「グラッドハンド」の専属絵師が、名もなきアーティストへ捧げたポップアート。

古き良きアメリカを感じるこだわりのアイテムで人気を集める「グラッドハンド」の専属絵師でもあり、サインペインターとしても活躍するL.氏。そのインスピレーションとなるのは、アメリカの各年代で生まれたストリート的なアート。芸術としては完成度が低いかもしれないが、そのストーリーと独自の感性に感銘を受けるそう。そんなL.さんの作品とは?

露天や道端で売っていた大衆アートを再構築。

「GLADHAND」L.さん|アーティストとして生きていく道を模索していた時に、グラッドハンドと出会い、専属絵師に就任。現在はディレクターとしても活躍しながら、サインペインターとしても活動

現在、グラッドハンドのディレクターを務めるL.さんは、幼少期から絵を描くことが大好きで、独学で美術を学んだ。それと同時にアメリカのホットロッドやタトゥーなどのカウンターカルチャーに触れ、大きな影響を受けた。そんなL.さんが感銘を受ける作品は、名もなきアーティストが残したストリート的なものだと語る。

あえてキャンバスには別珍を使い、’70年代に流行ったベルベットアートを再構築。それぞれローブロー的なテイストを加えている

「僕は独学で絵を学んだこともあり、誰もが知る有名アーティストの作品よりも、今回紹介している’60〜’70年代のベルベットアートやロウブロウアートのように、当時に路上で売っていたような大衆的なアートの方が刺激を受けたんです。いろいろと調べていくと各年代にこの手の大衆的なアートがあるんです。

わかりやすく言えば、’40年代のピンナップガールに代表されるウォーアートや、日本だと木彫りのクマの置物のような(笑)。そういったものの時代背景を理解し、今の感覚であったり、当時にありそうなかったテイストで再構築するのが、僕の個性であり、スタイルだと思います」

オールドスクールな作風を得意とするため、その仕事道具も実にシンプル。直球勝負だけにセンスや技術が必要
今季の最終アイテムとしてリリースされるベトジャンには、L.さんの手書きによるアートワーク。5万5000円
よく見ると当時と同じようにひび割れるように塗料と手法を工夫している。’70sに流行ったので、ベースはベトジャンに

旧きよき時代のアメリカを再解釈したアートワーク。

アメリカを代表するライダースメーカーであるショットとコラボレーションした際に制作した大型のアートワーク。すべてL.さんによる手描きであり、これをプリントした生地が共作モデルに使用されたのだ。

ショットとグラッドハンドのコラボレーションでは、L.さんによるハンドペイントが施されたスペシャルモデルをリリース。過去の作品のため、現在は手に入れることができないのが残念である。

ヴァスコとのコラボレーションモデルをキャッチアップ。アートワークはL.さんが発案し、ヴァスコの高い技術でエンボス加工にて表現。まるでアートのような仕上がりとなった。

前後にガゼットの付いたスウェットに、すべてL.さんのハンドペイントでアートワークを落とし込んだ。ヴィンテージがイメージソースとなった。

ヴィンテージのメイソンバッグをモチーフにしたグラッドハンドのバッグに、自身のアートワークを手描きで加えたスペシャルモデル。仕事道具を収納している。

自身がポーター表参道で開催したエキシビションで展示した作品。映画のフィルムを保管するためのヴィンテージのケースに、グラッドハンドのロゴなどをハンドペイントで描いている。

ミッドセンチュリーを代表するポップアートをモチーフとした作品。かなりの大型作品で、スープ缶でなく、オイル缶というのがL.さんらしい表現。

【問い合わせ】
グラッドハンド コア
TEL03-6438-9499
www.glad-hand.com

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年8月号 Vol.352」)

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