ショップと共に歩んできた大事な相棒なんです。
群馬を代表するセレクトショップであるタイムズアーチェンジンは春原さんが自らアメリカで買い付けてきたヴィンテージやグッドレギュラーに、国内外の実力派ブランドが織り交ぜられ、なんとも魅力的なラインナップになっている。そんな春原さんのルーツのひとつとなっているのが、アメリカのモーターサイクルだ。
「パンヘッドに乗りたかったから独立したんです(笑)。だから相当な思い入れがあって、創業時から25年以上乗っていますね。当時は今のように情報もなければ、カスタムのスタイルも確立されていなかったので、VHSでヘルズエンジェルスの映像をビルダーと夜な夜な観て、手探りでカスタムしました。
一方のインディアンは、自分の中で創業20周年の節目を迎えたこともあって、2017年頃に購入しました。これは街乗りがメインで、キビキビと動いてくれます。
バイクは用途だけでなく、乗る時のスタイルも自分の中では分けていて、洋服も楽しんでいます。
チョッパーだと遊び心のあるスタイル、ボバーだと無骨なミリタリーやワークがよく似合う。その車両やカスタムの背景を考えながら、洋服を選ぶのも、バイク乗りの一興ですね」
春原氏が心を寄せる、時代を超えた逸品たち。
ヴィンテージで探すとなかなかないインディアンのオフィシャルTシャツ。こちらは’90年代のメイドインUSAボディで、タグにもインディアンのネームが入っている。9980円
ハーレーの純正アクセサリーではないが、’70年代のデニムを用いた珍しい素材使いのモーターサイクルパンツ。この手のものはレザーが多いので、カジュアルに穿けるデニムは希少だと言えるだろう。2万7280円
アメリカを代表するプラグメーカーであるチャンピオンのアドバタイジング。ドルマンスリーブのようなユニークなデザインは化繊を使っており、ショルダー部分にはチェッカーフラッグ。おそらく’80sだ。7980円
1950〜’60年代にかけて作られていたハーレーの純正ヘルメットは、名門であるマックホールが生産を担当していたため、コレクターズアイテムになっている。内装もすべてオリジナルでスペシャルだ。17万3800円
ヴィンテージ市場でも人気の高い’50年代のエンジニアブーツは、コンディション、サイズともに良好。シャフト部分のエイジングが美しく、ヴィンテージらしいシャープなフォルムだ。6万4900円
オフィシャルでリリースされていたヴィンテージのハーレーステッカーもデッドストックで発掘。豊富なバリエーションがあり、中にはパッチも混ざっている。値段も手頃なのが嬉しい。1200〜1980円
ハーレーTシャツではめったに出てこないブラウンカラーのボディがおもしろい。背面にはクラシックなイラストやハーレーとともに、カンザス州ダッジ・シティのディーラーがプリントされている。’90年代のオリジナル。8980円
1984年にラジオ局が主催したポーカーランというイベントのTシャツ。両袖にハーレーのロゴマークが入っているので、オフィシャルで協賛したバイクイベントだったのだろう。トランプのプリントが◎。8980円
1938 INDIAN MOTORCYCLE SPORT SCOUT|オールド感溢れるインディアンの名車をボバーに!!
世界恐慌によりインディアンの経営が傾いていた際に、起死回生の策として、1934年にリリースされたスポーツスカウト。現車はアメリカにてストック状態で見つかった1938年式の個体で、春原さんがパーツをストリップしてボバースタイルに。ペイントは’50〜’60年代に再塗装されたようでいい雰囲気に。パフォーマンスモデルなので、クイックに走る。
インディアンの代名詞であるサイドバルブエンジンは、名車スカウトをベースにハイパフォーマンス仕様にカスタムされている。エアクリーナーのカバーも含めて、純正パーツで構成されている。
スピードメーターは、インディアンの純正品で1939年のものが使われている。オリジナルの6V仕様のまま走っているが、これといって不便はないそうだ。
スポーツスカウト用の純正リンカートキャブレターM641など、オリジナリティが高いのも魅力。スポーツスカウトは現存数が少なく、本家アメリカでも今や珍しい存在。
ボバーに乗る時は、車両の雰囲気に合わせて、よりラフで無骨なスタイルに。Tシャツは敬愛するグレイトフル・デッドで、パンツはウエアハウスを着用。
1962 HARLEY-DAVIDSON PANHEAD|見様見真似で仕上げた思い入れのあるチョッパー!!
春原さんが1996年に独立した際に、思い切って購入したというハーレーのチョッパー。映画『イージー・ライダー』に感化されたため、どうしてもチョッパーに乗りたく、夜な夜なアメリカのカスタムバイクをVHSで学習し、ビルダーと二人三脚で仕上げたそう。数年ごとに外装の一部は替えているが、基本的なフォルムは変えていないそうだ。
1948年にナックルヘッドの後継としてデビューしたパンヘッドは、シリンダーヘッドがアルミに変更され、オーバーヒートに対する信頼性が飛躍的にアップした。1965年まで生産され、人気が高い。
ほとんど純正パーツを使っていないが、オイルタンクはオリジナルを使用している。そこに春原さんらしいステッカーカスタムを施しており、アメリカの西海岸らしいセレクト。
ハンドシフトのノブには、フォルクスワーゲンなどでよく使われているカスタムパーツであるハーストを使っている。実際に握りやすく、見た目も良いので一石二鳥。
タンクは’60〜’70年代頃のスポーツスターのものをチョイスしている。ペイントは西海岸らしいチョッパーのカラーリングをイメージしたそう。スレやサビが出ていて、いい雰囲気に。
パンヘッドに乗る時は、遊び心を利かせたスポーティなコーディネイトに。トップスはなかなか見つからないビッグサイズのヴィンテージフットボールTで、ボトムはカーハートのダブルニーパンツだ。
※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning 2024年7月号 Vol.363」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/M.Watanabe 渡辺昌彦 撮影協力/タイムズアーチェンジン伊勢崎店 TEL0270-23-1910 https://www.the-tac.com/
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