踏まえて自分に合った働き方を見つけてほしいですね。後になって『もっとできたかもしれない』と後悔してほしくないんです」
次の目標は、コンセプトサロンを持つこと
原さんに女性美容師の強みを聞いてみた。
「女性はスタッフにもお客さまにも言葉つかいが柔らかく、相手の気持ちに寄り添えるのが強みだと思います。以前、女性の先輩からアドバイスをいただいたとき、すごく説得力があると思いました。また、女性は女性にしか相談できないことや女性同士でしか気づけないことがあり、言葉に出さなくてもわかり合えますよね。
さらに男性美容師のストッパーにもなると思うんです。男性は目標に向かって一直線に頑張ってしまうのですが、無茶しているなと思ったとき、1歩引いて待ったをかけられるのが女性美容師。一生懸命働くのは当たり前のことですが、一生懸命“楽しく”働く、その“楽しい”という部分を忘れないように心がけられるのが女性の強みだと思います」
ゆくゆくはコンセプトサロンを立ち上げ、アパレルなど異業種の人とコラボしたりしながら自分の思いを形にしてみたいですねと語る原さん。
「独立というわけではないのですが、“まずはやってみたい”と思うタイプなんです。いろいろと自分で考えるのが好きなので、いつか自分色の空間を自分でつくってみたいですね!」
【DATA】
Loness omotesando
東京都港区南青山3-15-6 ripple square D 2F
TEL03-5413-792
(出典:「PREPPY 2024年1月号」)
photo:Hiroyuki Sasaki text:Yasue Morinaga
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