ミリタリーの時代背景から“Lee“の代表モデルを紐解く!

1911年に自社工場でワークウエアの製造をスタートしたLeeは、ユニオンオールを筆頭に画期的なワークウエアを輩出し、名実ともにアメリカを代表するメーカーとなった。そんなLeeが1924年に新たな取組としてスタートしたのが、カウボーイジーンズである“Lee COWBOY”だ。ミリタリーの歴史から、そのアーカイブを紐解いていこう。

Leeが誇る代表的なプロダクツを現代に甦らせたプロジェクト。

カンザス州で食品からワークウエアまで、様々な卸売業を営んでいた創業者、ヘンリー・デヴィッド・リー。1911年に自社工場でワークウェア事業を始め、製造業へとシフトしていく。いち早くジッパーを用いたワークウエアやジーンズを販売するなど、その機能美を追求する姿勢と柔軟な発想は、様々なアーカイブを輩出。当シリーズは、そんなマスターピースに焦点を当て、徹底した作り込みで、現在に蘇らせるプロジェクトである。

1.【1940s】Lee COWBOY 101 1945 model|第二次世界大戦期の1944~1945年という極めて短期間で製造されたプロトモデル

第二次世界大戦時には、各メーカーへ政府による物資等政令が敷かれ、Leeも例外ではなかった。そのためカウボーイも簡略化されるが、物資等政令が解除された直後の1946年には、販促を促すためにシリーズ呼称をカウボーイからライダースへと変更。当モデルはそんなカウボーイとライダースのディテールがミックスされた移行期の極めて短い時期に生産。2万8600円

大きな特徴のひとつが、トップボタンにカウボーイのロゴが入ること。ライダースに切り替わるまで使われていた
Leeのアイコンであるクロッチリヴェットは、サドルなどを傷つけないように先端を潰している。股下はその後に省略
背面にはレザーパッチが付く。その一方でウエストバンド内側中央には、斜体”e”のロゴを用いた戦前からのラベル

2.【1950s】Lee RIDERS 101-Z 1954model|朝鮮戦争終結後のゴールデンエイジが産んだティーン・エイジャーの「青春」と「反抗」を象徴

戦勝国の’50年代は、空前の好景気に。その結果、ロックンロールやバイカーなど、様々なユースカルチャーが生まれ、ジーンズはワークウエアからファッションへと移り変わっていく。その象徴がジェームス・ディーンも愛用した101-Z。ワークウエア出自の耐久性に、楽なジッパーフライ、縮みを気にしない左綾デニムは、絶大な指示を得た。2万8600円

センターに黒ベースのタグが付く仕様はセンター黒と呼ばれる。1950年代初期から中期の短い期間に使われていた
スライダー裏の片ヅメでロックする仕様のグリッパージッパー。東海岸の都心部に住む人々から支持を得て定番になった
アイコンのバックポケットのレイジーSステッチ。下部には補強のために裏地が施されている。ピスネームも当時の仕様

3.【1960s】Lee WESTERNER 100-Z 1962 model|キューバ危機・ベトナム戦争勃発後に訪れる、カウンターカルチャーへの時代変化にフィット

1959年にカウボーイのドレスアップウエアとして発売された当作。101をベースしながらも、ワーク色の濃いデニムではなく、光沢感のあるコットンサテンに置き換えた。フラワームーブメント前夜で自由な空気が漂う西海岸で流行ったカラーパンツの走りでもあり、その上品な面構えから厳格な東海岸のアイビーリーガーたちからも人気に。2万8600円

ユニオンメイドの表記が入る最初期のラベルを再現。60年代後期になるとⓇやM.R.、100%コットンなどの記載が入る
バックポケットに付くピスネームの仕様も忠実に当時物を再現している。101ベースなので、ポケットのデザインも同様
ボタンフライのジーンズに慣れていない東海岸の都心部ではジッパーフライが重宝された。この流れがジッパーを定番化

【問い合わせ】
エドウイン・カスタマーサービス
TEL0120-008-503
https://lee-japan.jp

(出典/「Lightning 2024年6月号 Vol.362」)

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ADちゃん
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ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
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