令和生まれの化学繊維と、服との新たな向き合い方

ファッション業界が抱える環境問題への次の一手として期待されている「PlaX™(プラックス)」。そんな、最先端の素材を使ったアイテムを「レショップ」クリエイティブディレクター・金子恵治さんが作っているという噂を耳にした。いま、金子さんが思う服との新たな向き合い方を教えてもらった。

気にしてるようで 気にしてなかったこと

2018年に生まれた新しい化学繊維「PlaX™(プラックス)」。化学繊維の中でもポリ乳酸と呼ばれる素材を由来とし、石油からではなく、自然素材から作られる新しい合成繊維だ。そんな新素材を使って金子さんがアイテムを作っているという情報をキャッチした。いま日本の最先端素材を使用し、どのような思いで、どんなアイテム作りを行っているのか、同氏へ直撃した。

クリエイティブディレクター・金子恵治さん|セレクトショップ「エディフィス」にてバイヤーを務めた後に独立。自身の活動を経て2015年に「レショップ」を立ち上げる。現在は様々なブランドのディレクションを務めるなど活動は多岐にわたる。「PlaX™ 」に関わるようになったのは2023年の秋から

「いままで、様々な服を作ってきましたし、自分でも色々な服に袖を通してきました。環境問題に配慮した服、というものも目にすることはあり、まったく無関心ということではなかったのですが、どこか、サスティナブルを意識した服はファッションに方向が向いていないことが多いので選ぶことが少なかったんですよね。

この『プラックス』のお話をいただいた時、私の中でそんな引っかかりが取れた、そんな気がしたんです。見て見ぬふりを辞めるような。私がいまできる環境問題の取り組みはファッションを通して皆様に関心をもってもらうことなんだと思います。

「プラックス」のような新しい素材でもこんなにいい服が作れるということをもっと広めていきたいです。この素材だから選ぶというわけではなく、デザインで選ばれるようなそんなアイテムを作り上げることが理想ですね」

PlaX™(プラックス)とは

バイオワークス株式会社が開発した新しい化学繊維。1930年代に発見はされていたが強度問題から繊維化されていなかった「ポリ乳酸」に独自開発した自然由来の添加物を加え強度問題解消に成功。

金子さんのファッション性×PlaX™

鋭意製作中というニットも見せていただいた。素材は綿とプラックスを合わせた綿ポリならぬ“綿プラ”のニットだ。ウールと言われても遜色のない柔らかな触り心地と見た目。シルエットはゆったりめを意識、ホールガーメントになっているので縫い目が気にならず着心地も良い。

耐用年数が10年程とされ「プラックス」ではじめに手掛けたのはカットソー。引っ越しの際に、消耗品的な側面を持つカットソーや肌着などを処分したという経験から、買い替えることを想定したアイテムを制作。より気兼ねなく使えるアイテムに。

(出典/「2nd 2024年5月号 Vol.204」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「Wrangler(ラングラー)」の名作、スタッズを纏う。レザーラバー垂涎スウェードモデルも登場!

  • 2026.10.19

ワークウエアとしての機能だけでなく、ファッション的視点を取り入れることで独自の立ち位置を築いてきた3大ブランドのひとつでありデニム界の異端児・Wrangler。そんな彼らの受け継がれし不朽の名作に“スタッズ”が施された特別モデルが登場した。 “スタッズ”で作るネオ・ウエスタンスタイル ラングラーとい...

FINE CREEKを世界でいちばん熱く語る男。

  • 2026.10.07

この男恐るべし、である。北海道・帯広にあるセレクトショップ、...Dannyオーナー、河合裕介さん。彼のセレクトスタイルは一貫している。自分の愛せるものしか、ショップに置かないのだ。「売れるモノ」をセレクトするのではなく、「自分の売りたいモノ」のみを並べる。この時代にあって、その姿勢はまさに「愚直」...

ネイティブアメリカンの美しき手仕事。伝統を守りながらもモダンな表現を得意とする現代作家を紹介!

  • 2026.10.08

ネイティブアメリカンのヴィンテージや工芸品を通して、彼らのカルチャーを伝えるCORNERS。今回は伝統的な手法を守りながらも、モダンな表現を得意とする現代作家をピックアップ。もの作りが乏しくなった今の米国だからこそ、余計に強く輝いているのだ。 Pamela Brown 1868年から続くナバホ族の織...

毎日のそばに、エル・エル・ビーン。秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツ

  • 2026.10.16

毎日の服に、特別な理由はいらない。気兼ねなく着られて、どんな装いにも自然となじむ。そんな日々のワードローブを支えてくれるのが、エル・エル・ビーンだ。今回は秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツを着て街へ出た。 100年を超えて今日もいつもの日常着 朝、玄関を出るときに手が伸びて、休日にもつ...

世界中で探し求める最上の素材。「THE FAT HATTER」秋冬コレクションをクローズアップ!

  • 2026.10.07

日本が世界に誇るハッターであるTHE FAT HATTERの秋冬コレクションをクローズアップ。今回のシューティングでは、それぞれの正義や美学をぶつけ合う場に向かう男たちを表現。彼らの強い決意と威厳を表現したような力強いハットが、精悍な雰囲気を醸し出している。ハットの良し悪しを大きく左右するフェルトは...

Pick Up おすすめ記事

FINE CREEKを世界でいちばん熱く語る男。

  • 2026.10.07

この男恐るべし、である。北海道・帯広にあるセレクトショップ、...Dannyオーナー、河合裕介さん。彼のセレクトスタイルは一貫している。自分の愛せるものしか、ショップに置かないのだ。「売れるモノ」をセレクトするのではなく、「自分の売りたいモノ」のみを並べる。この時代にあって、その姿勢はまさに「愚直」...

「Wrangler(ラングラー)」の名作、スタッズを纏う。レザーラバー垂涎スウェードモデルも登場!

  • 2026.10.19

ワークウエアとしての機能だけでなく、ファッション的視点を取り入れることで独自の立ち位置を築いてきた3大ブランドのひとつでありデニム界の異端児・Wrangler。そんな彼らの受け継がれし不朽の名作に“スタッズ”が施された特別モデルが登場した。 “スタッズ”で作るネオ・ウエスタンスタイル ラングラーとい...

バガブージャケット、40年目の原点回帰。現代に蘇った名作ジャケットの魅力とは?

  • 2026.10.20

1986年に誕生した〈コロンビア〉の名作「バガブージャケット」が、今年で40周年を迎えた。その機能とデザインは、フィールドだけでなく街へも広がっていった。40周年となる2026年、その原点を振り返りながら、現代に蘇った[バガブージャケット]を見ていこう。 Bugaboo II 1986 Interc...

毎日のそばに、エル・エル・ビーン。秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツ

  • 2026.10.16

毎日の服に、特別な理由はいらない。気兼ねなく着られて、どんな装いにも自然となじむ。そんな日々のワードローブを支えてくれるのが、エル・エル・ビーンだ。今回は秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツを着て街へ出た。 100年を超えて今日もいつもの日常着 朝、玄関を出るときに手が伸びて、休日にもつ...

55周年を迎えた「MOTO」。周年を祝うスペシャルなレザー&シルバープロダクツを紹介

  • 2026.10.11

レザーやシルバーを駆使した製品を手がけるMOTO。1971年の創業より半世紀を超えて55年。ここでは、周年を祝うスペシャルプロダクツを紹介する。MOTOや本池秀夫さんが纏う唯一無二の世界観にも注目だ。(写真は「本池美術館」の隣にあるアトリエにて。周年限定のライダースジャケットにコンチョを装着する本池...