ヘルメットにも味わいを。ハンドペイントで描き出す、経年によるひび割れと味。

  • 2023.03.01

経年変化による艶引けやクラック、サビは、風合いや味といわれる魅力のひとつ。持ち主の歴史を刻んだ風合いを職人の手作業によるエイジングで再現した逸品は、ヴィンテージ同様に唯一無二の存在感を放っている。

職人が手作業で仕上げた、唯一無二の風合い。

「TT&CO.」代表・高橋広之さん|2000年にカスタムショップ「TT&CO.」をスタート。ヴィンテージヘルメットに魅了されたことをキッカケに、自らもヘルメットを手がけるようになった。旧車好きで、ヴィンテージレースにも参戦している

「昔は『旧車』じゃなくて、『中古』って呼ばれていたんですよ。新車が買えないから、中古車を手に入れてイジっていました」

懐かしそうに語るのは、ヘルメットをメインにバイカーアイテムを展開する「TT&カンパニー」代表の高橋広之さん。江戸川区の下町出身で、昔から古いモノに親しんでいたという。

「幼い頃は裕福じゃなかったので、新しいモノを買ってもらえなかったんです。スーパーカーライトの自転車が流行ったんだけど、自分は蕎麦屋の中古の自転車を修理して乗っていました(笑)」

旧いモノをできるだけキレイにしていたが、バイクに乗るようになると変化していったという。

「旧いバイクに塗装し直したタンクを載せるとバランスがおかしくなるんです。だからワザと汚したりしました。ナンバープレートもピカピカで違和感があるから、外して踏んづけたりしてね。当時はみんなやっていましたよ」

旧いモノにマッチする味わいを追求。そのコダワリは、同社が手がけているヘルメットのエイジング加工にも引き継がれている。

「実際に人間が使い込んだようなリアルさが大切なんです」

試行錯誤を繰り返し、塗装のヒビ割れを再現する「リアルクラックペイント」、FRP樹脂のファイバーグラスのクロス目を露出させる「ファイバーグラスエクスポーズド」という技法を開発。現在、これらの技を駆使したブランド「HIROパティーナアートスタジオ」を展開している。ちなみにパティーナは、英語で「経年変化の味わい」という意味だ。

「当時モノの持つ『凄み』をどこまで出せるか、追求するのがエイジングの醍醐味なんです」

リアルクラックを再現した世界に一つだけのヘルメット。

「オンリーワン」シリーズは「世界に一つとして同じものはない、Only Oneのヘルメット」がコンセプト。さまざまなアーティストによる1個限定のプロダクト。そのひとつが代表の高橋さん自らが手がける「Hiroパティーナアートスタジオ」のヘルメットだ。写真のヘルメットは高橋さんの私物。

チェッカーフラッグをモチーフにしたグラフィックにエイジングを施した。シェルにダメージを与えず、表面にだけクラックを入れるという独自の技術で、リアルな風合いを再現している。

’60年代ヴィンテージのディテールを追求。

スモールタイプの「スーパーマグナム」シリーズ。ヴィンテージをイメージしたエイジング加工モデル「ディストーションシリアスVLタイガー」。職人が手作業でペイントやレザーに加工を施している。予約販売のみ。5万9400円

ペイントにエイジング加工を施し、トリムにはクラックが入った特殊な鞣しの牛革を使用。ロウ引きされた麻糸をシェルに貫通させて縫い付けしている。’60年代のヴィンテージモデルをイメージした「革巻き」という独特な膨らみが特徴。

職人手づくりの技を極めた少数限定生産品。

12月23日から予約販売を開始した「ザ・リアルクラックインペイント&スタッズ」。シェルにはリアルクラックペイント、ベルト部分のレザーにもクラックが入った特殊な鞣しを採用。スタッズで装飾された豪華仕様だ。9万9000円(税込)

【DATA】
TT&CO.
東京都江戸川区新堀2-1-8 1F
03-6638-8805
営業/13:00~17:00
休み/水・日曜
https://www.ttandco.com/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年2月号 Vol.346」)

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