メインを決めて周りを固めるのが統一感ある部屋作りのコツ。
中目黒商店街からほど近い住宅街に位置する家具店「ギャレットインテリア」のオーナーにして、数年前まで沖縄と東京にて二重生活をしていた内田さん。3年前にようやく納得のいく古民家を手に入れ、フルリノベーションしたというご自宅では、「’50年代頃のパームスプリングスの住宅をイメージした」と語るように、ペパーミントとピンクを基調にリゾートライクな空間づくりを徹底。プロならではのアイデアとテクニックが細部まで存分に見て取れる。
「同じ年代の家具やインテリアを無造作に並べるのも決して悪くはないですが、それが統一感に直結しているとは言い難い。まずは使いたい色、絶対に使いたい家具やインテリアといったように主役を決め、それに沿って周りを固めていくのが何よりの近道だと思います。
我が家の場合、リビングダイニングをメインに、各部屋それぞれに異なる個性を持たせてはいるものの、全体的なトーンやイメージとは別に部屋ごとに核となるテーマやディテールがしっかりあります。そんなイメージをどこまで妥協しないか、どこまで具現化できるかこそが理想的な空間を作る上で最も大切な心得だと考えていますね」
配色のポイントはこの3つ。
1.使いたい色の色温度を合わせる。
家の顔とも言える1Fのリビングダイニングは、ペパーミントとピンクという’50sアメリカの象徴的な2色を主役に選出。両色ともにベースカラーとなるアイボリーに寄せるよう若干くすませ、色温度をあえて下げることで落ち着いた印象にまとめている。一方で窓枠など視点の境界線となる細部には鮮やかなのホワイトでハイライトを利かせ、主流のフローリングではなくあえてのカーペット張りも同年代を意識したこだわりディテールのひとつという。
2.主役を決める。
空間全体のイメージやトーンを統一する上で欠かせないというのが、核となる主役の選出。たとえばペンダントライトを主役と位置づけた場合、そこから外堀を埋めるよう壁紙の色や床材、家具の種類や配置を意識するのが最適解。そこから徐々に時代背景や機能性、部屋ごとの役割や個性を割り振っていく。また、無理に生活感を消そうとしないのも実は快適性に直結する重要なポイントだと語ってくれた。
3.メイン、サブ、差し色の3色くらいがベスト。
ミッドセンチュリーと聞くとビビッドでポップなプラスチックカラーを想像しがちだが、それはあくまで’70sまでを内包した広義での解釈。主役となるカラーは多くても2色ほど、ハイライトとなる差し色はなるべく1色と、あまり多色を使わないのが’50sライクな空間作りにおいて大切な心得。ちなみにハイライトとはいえ、なるべく悪目立ちさせないため、原色をそのまま使うのではなく、やや色温度を抑えることもお忘れなく。
他にもあったこだわりポイント。
1.ウッドと組み合わせる。
「天井が高いとあまり落ち着かない」という内田さんのこだわりから、他の部屋と比べてもかなり低めに設定した上、柔らかなアールを利かせた天井板は、天然素材ならではの雰囲気を活かしつつ、あまり木目を感じさせないシンプルな無垢材でオーダー。
2.壁にも少しだけグリーンをプラス。
壁面の基調色でもあるアイボリーは、リビングダイニングの主役となるくすんだペパーミントとピンクがよりいっそう映えるよう、わずかにグリーンを加えて調色。「光の当たり方次第でいくつもの表情を楽しめる」という、極めてさり気ないこだわりのひとつ。
3.雰囲気の違う趣味部屋は完全に囲う。
趣味のキャンプギアやヴィンテージトイ、ギターやウォールアートを敷き詰めたホビールーム。このように雑多感を払拭できないスペースなら、生活空間と完全に切り離し、ガレージ感覚で独立させるのもひとつの手だという。
4.生活の匂いもアメリカンに。
「長年ミッドセンチュリーなライフスタイルを続ける中で、どうしても再現できなかった」というのが“ニオイ”。アメリカの一般家庭の匂いを完全再現するため、フレグランスはもちろん、ボディソープやシャンプー、歯磨き粉や食器洗剤など匂いがするものは全てアメリカ製で統一。
【DATA】
ギャレットインテリア
東京都目黒区上目黒4-1-29 祐天寺スクエア 1F
TEL03-6770-0249
営業/13:00~17:00(土日祝日)
休み/平日
https://garret88.com
(出典/「Lightning 2024年4月号 Vol.360」)
Text/T.Hakusui 白水健寛 PhotoA.Osaki 大崎晶子
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