Peaceを吸っている後輩に、マウントを取る唯一の方法。

  • 2023.08.08

「いい企画は喫煙所で生まれる」。これは、出版業界に旧くからある言い伝えであり、編集者特有のノリと心意気を表現した名文だ。こんな言葉が生まれてしまうほど、編集者とタバコは切っても切り離せない関係にある。

しかし近頃、愛煙家の肩身が狭くなってきているのも事実なので、我々としてはぜひとも愛煙家同士結託し、“タバコミュニケーション”の輪をふたたび広げていきたいと考えている。

そんな活動の一環として今回は、タバコ初心者たちを「へぇ〜」と唸らせるタバコトリビア、名付けて“タバコマウント”をいくつかご紹介。これらを喫煙所で披露することで、後輩に対してマウントを取ることができ、尊敬を得ることに繋がり、喫煙所での企画会議も進めやすくなること間違いなしだ。たぶん……

マウント1:「ナスとトマトが好きなんだって? てことはタバコも好き?」

生物学的に言えば、「ナス科タバコ属」に分類される葉タバコ。ナス科と言えば、ナスはもちろん、他にもトマトやジャガイモなどといったメジャーどころの野菜も該当する。つまり、広く言えばタバコは、ナスやトマトと同じ仲間だということになる。

これがその葉タバコだ。

後述するが、これは複数ある葉タバコの品種のうち、黄色種にあたるもの。

品種によってその草丈は細かく異なるが、大体いずれも120cm。葉のなかに、外敵から身を守るためのニコチンが含有されている。アメリカ・南米・オセアニア・アジアを含む、100カ国以上で生産されており、日本では30以上の県が栽培を行っている。

この葉タバコの葉の位置が高いか低いかによっても、タバコの味わいが変わってくるため、求める味わいによって収穫する時期を変えている。勘のいい方はお気付きかと思うが、写真の葉タバコの下半分に葉がついていないのは、すでに収穫されているからである。この後、乾燥の工程を経て、原料としての葉タバコができあがるのだ。

マウント2:(Peaceを吸っている人に対して)「君は黄色種好きだね〜」

JTのタバコ銘柄をいくつか思い浮かべながら読んでいただきたい。まず、大前提として、人気銘柄に使われているタバコ葉の品種というものは大きく以下の3つに分類される。

黄色種→主に暖かいところで栽培される品種で、乾燥後の葉は肉厚で鮮やかな黄色。燃やすことで甘い香りが漂う。香喫味(=タバコの香り・味わい)の中核を担う主人公的存在。(日本でも幅広い地域で栽培されている)

バーレー種→黄色種に比べて、やや涼しい地域で栽培され、草丈が高く葉も大きい。乾燥させることで薄い褐色に変化するこの品種からは、チョコレート様の香りがする。煙の量が多いという特徴も。(日本でも東北などで栽培)

オリエント種→日本では栽培されておらず、トルコやギリシャなどの地中海沿岸が原産国。草丈が低く葉も小さい。豊富で優雅な香りを漂わせ、黄色種・バーレー種の味や香りを調和する、バランサー的役割を持つ。

これら3つの大きなカテゴリのなかに、細かくいくつもの品種が存在している。「セブンスター」や「ピース」など、タバコが銘柄によって違う味になるのは、数多あるこれらの品種をどのようなレシピでブレンドしているか、という違いがあるからだ。そしてこれらの“ブレンドレシピ”にも、さらに3つの種類がある。

バージニアブレンド→黄色種を多用。「ピース」は、この黄色種を100%使用した銘柄である。

アメリカンブレンド→黄色種、バーレー種、オリエント種をほどよくブレンドした、言わばバランスタイプのレシピ。「黄色種33%、バーレー種33%、オリエント種33%」という割合で混ぜているというわけではなく、「いかに吸った時の香り・味のバランスが取れているか」ということ。パーセンテージにすると複雑だ。「メビウス」「ホープ」がこれにあたる。

ドメスティックブレンド→黄色種・バーレー種に関わらず、「国産葉」を多用したブレンド。なお、輸入葉も使用する割合の多いJTにとっては、レアなブレンドタイプと言える。銘柄は「セブンスター」「エコー」など。

注意してほしいのが、「ピースは黄色種100%」と書いたが、あくまで「黄色種に該当する品種を100%使用している」ということ。その内訳を見てみれば、ざっくり80種類ほどの黄色種の原料をブレンドしているという話だ。我々が普段愛煙しているタバコは、実に複雑なブレンドによって実現されている味であると言えよう。 

これらのことから、我々が活用できるマウント例としては以下の通りとなる。

・(ピースを吸っている人に対して)「君は黄色種が好きなんだね〜」

・(メビウスを吸いながら)「やっぱりアメリカンブレンドは、バランスの取れた味だなぁ」

・(セブンスターを吸っている人に対して)「あ、国産葉派?」

左のピースは黄色種を100%使用したバージニアブレンド、真ん中「メビウス」と「ホープ」はアメリカンブレンド、右の「セブンスター」と「エコー」はドメスティックブレンドだ。

なんて自慢気に言ってますが、実はこのウンチクを知ったのは数日前なんですけどね!!

それこそ、マウントを取ろうとするかのごとく自慢げに語ってきた筆者だったが、実はこれらのウンチクを知ったのはつい最近のこと。JTの「葉たばこ研究所」を訪れた時に得た知識だ。

ここは、葉たばこの研究・開発を行う施設で、だだっ広い土地に、圃場(ほじょう=農地)と乾燥施設、温室を備えている。葉タバコは、気温や土壌などの「生育条件」と、日照量や雨量などの「気候」によって、その香り・味わいが大きく変わってくる。

そんな誤差をできる限り縮めて愛煙家が変わらず愛用のタバコを楽しめるように、当研究所での葉たばこ研究開発に加え、日本国内および世界にある研究所・開発センター等において、各銘柄の品種のブレンド割合を変えてみたり、品質確認や新たなデバイスの開発などに、日夜情熱を注いでいるのだ。

「アウトプットを変えないために、インプットを変え続けている」という、マスターブレンダー(すなわち、ブレンドのプロ)の言葉が非常に印象的だった。“いつもの味”を変わらず楽しむことができるよう、いかにその裏に努力があったかということを思い知らされた一日だった。

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